知的障害(知的発達症)と診断され、仕事探しに不安を抱えている方はいらっしゃいませんか?
仕事や日常生活の困りごとが多く、支援を受けたくなることはありませんか?
知的障害の方は、その特性からさまざまな困難さが生じる場合がありますが、支援制度を活用すれば負担を軽くできます。障害に対して理解のある職場も少なくありません。
本記事では知的障害の方が抱えやすい悩みや働き方の工夫について解説し、活用できる支援サービスや支援を活用して就職できた事例なども紹介します。自分に合った仕事探しをしたい方はぜひ参考にしてください。
目次
知的障害とは

知的障害(知的発達症)とは、同じ年齢の人に比べて認知や言語などの知的機能の発達に遅れが認められる障害です。
知的障害の方は日常生活や仕事、学業において適応が難しくなる場合があり、周囲の方の理解や支援が欠かせません。
そこで厚生労働省は知的障害を以下の4つの区分に分け、さまざまな支援制度に反映させています。
| 区分 | IQの目安 | 障害の度合い(18歳以上の方の目安) |
| I(最重度) | ~20 | ・生活全般(安全確認、食事・入浴など)に支援が必要・意思疎通が難しく、周囲の方が表情や体の動きを読み取る必要がある |
| II(重度) | 21~35 | ・学業や仕事では個別支援が必要・食事、入浴、着替えなどは自分でできる・身ぶりや短い言葉でコミュニケーションできる |
| III(中度) | 36~50 | ・練習により日常生活の多くを習得できる・ひらがなの読み書きがある程度できる・決まった手順であれば学業や仕事ができる |
| IV(軽度) | 51~70 | ・日常生活はおおむね自立している・抽象的な思考が苦手・臨機応変な対応を除いて就業が可能 |
症状が重い場合、幼児期の早い段階で言葉数が少ないといった症状があらわれます。症状が軽い場合は、学校や職場に通うようになってから診断を受ける場合もあります。

知的障害の方が仕事で抱えやすい悩み

知的障害の方は、自分に合わない仕事を選んでしまったり、職場の理解と配慮が不足していたりすると困りごとを抱えてしまいがちです。
ここでは、その中でも特に多い困りごととして、以下の3つを解説します。
- 職場の人間関係や雑談が苦手
- 抽象的な指示や複雑な指示を理解しにくい
- 臨機応変な対応や報告・連絡・相談が難しい
職場の人間関係や雑談が苦手
職場では、「空気を読む」といわれるような、言葉にされないコミュニケーションが多く存在します。知的障害の方にとってこうしたコミュニケーションは苦手です。
知的障害の方は相手の表情・視線・声色などを読み取りにくい特性があるため、雑談が続かない、適切なタイミングで質問できないといった困りごとが生じてしまいがちです。
結果として、職場で孤立したり無視されていると感じたり、仕事上のトラブルに発展したりする場合があるでしょう。こうした困りごとを減らすには、支援の中心的な役割を担うキーパーソン(上司、先輩など)の存在が重要です。知的障害の方の感受性は豊かですので、心を開いた相手とはスムーズにコミュニケーションできる例がよくみられます。
抽象的な指示や複雑な指示を理解しにくい
知的障害では、情報処理の速度や作業記憶(頭の中で一時的に記憶を保持して使う働き)が限られる場合があります。このため、抽象的な指示や複雑な指示を理解しにくい場面が少なくありません。
例えば、「様子をみながら対応してください」「いい感じに仕上げてね」といったあいまいな指示を十分に理解できない場合があります。また、工程が多く複雑な作業も、自分の頭の中に段取りや完成イメージを作らなければならないため、混乱やミスを招きがちです。
このため、知的障害の方との共同作業に慣れている職場では、「工程ごとに写真・図を作成して依頼する」「工程を分割して細かく指示を出す」といった工夫をしています。さらに、「聞くのは得意だが、読むのは苦手」といった特性に応じた個別の対応によって、業務効率を高めている職場もあります。
ご本人の努力や工夫では解決できない部分もあるため、悩みごとを減らすには職場選びと配慮の要請が重要です。
臨機応変な対応や報告・連絡・相談が難しい
知的障害の方は、急な予定変更やトラブルに臨機応変に対応できない傾向があります。この際、周囲の人にサポートを頼めればよいのですが、コミュニケーションや対人関係が苦手なため報告・連絡・相談ができず、問題が大きくなってしまう場合が少なくありません。
