ASD(自閉スペクトラム症)の方の中には「就活が思ったように進まない」「自分に合う仕事がわからない」などの悩みを抱えている方もいると思います。ときには、就活の結果を周囲と比べて落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
ASDの方が就活を成功させるには、自分の特性や強みを理解し、適職を見つけることが重要です。この記事では、ASDの特性に応じた就活の工夫や、強みを活かせる仕事の探し方、利用できる支援などを紹介します。
ASDの方の就活に重要な特性理解とは
ASDの方が、心理検査やカウンセリング、自己分析シートなどを通じて自分の特性を理解することは、就職活動でとても重要なステップです。
なぜなら、特性を理解できれば、自分の得意分野を選び、苦手分野を避けられるからです。仮にルールや規則が明確な業務で高い集中力や正確さを発揮する強みを持っていれば、経理やデータ入力などが適職かもしれません。
また、自分の特性を理解していると、自分にあった職場環境をみつけやすくなるでしょう。例えば、イレギュラーな変化に対応するのが難しい特性を持った方なら、業務の役割や責任がはっきり決まっている職場を選んだほうがよいと判断できます。
就活は就職できればよいわけでなく、職場に定着できるかどうかも大切なポイントです。ASDの方が自分らしく働くには、特性を理解したうえで職種・業務内容・職場を選ぶ必要があります。
就活や仕事で強みになるASDの方の特性

ASDの方は以下のような特性を持っていて、仕事をするうえでの強みとなります。
- 興味のある分野に対して高い集中力や記憶力を発揮できる
- ルールや規則をしっかり守れる
- ルールに納得できれば常に一定水準の成果物を提供できる
- 高い論理的思考力がある
- 几帳面で正確に作業を進められる
ASDの方は特定のものに対して強いこだわりを持つ傾向があり、興味やこだわりのある分野に関係する仕事には集中して取り組むことができます。ミスや間違いに気づきやすいため、正確さが求められる仕事でも能力を発揮しやすいでしょう。
ASDの方に多い仕事の困りごとと苦手な理由
ASD(自閉スペクトラム症)の方は、何気ない雑談やあいまいな指示、急な予定変更などが苦手な傾向があります。こうした困りごとは、本人の意欲や能力に問題があるわけではなく、ASDの特性が影響していることが多いです。
ここでは、それぞれの困りごとにどのような特性が関係しているのか、苦手な理由と併せて見ていきましょう。
雑談やコミュニケーション
仕事をする際は多かれ少なかれ、雑談など会話のコミュニケーションをとる場面があります。ASDの方は「心の理論」と呼ばれる力が欠如している傾向があり、人の気持ちを想像したり理解したりするのが難しく、他者との密なコミュニケーションを苦手と感じる方が多いです。相手の感情や意図を読み取るのが難しいため
、雑談や社交的な場面で緊張したり、戸惑ったりすることもあります。
一方で、ASDの特性がありながら、確定診断には至っていない「グレーゾーン」と呼ばれる方の中には、周囲に合わせて「社会性のある自分」を演じてしまうケースも見受けられます。
一見すると社会に上手く対応しているように思えますが、実際には無理をして過剰に気を遣い、周囲に合わせようとする「過剰適応」が起きている場合があり、強いストレスなどから心身の疲労を招いてしまう恐れがあります。
あいまいな指示の理解
職場によっては「納期に間に合うように上手くやって」など、あいまいな指示を受けるケースも少なくありません。ASDの方は、「知覚統合」や「中枢性統合」といった情報をまとめて処理したり、全体を把握して適切な行動をとったりする力が弱い傾向にあるため、こうしたあいまいな言葉や間接的な指示を理解するのが難しい場合があります。
そのため、言葉の裏にある意図をうまく読み取れず、指示を文字どおりに受け取ってしまい、独自の解釈をしてミスにつながることがあります。このようなズレを防ぐためには、指示を受けたときに復唱して確認することが効果的です。
