トライアル雇用と就労支援は併用可能?メリットや注意点も解説

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たとえば発達障害*の人の場合、「ストレスなく働けるか」「障害の特性に向く業務か」などが不安になるものですが、トライアル雇用を利用すると、実際の仕事でこれらを確かめられます。

トライアル雇用の相談先、申込先は、住んでいる地域のハローワークです。ハローワークの職業サービスを利用すると、「トライアル雇用求人」を紹介してもらえます。

トライアル雇用と就労移行支援は併用できる?

トライアル雇用と就労移行支援は併用できます。

就労移行支援とは、一般就労(企業などへ就職し、雇用契約を結んで働くこと)を目指す障害者が、就労移行支援事業所での職業訓練を受けたり、職場への定着支援を受けたりできる福祉サービスです。就労移行支援とトライアル雇用はどちらも障害者向けの支援制度であり、条件面でも重なっているため、同時利用できるのです。

2つの制度を併用すると、トライアル雇用中に就労移行支援事業所のスタッフから小まめなサポートを受けられます。就労移行支援単体での定着支援は就労移行支援事業所を離れた後なので月1回程度ですが、同時利用する場合はまだ在籍中のため、必要に応じて相談に乗ってもらいやすいのがメリットです。

ただし、トライアル雇用中も就労移行支援の期間に含まれます。就労移行支援の利用期間は原則として合計2年間ですので、期間を消費したくない場合は就労移行支援の利用をいったんストップすることも検討しましょう。

トライアル雇用の種類

トライアル雇用は以下の2種類があります。

  • 障害者トライアルコース:週20時間以上働ける障害者のためのコース
  • 障害者短時間トライアルコース:週10時間以上20時間未満働ける精神障害者・発達障害者のためのコース

それぞれ詳しく解説します。

障害者トライアルコース

障害者トライアルコースは、フルタイムの一般就労をめざす障害者が試験的に働き、障害者と企業がお互いに理解を深めながら継続雇用につなげるための制度です。障害者トライアルコースでは、週20時間以上の労働が条件に含まれています。

対象者障害者の雇用の促進等に関する法律 第2条第1号」に定める障害者に該当する人(障害の原因、種類は問いません) 
以下の1~3のいずれかを満たし、トライアル雇用を希望した人
1.紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望している
2.紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
3.紹介日の前日時点で、離職している期間が6カ月を超えている
※重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者の方は1~3を満たさなくても対象者です
トライアル期間精神障害のある人以外:原則3カ月間
精神障害のある人:原則6カ月間、最大12カ月間
※期間は企業と相談して決めてください

出典:厚生労働省 「障害者トライアル雇用」のご案内

障害者短時間トライアルコース

障害者短時間トライアルコースは、週20時間以上働くのがむずかしい精神障害や発達障害のある人が、試験的に働いて障害者と企業がお互いに理解を深めながら継続雇用につなげるための制度です。トライアル期間後は、最終的に週20時間以上の一般就労をめざします。

対象者・精神障害や発達障害がある人
・継続雇用を希望している
・本コースを理解し、利用を希望している
トライアル期間3カ月~最大12カ月
※労働時間は週10時間以上20時間未満です。企業と相談しながら、体調や慣れに合わせて時間調整できます。

出典:厚生労働省「障害者トライアル雇用のご案内」

トライアル雇用のメリット

厚生労働省の調査によると、トライアル雇用利用者の就職後1年後の定着率はおよそ8割弱で、全体の定着率6割弱に比べて高い傾向があります。このデータをみる限り、トライアル雇用の利用は自分に合う仕事をみつけるために役立つといえそうです。なぜこのような結果になるのか、3つのメリットを挙げて解説します。

出典:厚生労働省「障害者トライアル雇用のご案内」

自分にあった仕事・職場環境であるか確認できる

トライアル雇用の期間中は「自分に合った業務内容なのか」「自分の障害に合った支援や設備、環境などが整っているか」などを判断するチャンスです。トライアルといっても業務内容や職場環境は基本的に同じですし、賃金や福利厚生も変わりません。

実際に働いていないとわからないことも多いため、トライアル雇用は労働者側からみてもメリットが大きい制度といえるでしょう。期間も3カ月以上あるため、今後働き続けたときの自分をイメージしながら、疲労感やストレス具合などを確かめられます。

希望する配慮や接し方についてすり合わせができる

トライアル雇用はお互いの理解を深めながら、よりよい働き方を探す期間でもあります。いきなり本採用になると、こちらの要望を伝えにくかったり、企業の準備や配慮が行き届かなかったりすることもありますが、トライアル期間中であれば試行錯誤やすり合わせをすることができます。

たとえば、トライアル雇用の利用者からは「知らない人とのやりとりが多いと混乱するので、なるべく減らしてほしい」「休憩を30分に1回取らせてほしい」といった要望を伝えられます。逆に企業からは、「どのような業務が向いているのか」「どのようなサポート、設備が必要か」などを検討できるので、配慮や接し方についてすり合わせが可能です。

