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障害者枠で公務員になるには

精神障害者の活用が進む中央省庁 行政機関の障害者雇用で働くという選択肢データで読み解く

中央省庁では、2018年の水増し問題発覚を受け、2019年6月1日までの間に3,700人弱の障害者の方を新たに雇用しました。2019年6月1日時点での障害者雇用数は7,600人弱なので、倍増しています。一方で「急激に雇用数を増やしたことで業務のミスマッチなど弊害も起きているのではないか」という記事が新聞に載ったこともありました。公的機関での障害者雇用は進んだのでしょうか?どのような方が雇用されているのでしょうか。厚生労働省から公表されている「国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」を手がかりに見ていきます

なお、発達障害の方のうち知的に遅れのない方には「精神障害者保健福祉手帳」が発行されます。障害者雇用法制でも、一般に発達障害の方は「精神障害者」にカウントされます。このため、以下では精神障害者を中心に記述しています。

[参考] 発達障害と障害者手帳 大人の発達障害の方向け 障害者手帳の基本情報

精神障害者の活用が一気に進んだ中央省庁

令和元年 国の機関における障害者任免状況の集計結果」を見てみますと、目を引くのは精神障害者の新規雇用数(直近1年間)の多さです。かつて、障害者枠で最も遅れていたのは実は行政と言い切って良いぐらい遅れていました。”身体”障害者ではないといけない状態がまかり通っていたのです。

[参考] 知的・精神障害もついに応募可能に 東京都職員採用(当社2017年の記事)

表立って明言していないだけで、以前は民間企業でも暗に身体障害の方を希望している法人も少なくありませんでした。しかし、その認識も古いものとなっていくのかもしれません。実は2018年度の中央省庁に限ってみると、精神障害者の新規雇用数が身体障害者のそれをやや上回っていました

上記グラフの元資料では、法令に従い重度障害者を2人、短時間勤務者を0.5人とカウントしています

改正障害者雇用促進法に基づき検討されている「障害者活躍推進計画作成指針(案)」では、公的機関での「特定の障害を排除」した募集は不適切とされる予定です。もちろん、合理的配慮を行ったうえでの職務能力は問われるでしょう。精神障害者の新規雇用数が急増していることからも、中央省庁が先陣を切って非合理的な前例を打ち破り、障害の種別を問わず能力のある方を活用していくという姿勢が伺えます。

中央省庁では障害者枠の定着率も良好

また「国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果リンク」も公表されています。(ただし、こちらは障害種別ごとに区分けされてはいません。)平成30年10月23日~令和元年6月1日までに採用された障害者については、定着率は94.9%とのこと。辞めた方は5%もいなかったということです。これはとても良い数字です。機関ごとにみても、離職者数10人以上の機関はそもそも採用数自体が多いです(国税庁など)。

Kaien就労移行支援の修了生の方に限っていうと就職1年後の定着率は90~95%ですが、それは例外。「障害者の就業状況等に関する調査研究リンク」(障害者職業総合センター2017年)によると、障害者の方の1年後定着率は50~70%ほどです

当社でも、とある行政の方から「議員の先生から『数合わせの障害者雇用では意味がないので、しっかりと能力を発揮していただくように』とクギを刺されている。こちらとしても採用する障害者の方が十分に活躍できるよう職場を整えていきたい」という声も聞いていましたが、障害者雇用に熱心な省庁では、障害者の方が職業人としての力を発揮できるようしっかり環境を整えてきたことが高い定着率からうかがえます。(なお「国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果」にはどのような配慮が行われているかについても簡単に書かれています。)

ただし、これは(他の職場でもそうなのですが、中央省庁では特に)すぐ辞めず、安定して勤務いただける障害者の方が採用されたことでもあります。中央省庁で働きたいという方も、しっかりとコンディションを整え、周囲に気を配りながらも職場でパフォーマンスを発揮するために必要な配慮を求められるよう自己理解を深めていくことが大切になりそうです。

[参考] 就労移行支援後 就職先で長期安定するために Kaienマンスリーレポート(2016年7月)