また、就職活動の段階で業務マニュアルの有無を確認しておけば、働き始めてからの不安を軽減することができるでしょう。
臨機応変な対応
仕事において、状況に応じて臨機応変な対応を求められる場面はたくさんあるでしょう。ASDの方の場合、「同一性保持の欲求」と呼ばれる決まったやり方や環境を好む特性により、変化やイレギュラーな状況への対応に苦手意識を持つことがあります。これにより、急な予定変更やイレギュラーな対応を求められた場合に、不安や混乱、拒絶などの行動を起こしやすくなります。
また、「実行機能」の弱さや「処理速度の遅さ」が柔軟な対応へ影響を及ぼすケースも多いです。これらの機能が弱い場合、すぐに判断したり返答するのが難しく、上司からの指示や問いかけに答えられずに沈黙してしまうなどの困りごとが見られるようになります。
刺激や情報量の多い環境での就労
接客業や飲食店などでは、音や光、においといった刺激が多い場所で働くことになります。ASDの方はこれらの刺激に過剰に反応してしまう「感覚過敏」という特性がある方もいます。感覚過敏がある方の場合、職場の雑音や蛍光灯の光、他人の話し声などに継続的なストレスを感じるケースも少なくありません。
特に、怒鳴り声のような強い音に対しては、自分に向けられたものでなくても動揺したり、パニックに陥ったりする場合もあります。誰かが怒られているのを見て、なぜか涙が出てしまったという経験がある方もいるのではないでしょうか。
感覚過敏に対応するためには、あらかじめ静かな職場を選ぶ、職場環境の刺激を調節するといった工夫が必要です。職場に配慮を求めるほか、自分でイヤーマフのような道具を用意して対策する方法もあります。内容やスケジュールが急に変わっても臨機応変に対応するのは困難です。こだわりが強すぎて一つひとつの作業に時間がかかり、周囲の人と仕事のスピードに差が出てしまうこともあります。
ASDの方が就活する上でのポイント

ASDの方が就活するにあたっては、自分の特性に合わせて就活を工夫しなければならない難しさがあります。ここでは、特性理解やかかりつけ医への相談などの重要ポイントを紹介します。いずれも、支援機関や医療機関を上手に活用することがポイントです。
医療機関に相談する
ASDの診断を既に受けており、かかりつけ医がいる場合は、就活を始めることを事前に相談しておいたほうがよいでしょう。
かかりつけ医はASDの特性や個人の健康状態を理解しており、適切なアドバイスを提供できるからです。ストレスを軽減するための対策やメンタルケアの方法、心身に不調が出たときにどうしたらよいかを助言してくれるでしょう。
就活では、自分の想像以上に負担が大きくなる場合があります。その結果、就活のストレスによって、うつ病や不安障害などの二次障害が起きるかもしれません。かかりつけ医に相談していれば、適切な休養を勧めたり、薬を処方したりしてもらえます。
障害者雇用も検討する
ASDの方が就活する際は、一般就労と障害者雇用のどちらを目指すか決めておくことが大切です。
障害者雇用では、障害者が職場で問題なく働けるようにするための「合理的配慮の提供義務」が法律で定められています。
例えば、感覚過敏を持つ人に対して騒がしい音や強い光を避けられる場所を用意したり、口頭での指示を理解するのが苦手な人に対してメールやチャット中心のコミュニケーションを図ったりするなどです。
こうした配慮は一般就労においても推奨されていますが、義務ではありません。合理的な配慮が必要だと感じるのであれば、障害者雇用を選んだほうがよいでしょう。
また、一般就労を選ぶ場合は、障害を開示するオープン就労と、開示しないクローズ就労のどちらにするかを決めておきましょう。オープン就労では他の社員と同じ条件で働くことができ、平等に評価される機会が増えます。
しかし、適切な配慮や支援を受けにくくなるリスクも想定しておかなければなりません。
契約社員から始めてみる
はじめから正社員を目指すのではなく、まずは契約社員から始めて、自分のペースで就職活動を進める方法もあります。正社員雇用に比べて契約社員は、勤務時間やシフトを柔軟に調整できる面があります。自分の特性や現在の健康状態に合わせやすいでしょう。