書類選考なしで面接に進める

トライアル雇用では、求職者の選考で必ず面接するルールになっています。一般的な選考と違い書類選考で落とされることはなく、無条件で面接に進めるのがメリットです。

したがって、事前に示されていた業務スキルを最低限クリアしていれば、トライアル雇用を開始してもらえる可能性は高いでしょう。また、障害のユニークな側面や障害の特性ゆえの強みといった、履歴書やエントリーシートでは伝えにくい部分をアピールしやすい場合があります。

トライアル雇用の注意点

トライアル雇用は雇用促進のための支援制度ですので、労働者にとってメリットが多いのは確かです。しかし、トライアル雇用を活用しても必ず継続雇用につながるとは限りません。また、トライアル雇用の活用によって他の就職活動に影響が出る場合もあります。トライアル雇用の注意点についても知っておきましょう。

必ずしも継続採用されるわけではない

トライアル雇用で採用されたとしても、トライアル期間終了後は改めて継続雇用(無期雇用契約)が判断されます。この審査に落ちれば、継続雇用には至りません。

さらにこの審査は、一般的な就職における「試用期間」から継続雇用の審査より厳しい面があります。というのも、トライアル期間後に継続雇用を見送る際は解雇手続きが必要なく、したがって会社都合での不採用が認められやすいからです。この点は、解雇手続きが必要で会社都合を通しにくい試用期間後の本採用見送りと違います。

ただし、トライアル雇用後も8割以上の人は継続して雇用されているので、過度にプレッシャーを感じる必要はありません。少し古いデータですが、トライアル雇用の継続雇用率は、2015年は85.5%、2016年は86.1%、2017年は86.5%と安定して高い水準です。トライアル期間中に自分の能力を発揮できれば、多くの場合、継続雇用に至るでしょう。

出典:厚生労働省 「障害者トライアル雇用のご案内」

トライアル雇用期間中は就職活動ができない

トライアル雇用期間中は、別の企業への就職活動はできません。また、ハローワークに頼んでも、別のトライアル雇用求人は紹介してもらえなくなります。

トライアル雇用では決められた期間、つまり最短でも3カ月間以上働くことが基本です。アルバイトやパートのように「気に入らなければ1週間くらいで辞めて他を探す」といった行動は簡単にできません。

したがって、本当にやりたい仕事や就職したい企業に絞ってから申し込みましょう。ハローワークの担当者に希望や条件を伝えると、トライアル雇用求人を紹介してもらえるので、よく考えてから応募することが大切です。

すべての企業がトライアル雇用をおこなっているわけではない

トライアル雇用は企業の義務ではないため、すべての企業が実施しているわけではありません。一定以上の従業員がいる企業は、障害者を雇用する義務がありますが、だからといってトライアル雇用をしなければならない法律はないからです。

そのため、希望する企業があったとしても、トライアル雇用をしていない場合もあります。どうしても希望の条件を満たす求人がない場合は、可能性を広げるために、就活移行支援の利用も検討するとよいでしょう。

トライアル雇用で自分にあった仕事を見つけよう

トライアル雇用は、障害者の人が継続的な一般就労をめざすために活用できる支援制度です。お試し期間があるトライアル雇用ならば、障害への理解や配慮などへの不安が大きい障害者であっても、お互いの信頼関係を築きながら就職につなげていけます。

また、トライアル雇用は就労移行支援との併用も可能です。2つを併用すれば、トライアル雇用中に就労移行支援スタッフからアドバイスやフォローを受けられるようになり、継続雇用の可能性が高まります。

Kaienは発達障害のある人へのサポートを得意としている就労移行支援サービスです。あなたのなかに眠っている仕事力を探すお手伝いをしたり、自分の強み・弱みを整理して対処方法を学ぶ講座を運営したりしています。ぜひお気軽にご相談ください。

ご利用説明会・見学会

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます


監修者コメント

いざ就職、ということを考えた時には様々な不安が去来します。職場そのものの環境面、周りのスタッフの人物的な面、そして業務内容そのものに見合った力が自分にあるのか、といった部分が代表かと思いますが、いずれにしても就職前には沢山の不安を抱くものですよね。トライアル雇用を利用できると、そういった不安がかなりな程度軽減可能といえそうです。注意点は必ずしも継続雇用とは限らないことですが、不安払拭のメリットのほうが大きそうです。仕事探しにおいて、職場でしかわからないことは想像以上に多いですからね。先日も、トライアル雇用ならではの利点を仰る患者さんを経験しました。チャンスがあれば検討してみてください。

監修 : 松澤 大輔 (医師)

2000年千葉大学医学部卒業。2015年より新津田沼メンタルクリニックにて発達特性外来設立。
2018年より発達障害の方へのカウンセリング、地域支援者と医療者をつなぐ役割を担う目的にて株式会社ライデック設立。
2023年より千葉大子どものこころの発達教育研究センター客員教授。
現在主に発達障害の診断と治療、地域連携に力を入れている。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、医学博士。


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