例えば、コピー機が故障した際に、「どこまで自分でやってから報告すればいいのか」が分からず一人で抱えてしまうケースがあります。その結果、上司から「なぜ早く言わなかったの?」と叱責され、さらに報告が怖くなる悪循環につながるといった場合もあります。
「困っても言えない」「黙ってやり過ごす」といった事態にならないためには、キーパーソン(上司、先輩など)のフォローが欠かせません。また、後述する就労移行支援や自立訓練(生活訓練)などの支援機関において、ロールプレイでの練習やSST(ソーシャルスキルトレーニング)を受けておくと、困りごとを減らしやすくなります。
知的障害のある方ができる働き方の工夫や対処法

仕事上の困りごとを減らすには、働き方の工夫や対処法を身に付けることが重要です。
ここからは、職場や適職を選ぶ方法や、合理的配慮の要請、支援サービスの活用について具体的に解説します。
就労形態の幅を広げる
一般雇用以外に障害者雇用や福祉的就労を視野に入れるなど、就労形態の幅を広げる工夫も大切です。
障害者雇用は、障害者手帳(軽度知的障害の方は療育手帳)の取得により可能になる働き方です。従業員が一定数を超える民間企業や自治体には、定められた割合で障害のある方を雇用する義務があります。障害者雇用の場合、採用の段階で自身の障害をオープンにする必要がありますが、その分業務内容や勤務時間、職場環境の配慮を受けやすくなります。
福祉的就労は就労継続支援とも呼ばれ、一般雇用や障害者雇用での就労が難しい場合でも働くことができる支援制度です。働く以外に職業訓練や生活支援、一般就労へのサポートも受けられます。
福祉的就労は、就労の困難度合いに応じて「A型」と「B型」の2種類に分かれています。
上記の特徴をまとめると以下のとおりです。
| 就業形態 | 配慮の手厚さ | 求められる業務水準 | |
| 一般枠 | 一般就労 | 低~中 | 高 |
| 障害者枠 | 一般就労 | 中 | 中~高 |
| 就労継続支援A型 | 福祉的就労 | 中~高 | 低~中 |
| 就労継続支援B型 | 福祉的就労 | 高 | 低 |
合理的配慮を求める

合理的配慮とは、障害のある方が社会生活の場に障害のない方と同等に参加できるよう、それぞれの特性や困りごとに合わせて行われる配慮のことです。2021年に改正された「障害者差別解消法」により、事業者は障害のある方に合理的配慮を求められた場合、2024年4月1日から提供が義務化されました。
軽度知的障害の方への合理的配慮の例は以下のとおりです。
- 本人の習熟度を確認して業務量を調整する
- 指示を口頭だけでなく紙に書いて渡す
- 業務の急な変更を避けるなど
ひとくちに軽度知的障害の特性といっても個人差があるため、合理的配慮を求める場合は職場の上司や産業医などと相談し、自身に合った内容を決めましょう。
知的障害の方に向いている仕事を探す
軽度知的障害のある方は、抽象的な指示が通りにくかったり、臨機応変な対応をするのが難しかったりします。逆に、繰り返しの作業を丁寧にできることや変化の少ない作業をコツコツと続けられることは長所といえるでしょう。
職場で働きにくさを感じている方や、就職先を探しているもののなかなか見つからない方は次のような仕事が向いている可能性があります。
| 業務 | 特徴 |
| 書類整理 | ・定型的な業務が多い・ラベルや目印などを見ながら作業を進めやすい |
| 梱包/包装 | ・手順があらかじめ定まっている・見本通りに整える作業が中心のため、業務を理解しやすい |
| 検品 | ・判断の基準が明確・同じ流れを繰り返すほど業務が安定する |
| 組み立て | ・工程が明確で一つずつ確実に進めやすい・達成感を得やすい |
| 運搬 | ・ものを所定の場所へ届ける業務が中心・動きの流れが分かりやすく、迷いが少ない |
| 清掃 | ・日常の掃除の延長上で業務に取り組める・作業終了や仕上がりが目に見えて分かりやすい |
どの業務が向くかは、「体を動かすのが得意」「デスクワークが苦手」といった個性によっても変わります。
また、「新しい仕事に挑戦したい」「分かるまで説明してくれれば難しい業務もできる」などのお考えがある方もいるかもしれません。ご自身のやりがいも尊重しながら仕事を決めていくとよいでしょう。
就労移行支援など支援サービスを活用する
知的障害の方への支援サービスは数多くあり、目的や状況に応じて選べます。
主な支援サービスの特徴を以下にまとめました。
| サービス | 概要 | 向く方 |