また、契約社員であれば、データ入力や倉庫内作業のように業務内容が明確に決まっていて、イレギュラーな作業が生じにくい仕事が多くあります。特定の作業に集中できるような仕事から始めたいという人にとって、契約社員からはじめてみるのもおすすめです。
支援機関をうまく活用する
ASDの方が無理なく、効率的に就活するには、一人で頑張りすぎず、各種の支援機関を利用することがポイントです。具体的には後ほど紹介しますが、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、就労移行支援事業所などが代表的な支援機関です。
これらの機関はそれぞれ得意分野や提供しているサービスなどが異なります。目的に合わせて使い分けたり、組み合わせたりすることが上手に活用するためのポイントです。
そのためには、どのような機関と支援があるか、一通り知っておくとよいでしょう。そうすれば、自分のニーズに応じて、適切な支援機関に相談できます。
ASD の方に向いている仕事

ASDの方には先ほど紹介したように強みが多くあり、それを活かせる仕事はたくさんあります。ここでは、ASDの方に向いている仕事を紹介します。
ルールやマニュアルがしっかりしている職種
- 経理・財務
- 法務・情報管理
- コールセンター
- テクニカルサポート など
ルールやマニュアルなど決められたものがあればそれ通りにできることが ASD 強みの一つです。経理、財務、法務はもちろん、重要性が増す個人情報の管理などにも向いているでしょう。
また、しっかりとマニュアルがあればコールセンターやテクニカルサポートなど対人の業務も問題なくこなしている人もいます。
一人で淡々と進められる職種
- プログラマー・テスター
- ネットワークエンジニア
- 電化製品等の販売員
- 塾での問題作成 など
知識や論理などが重要である一方で、ある程度すべきことが予想されるような仕事も ASD の方には向いているでしょう。
プログラマーやネットワークエンジニアなどのいわゆるITの中での下流工程の仕事に加えて、知識が豊富なほど営業トークが高まる電化製品の販売などモノの販売業にも適性を感じる人が多いようです。
これらの職種はひとりで黙々と作業に取り組めるので業務に集中しやすく、コミュニケーションも最低限で済む場合があるため、人間関係のストレスも比較的少ないです。自分のペースで働きやすいので、静かで落ち着いた環境が向いているASDの方に向いているといえます。
視覚情報が重要である職種
- CADオペレーター
- 工業系デザイナー
- 設計士 など
アパレルやウェブなど感覚が求められやすいデザイナーは適性を発揮できないことが多いかもしれません。
一方で工業製品などのデザインや CAD といった機能を求められる部分でかつ画像や映像など視覚情報のこだわりが生かせる職種は ASD の特性の強い方にはフィットする職種といえます。
ほかにも放射線技師など資格が必要な仕事も ASD の方に合う可能性が高いでしょう。
ASDの方に向いていない仕事
ASDの方は、以下のような仕事はあまり向いていません。
- カスタマーサービス
- 営業
- 接客業
- 秘書 など
これらは、人との密なコミュニケーションや臨機応変な対応、質問への素早い回答などが必要となる仕事です。ASDの方が苦手とする作業が多く、このような仕事に就くとストレスが溜まったり周囲とトラブルになったりする可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。
上記以外にも、チームでの作業が必要となる仕事や、作業スピードの速さが求められる仕事なども向いていません。
ASDの方の就活に関するよくある質問
発達障害*の方を中心として、障害のある方の就職をサポートしている弊社では、ASDの方から自身の特性や職業の相性に関する質問をよくいただきます。
ここでは、ASDの方の仕事に関するよくある質問を4つピックアップしてまとめました。ぜひ就活に取り組む際の参考にしてください。
職人気質な特性がある場合、就活はどう進めればいいですか?
