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HOME宮尾医師 寄稿記事カサンドラ症候群(前編)―カサンドラは病気ではなく、関係性のズレ―

カサンドラ症候群(前編)―カサンドラは病気ではなく、関係性のズレ―

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女性を悩ませる「カサンドラ症候群」とは?

近年、「カサンドラ症候群」への関心が高まっています。

「カサンドラ症候群」とは、発達障害の一つである「アスペルガー症候群」の夫を持つ女性が、夫とうまくコミュニケーションが取れず、苦しんでいる状態をいいます。

「カサンドラ」の由来とは?

カサンドラ(または、カッサンドラ)とは、古代ギリシャ神話に登場するトロイの王女の名です。カサンドラは、預言能力を持ちながら、神のアポロンから「予言を誰も信じてもらえなくなる」という呪いをかけられてしまいました。

カサンドラ症候群と呼ばれる妻たちも、アスペルガー症候群の夫への不満を他人に話しても、周囲から信じてもらえず、「何言ってるの、真面目に働いてくれていて、いい旦那さんじゃない。」と軽くいなされてしまう…

これが、古代ギリシア神話のカサンドラの状態を共通点しているとして、「カサンドラ症候群」と呼ばれるようになりました。

しかし、「カサンドラ症候群」は、情緒面で良好な相互関係が持てなくなることで妻に発生する精神的・身体的に問題が発生する状態のことであり、病名ではありません。

あくまで、人と人の「関係性を主体にして考えて、なり得るもの」と考えられます。
なお、夫婦間以外にも、家族・友人・職場内の人間関係などでも発生します。

 

家族のコミュニケーションのゆがみを直す

例えば、夫と妻がいて、夫の言動によって、妻がウツになってしまったとします。
そうした場合、夫がいなければ、妻はウツになりません。夫と妻のコミュニケーションの中で、妻に一番のゆがみが来た状態です。この問題を根本的に解決するには、この妻だけ扱ってもダメで、夫婦全体をある方向に動かすという「家族療法」が必要となります。

最終的には、家族がうまくいかない場合、家族一人一人が全員病理、つまり、病(やまい)の理(ことわり)を持っていると考えてよいでしょう。

みんな病んでいるが、ある人にだけ症状が「大きく」現れている、
それが妻だということです。しかし、妻だけが悪いのでもないし、妻にたまたま現れただけなのです。

だとしたら、家族みんなに相互コミュニケーションと、思いやりがあれば、解決することなのです。

一人一人、個がしっかりすることも一つの解決策です。お互いを思いやり、一人一人考え方が違うことを、理解することが必要です。

妻が注意すべきこと

「察してほしい」という気持ちを強く持たない、ということが何より大切です。

女性であれば、大なり小なり「口に出して言わなくても、察してほしい!」という気持ちをもった経験がある方も多いのではないでしょうか。

ですが、アスペルガー症候群の夫を持つ妻はまず、「夫は察することが出来ないという特性を持っている」ということを理解する必要があります。

アスペルガー症候群の夫を持つ妻は、「夫に、察してほしい」という気持ちが大きすぎる傾向があります。

「自分の気持ちをわかってほしい」という「夫への期待」とも言えますね。

こうした期待の背景には、小さい時、自分が育った家庭や両親の像の影響があると考えられます。特に、いわゆる「育ちが良い」と言われるような家庭環境で育った女性などは、「父親とはこう、夫とはこう」という“幻想”をもって結婚してしまいます。
当然、夫は自分のことを認めて、自分の気持ちを分かってくれると思っているので、自分からサインを出しても、全く反応されないとなると、期待を裏切られ大きなショックを受けてしまうのです。

「父親」ではなく「夫」としての時間を

もう一つ、日本では「父親」という像はあっても、「夫」という像は無い、ということも関係しています。

男性は、家の中では、「夫である時」と「父である時」の二役を演じなくてはなりません。
ですが、大抵の男性が想像する「家の中での仕事」と言えば、休みの日に子どもを公園に連れて行く、などの「父親」の仕事がほとんど。

妻の話を聞いて、支える」といった、夫としての時間もきちんと作らなければ、パートナーシップはうまくいきません。男性は特に、いろんな役割のパターンを、時々に応じて変えていく、ということが難しい傾向にあります。「結婚する」ということは「新しい家族を作る」ということなのですが、うまく展開できない、という男性は少なくありません。
恋人同士から、新婚時代、そして、子供が産まれて・・・となった時、自分の子供を「敵」と見てしまう人もいます。奥さんが子供をかわいがっていたら、子供にヤキモチをやいたりしてしまうのです。

「家族」は、子供が生まれたりして、変わっていくもの。そうした「展開」こそが、家族の本質と言ってもいいくらいです。

男性側でその切り替えがうまくいかないことも、問題の背景にあるのです。

監修 : 宮尾 益知 (医学博士)
東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。
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