| 就労移行支援 | ・実践的な職業訓練、就活サポート(求人紹介、面接対策など)、職場定着支援まで一括で伴走支援 | ・就職・転職を目指す方・復職を目指す方 |
| 就労継続支援A型 | ・事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上で働ける・勤務時間や業務量を段階的に調整できる | ・負担を調整しつつ、賃金労働で経験を積みたい方 |
| 就労継続支援B型 | ・雇用契約は結ばず、工賃で作業に取り組む・生活リズムの安定を優先し、短時間や低負荷の作業から始められる | ・手厚い支援を受けながら働きたい方 |
| 地域障害者職業センター | ・職業評価やトライアルを通じて強み・課題を見える化できる・配慮内容の整理をサポート | ・就職・転職を目指す方・在職中で職場環境の調整が必要な方 |
| 障害者就業・生活支援センター | ・就業面と生活面を一体的に支援・他の支援機関への橋渡しや同行支援 | ・就職・転職を目指しつつ生活面の支援も必要な方 |
| ハローワーク | ・求人検索、職業相談、応募手続きまで幅広く支援・障害者専門窓口での面談や企業との調整も利用できる | ・就職・転職を目指す方 |
| 自立訓練(生活訓練) | ・生活リズム、対人コミュニケーション、家事、金銭管理などの基礎を学べる | ・自立した生活を築きたい方・就職や一人暮らしの前にライフスキルを身に付けたい方 |

知的障害の方の就労のサポートは「就労移行支援」がおすすめ
前述のとおり、就労移行支援は実践的な職業訓練、求人紹介・面接対策などの就活サポート、就職後の職場定着までを一括で支える福祉サービスです。障害のある方が企業への就職や転職を目指す場面で、一般的な就活支援より手厚い伴走を受けやすい点が特徴です。
また、障害やメンタルヘルス不調で休職中の方も要件を満たせば利用できます。セルフケアやメンタルケアを学べば、自分らしい無理のない働き方が見えてくるでしょう。
「Kaien」の就労移行支援は、以下のような強みを持っています。
- IQ検査(WAIS)に基づく特性の把握と対策の提案
- 事務・工芸品制作・軽作業など、知的障害に合った実践的訓練
- 電話対応やメモの取り方など、基本スキルを段階的に習得
- 障害に理解のある200社以上と連携し、独自求人も紹介
- 就職・復職後の相談対応や、合理的配慮の伝え方の支援
Kaienでは無料で見学会や体験利用を随時実施しています。気になる方はぜひ、お気軽にご連絡ください。
次項からKaienの就労移行支援を利用した方の体験談を2例ご紹介します。
【体験談】体験実習を経て特例子会社への就職
Aさん(仮名)は母親の勧めでKaienの就労移行支援を利用しました。通所し始めたころは「新しい学校」という気持ちだったそうですが、事務補助や軽作業などの訓練を重ねるうちに、徐々に「働く準備」という意識が強まっていきました。
訓練後には必ず報告・連絡・相談の練習があり、仕事とはどういうものかを自然に理解できたといいます。こうした作業を通じて成長を実感でき、働く意欲と自信も高まっていきました。
Aさんが支援員と一緒に実習先を選びながら、最終的に就職した企業は特例子会社でした。特例子会社とは、障害者雇用を進めるために企業が特別な配慮のもと設立する子会社です。障害者に適した設備と業務内容があるのが特徴で、Aさんも自分に合った職場環境で安心して働いています。
【体験談】就労移行支援を利用して自分に合った仕事と課題を発見
Bさん(仮名)は料理が好きで栄養専門学校を卒業しましたが、就職活動を前に改めて「自分の適性を知りたい」という思いを強く抱いたといいます。そこでKaienの就労移行支援における実践的な職業訓練を通じて、自分の適性を模索していきました。
まず取り組んだのは、軽作業やパソコン入力です。しかし障害特性により集中力が途切れやすく、細かな作業にも困難がありました。
事務職は向かないと分かったBさんは、社内カフェでの実習を体験。接客業の楽しさや喜びを実感するとともに、人当たりの良さが強みになると理解できたといいます。実践的なスキルを身に付けたBさんはカフェ専属の職種に応募し、見事に内定を獲得しました。
知的障害に関するよくある質問
知的障害は目で見て確認できる部分が少ないため、いろいろな疑問や不安が浮かぶときもあるのではないでしょうか。ここでは、知的障害に関してよくある質問にお答えします。
知的障害はいつ気付かれることが多いですか?どこで診断されますか?