確かに発達障害の方で職人的なものに出会えれば強さを発揮できる方は多いです。
職人になるには「手先が器用であること」、「その分野が本当に好きであること」の2つの条件が必要になります。
これらが当てはまれば挑戦することも可能でしょう。
ただし、残念ながら21世紀の日本では、職人的な部分だけでは足りません。
職人は自営業の方が多いため、自分で経理をしたりマーケティングをしたりと、経営につきもののマルチな仕事をこなす力が必要です。
また、こういった職人系の分野はコツコツと行う作業内容や業務内容について言語化・体系化されておらず、マニュアルがありません。発達障害の方が苦手な「阿吽の呼吸」、「見て学べ」的な部分が多いところになります。
つまり「職人系」と言っても同時並行に動く部分が多く、かつ目に見えないルールが多い職場です。このため現実的には職人系は就職先としておすすめできる分野ではありません。
しかし、中にはどうしても職人的な仕事をしたいという方もいるでしょう。器用さが人一倍あり、それだけの能力で認められる場合などです。
伝統工芸などの職人気質を問われる分野は人材不足の業界であり、行政で様々なサポートをしています。まずは、お住まいの自治体の窓口に問い合わせてみましょう。
公務員への就活は難しいですか?
公務員の仕事は定型と思われている場合が多く、公務員を目指したい方も多くいるようです。しかし、最近は定型部分はすでに業者に委託しています。
職員が行っているのは企画・調整などであり、多くの発達障害の方が苦手な業務となっています。
また、公務員試験には”受験”があります。大学受験の延長線上のように感じやすいためか、公務員試験を受ける方は非常に多いのが実情です。ですが、苦手な分野がある程度できたり、専門職での受験をしたりと、公務試験をクリアするには作戦をかなり練る必要があります。
「公務員の障害者雇用ならどうか?」というご質問もよく受けます。
公務員ではフルタイムの障害者採用はほとんどが身体障害者です。知的障害者や発達障害者向けの「チャレンジ採用」という3年限定の雇用枠はありますが、フルタイム(正職員)へのステップアップは無いことが一般的です。
障害者雇用に限っては民間企業のほうが(任せる職種の多様さや給与の高さでは)進んでいるといえます。
就活では苦手な職種にもチャレンジすべきですか?
ASDの方の中には、コミュニケーションが苦手な方も多くいますが、就活の際にこうした苦手分野にも敢えてチャレンジしようと思う方もいるかもしれません。しかし、発達障害の方のコミュニケーション力は劇的に高まるかと言うと、残念ながらそうではありません。
大学生のアルバイトの時には苦手なことにチャレンジすることも重要な考え方かもしれませんが、フルタイムで働く場合には、苦手な職種を目指すことは避けたほうが良いでしょう。
もちろんどのような仕事でもコミュニケーション能力、対人交渉能力は必要とされます。
職業訓練に通うなどで一定のコミュニケーションの型を学び、不安を取り除くことはおすすめできます。
しかし、コミュニケーションに限らず、ASDの方が苦手とすることは仕事をすれば克服でき、その能力が身につくわけではありません。極端に背伸びをせず、苦手克服よりも、得意が発揮できる道を選びましょう。
就活で就職できなかったら起業を目指すのはありですか?