公的機関合計での障害者雇用率は法定雇用率に近づいているが……

障害者雇用の義務は具体的には、「法定雇用率」という、全職員のうちどのくらいの割合は障害者の方を雇うべしという数値が定められています。令和元年(2019年)6月時点において、公的機関での法定雇用率は2.5%(教育委員会2.4%。民間企業は2.2%)でした。中央省庁(下記「国の行政機関」)や地方自治体では、障害者雇用で見ると障害者雇用率はおおむね法定雇用率に近い割合になっています。裁判所(下記「国の司法機関」)や教育委員会での不足が目につくくらいです。

機関によって障害者雇用に対する姿勢が異なる

機関ごと(たとえば市役所については、全市町村の何割が法定雇用率を達成しているか)にみると、どの部門でも法定雇用率を達成しているのは全体の6~7割です。障害者雇用に熱心に取り組んでいる機関と、障害者の方をあまりうまく活用できていない機関とに分かれているのが実態です。

なお、上記「国の司法機関」に何も表示されていないのはデータが足りないわけではありません。司法機関は「最高裁判所」「高等裁判所」「地方裁判所」「家庭裁判所」と4機関ありますが、障害者雇用率はどの機関も1.5%を切っています…

中央省庁や都道府県については、冒頭の「国の機関等における~の集計結果」に各機関ごとの障害者雇用率や不足数が掲載されています。さすがに厚生労働省は障害者雇用率3.12%と高く、法定雇用率を二回りほど上回っています

当社で行政の方の話を聞いていても、省庁や部署の担当の方によって障害者雇用への温度感や配慮の度合いなどはまちまちです。このため、公的機関への転職をお考えの方も「公務員だから○○」と画一的に考えすぎず、(民間企業と同様に、ですが)応募先が自分に合う職場かはよく検討されたほうが良いでしょう。

中央省庁で得られた知見が地方の自治体や民間で活用されることを期待

また地方への波及も期待したいところです。

障害者雇用率に精神障害者をカウントできるようになったのは2006年と意外と最近。それまでは精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方を何人雇用していても、障害者雇用義務を果たしているとはみなされなかったのです。そのこともあり、特に地方では民間・行政を問わず発達障害の方やその他の精神障害の方の力がまだ十分に活用されているとはいえないのが実情です。

改正障害者雇用促進法では公的機関が率先して障害者の雇用を進めていくことと強調されています。中央省庁で実践的に得られた知見が、行政・民間での発達障害の方や精神障害の方の活用につながっていくことが期待されます。

公的機関の障害者枠で働きたい方は

前述の通り、ひとくちに省庁や役所といっても機関によって障害者雇用への姿勢はまちまちです。公務員とひとくくりに考えず、一つ一つの機関を中小企業のように考えて自分にあった「会社」を探していく必要があるでしょう。

旧来、公務員ではフルタイムの障害者採用はほとんどが身体障害者でした。(発達障害を含む)知的・精神障害者はチャレンジ雇用という制度はあるもの、最大3年間の非常勤でその後は一般企業へ輩出というものに留まっていました。

しかし、今後はその中間的な働き方のできる、更新限度のゆるい職員の募集なども考えられてきています。(なお多くの公務員は労働契約法の対象外なので、いわゆる無期転換ルールは適用されません)就職・転職活動は情報戦ですが、公的機関も同様ということです。昨今、行政での障害者雇用は大きく変わってきています。数多くある行政機関をしかも組織の外から調べるのはなかなか大変だと思います。支援機関を利用している方は、ぜひ上手に利用してください

Kaienでは行政・民間を問わず就職・定着のサポートをしています

公務員の募集については民間の福祉・人材サービス会社の活用はあまり進んでいないのが現状です。当社の求人サイト「マイナーリーグ」にも行政からの求人が掲載されていますが、まだ極少数です。公的機関も現状ではハローワークでの募集が中心です。中にはその機関のウェブサイトでしか募集していないところもあります。ただし、機関によってはなかなか障害者雇用が進まず苦労しているところもあり、今後は民間の福祉・人材サービス経由での募集も増えていくかもしれません。

また求人ばかりでなく、各機関がどの程度発達障害の方の雇用に興味があるか、どんなレベルの求職者を求めているか、もし修了生の方が就職している場合はどんな環境で働いているかなどについても、実績のある支援機関ではお話しできることがあります。当社でも説明会や個別相談で情報を提供していますので参考にされてください。