発達障害の方の中には、発達障害のある著名な起業家の成功例をきっかけに「自分も起業に向いているのでは」と考える方がいますが、成功例だけで企業を目指すのは早計です。
代表的な例を挙げると、ASDを公表しているイーロン・マスク氏や、ADHDを公表している楽天の三木谷浩史氏などが挙げられますが、彼らが成功をつかみ取った背景には入念な準備や自己理解、環境対応力、メンタルの強さなど、さまざまな要素が積み重なっています。
仮に適性があった場合でも、事業を成功させられるかは、その後の努力によるところが大きいので、上手くいく保証はありません。成功者の例はあくまで参考事例として捉えておき、フラットな目線で自分に合った道を見極めましょう。
ASDの方の就職事例
当社の就労移行支援をご利用いただいた訓練修了生の就職事例をご紹介します。
31歳・男性 流通・事務職
マイペースで働くことができるだろうとのことで区役所へ公務員として就職。
しかし、濃密なコミュニケーションを求める上司など職場の気風に合わず退職することになります。
その後、アスペルガーとの診断を受け職業訓練などを経た後に Kaienの就労支援へ。
Kaienで面接練習を繰り返し行ったことで多くの発見があったとおっしゃっています。
現在、訓練されている方には「面接練習はたくさんやっとけよ」とアドバイスされるほどです。現在のお勤め先は Kaienに届いている求人( Kaien訓練生のみを対象にした、発達障害の特性に配慮した求人)から就職されました。
発達障害の特性に配慮がある企業なので不安なくお仕事ができているということです。
最近は仕事の量や種類が増えて大変さを感じつつも仕事に楽しみを見いだして勤務されているそうです。
趣味のゲームで不摂生にならないように注意しながら日々の仕事に励んでおられます。
性別 | 男性 |
年齢 | 31歳 |
診断 | アスペルガー |
業種 | 流通 |
職種 | 事務職(人事契約) |
Kaienの就労支援をご利用いただいた方々へのインタビューシリーズ「私とKaien」第15話より
35歳・男性 通信・経理職
スーパーで勤務していましたが交通事故で働けなくなり退社。
30歳で発達障害の診断を受け、それまでコミュニケーションが苦手なのは性格だと思っていましたが、発達障害が原因だったとわかります。
その後、Kaien の就労支援へ。
Kaienではさまざまな職種の仕事体験を行い、少しずつ自信を持つようになります。
特にオンライン店舗(実際にAmazonなどに店舗を持って、古書、古着、おもちゃなどをオンラインで販売する職業訓練プログラム)で店長の役割を担い、やり遂げた時には特別な達成感を得られたとのこと。
もともと独学で簿記の勉強をしていて3級を取得されていました。
Kaienでパソコンの訓練を行うことで事務の仕事にさらに自信を持つようになり、障害者枠で経理職として就職されます。
同僚の方々は年配の方が多いようですが、偏見の目で人を見ない良い方が多く「ここを辞めたら次はないよな」との思いで業務に励んでおられます。
性別 | 男性 |
年齢 | 35歳 |
診断 | ADHD傾向の強い自閉スペクトラム症 |
業種 | 通信 |
職種 | 経理 |
Kaienの就労支援をご利用いただいた方々へのインタビューシリーズ「私とKaien」第14話より
ASDの方が就活を行う際の支援先
ASDの方が仕事を探す際には、さまざまな支援が受けられます。ここではASDの方の仕事探しを支援している機関を紹介するので、わからないことや困ったことがあれば相談してみましょう。
ハローワーク
ハローワークは仕事を探している人に求人を紹介したり、就職に必要なスキルを身につけるための職業訓練を実施したりしている機関です。全国のハローワークには障害者関連の窓口が設けられていて、障害に関する専門知識を持ったスタッフによる支援が受けられます。
ASDの特性を理解したうえで、適した求人を紹介してもらえるのがメリットです。希望する職場での実習や個別の求人開拓なども行っていて、ASDの方の仕事探しをバックアップしてくれます。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害を持つ方の就職と生活について一体的な支援を実施している機関です。障害を持つ方に就業担当と生活支援担当がそれぞれ付いて、自立した日常生活・職業生活を送れるようサポートします。
就業担当はハローワークや地域障害者職業センター、障害を持つ人を雇用する企業などと連携しながら、一人ひとりの障害特性に合った職業訓練や就職活動支援などを行います。生活支援担当は、生活習慣の形成や金銭管理・健康管理への助言など、自立した生活を送れるよう支援します。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、職業リハビリテーションを実施している機関です。職業リハビリテーションとは、障害を持つ方が継続して働ける職場と出会えるよう支援する取り組みのことです。
主な支援内容として、一人ひとりの特性や資質に合った職業訓練の実施や求人の紹介、就職後の定着支援などがあります。各都道府県に最低1箇所は設置されているので、お住いの都道府県の地域障害者職業センターについて調べてみてくださいね。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す障害者の方を支援する「就労移行支援」という福祉サービスを実施する施設です。就労移行支援を活用する方は、就労移行支援事業所に通って職業訓練や就職活動のサポートを受けます。
就労移行支援事業所は全国にたくさんあり、事業所によってプログラムの内容が異なる場合があります。例えばプログラミングが学べるIT特化型の就労移行支援事業所など、特定の専門スキルを身につけられるところもあるため、希望の事業所を探してみてください。
就労移行支援事業所は自治体の窓口で紹介してもらえるほか、インターネットで「就労移行支援事業所」と「〇〇市」「〇〇駅」などのキーワードを組み合わせて検索すると見つかります。就労移行支援の利用を検討している方は、近隣にどのような事業所があるのか調べてみるのがおすすめです。
Kaienの就活支援
Kaienでは、発達障害の方をはじめとした障害のある方を対象に、学生向け就職支援「ガクプロ」、一般企業への就職を目指す「就労移行支援」、生活の基盤を整える「自立訓練(生活訓練)」という、3つの福祉サービスを提供しています。
ここでは、それぞれのサービス概要と利用するメリット、サービスの利用に向いている方を紹介します。
ガクプロ
ガクプロは、発達障害や発達障害グレーゾーンなどの障害特性のある学生向け就活・自立サークルです。グループワークと職場見学、個別コーチングの3本柱で、自己理解と社会参加の両方をサポートしていきます。
具体的な内容としては、以下のようなものがあります。
- コーチング
- 就活支援
- 障害福祉への接続
- 職業体験
- ライフスキル
- ペアトレ
ガクプロではこれまでに1,600人以上の就職支援を行った実績があり、85%の方が学校卒業後2年以内の就職・内定に成功しています。
発達障害の診断や障害者手帳がない方でも利用でき、コーチングはオンラインにも対応しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
就労移行支援
Kaienの就労移行支援は、18歳以上の発達障害などの障害がある方を対象とした、一般就労を目指すための支援サービスです。一人ひとりの特性や状況に合わせた個別支援を行い、就職活動から職場定着までの一連のプロセスを包括的にサポートしています。
具体的な内容としては、以下のようなサービスを提供しています。
- 就活支援・求人紹介
- カウンセリング
- プログラミング・デザイン・生成AIなど各種スキルの習得サポート
- オフィスワークコース
- 実践PCスキル・ビジネススキルなどの実践型プログラム
- 適職アセスメント
- 定着支援
- ペアトレ
就労移行支援では、これまでに2,000人を超える方の就職をサポートしてきました。また、最長3年半の定着支援も行っており、就職後半年の定着率が95%と高いのも大きな特徴です。
自立訓練(生活訓練)
自立訓練(生活訓練)は、すぐに就職を目指すのではなく、生活の安定や自己理解を深めることに重きを置いた支援サービスです。学生から大人の方まで幅広い年代の方を対象にしています。
具体的なプログラム内容は以下のとおりです。
- 感情コントロール
- 人間関係・コミュニケーションの習得
- スケジュール・片付け・お金の管理
- 睡眠コントロール
- 自分に合った進路を探す
- ペアトレ
中心となるのは、規則正しい生活リズムの確立や食事や掃除・洗濯といった生活スキルの習得、感情のコントロール、ストレスへの対処法などです。自分に合ったペースで将来に備えたい方にとって有効な支援になるはずです。
自分の特性を理解し強みを活かした就職活動を
ASDの方の就職活動は、苦手を無理に克服しようとするよりも、自分の特性を理解した上で、強みを活かせる仕事を探すのが大切です。Kaienが提供している、ガクプロ・就労移行支援・自立訓練といった支援を活用して、自分に最適なフィールドを探してみましょう。
仕事は、生活の中でも特に長い時間を費やすため、自分が納得して、自分らしく働ける職場を見つけましょう。就活に関するお悩みは、Kaienにもお気軽にご相談ください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。
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