知的障害は、言語発達の遅れによって幼少期に気付く場合や、学校での学習のつまずきで気付く場合が一般的です。しかし、症状が軽い場合には、大人になって就職してから困りごとが増え、診断に至る方もいます。
知的障害かどうかの診察は、ご本人のためにも保護者の方のためにも、早い段階で受けたほうがよいといえます。治療法や対処法が分かり、各種の支援も受けやすくなるからです。
子どもの場合には、小児科・発達外来・児童精神科で診察を受けられます。成人の方は精神科・心療内科が窓口となります。
知的障害かどうか判定するには、知能検査のウェクスラー式(WISC/WAIS)でIQを測定する方法や、金銭・時間管理や対人応答などの適応行動を評価する方法が一般的です。
軽度知的障害と発達障害(自閉症スペクトラム・ADHD等)はどう違いますか?
軽度知的障害と発達障害*では、原因と症状が異なります。
軽度知的障害は発達期に知的能力の発達がゆるやかになり、日常生活や社会生活での適応能力が下がる傾向があります。一方、発達障害は生まれつきの脳機能の偏りにより、社会的コミュニケーションや注意力、柔軟性などに凹凸が出やすい障害です。
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの発達障害では、知能の遅れが見られない方が多く、特定の分野の知的作業で高い能力を発揮する方も少なくありません。ただし、発達障害と知的障害を併発する方も一定数います。
このように、軽度知的障害と発達障害は症状や困りごとに似た部分があるものの違う障害ですので、混同しないようにする必要があります。支援制度においても、知的障害は療育手帳の対象ですが、発達障害は精神障害者保健福祉手帳の対象です。
知的障害の二次障害とは何ですか?
二次障害とは、本来の障害特性による負担やストレスなどが積み重なり、違う病気を併発した状態を指します。知的障害では、うつ病や適応障害、不安障害などを併発しやすい傾向があります。
軽度知的障害の方は症状が軽いために、仕事や学業、日常生活における困りごとが周囲に伝わりにくく、支援が足りなくなる場合が少なくありません。その結果、心身の負担が続くうちにメンタルヘルス不調へ傾きやすい点に注意が必要です。
例えば、一般雇用で働く場合には、障害者雇用や福祉的就労に比べると、職場環境の配慮や支援が十分でない場合があります。こうした環境で働き続けるうちに、二次障害を発症する場合があるのです。軽度知的障害の方の中には、こうした二次障害をきっかけに医療機関を受診し、知的障害だと診断される場合もあります。
知的障害のある人は仕事だけではなく日常生活でどんな困りごとを抱えやすいですか?
知的障害は仕事だけでなく日常生活でも適応能力が限られるため、さまざまな困りごとを抱えやすい傾向があります。
具体的には以下のような困りごとです。
- 言葉が足りず誤解を招き、人間関係のトラブルになる
- 趣味の見つけ方や参加方法が分からず、孤立しやすい
- 読み書きや計算が苦手であるため、契約や支払いでトラブルになる
- 年金、福祉、税などの制度が理解できず、期限超過や未申請が生じる
- 長期的な計画を立てられず、給料をすぐに使ってしまい経済的に困窮する
こうした日常生活の困りごとは、工夫や訓練次第で改善できる部分もあります。例えば、先述した支援機関の一つである「自立訓練(生活訓練)」では、コミュニケーションや感情コントロール、スケジュール管理、金銭管理などのライフスキルを学べます。
知的障害のある人は経済的な支援や公的支援は受けられますか?
知的障害の診断を受け療育手帳を取得すると、以下のような経済的な支援や公的支援を受けられます。
【経済的な支援例】
- 医療費の助成:自立支援医療による通院医療の自己負担軽減
- 税の軽減:障害者控除、医療費控除など
- 料金や運賃の減免:公共交通、公共料金、NHK等の減免や割引(※自治体・事業者により異なります)
- 年金や手当:障害年金(※要件・等級により可否が異なります)
【公的な支援例】
- 就労支援:就労移行支援、就労継続支援、ハローワーク(障害者向けの窓口)、地域障害者職業センターなど
- 相談や生活支援:地域相談支援センター、障害者相談支援センター、障害者就業・生活支援センター、自立訓練(生活訓練)など
なお、就労移行支援、自立訓練(生活訓練)のように、必ずしも療育手帳を必要としない支援機関もあります。また、発達障害や二次障害の併発がある場合は、精神障害者保健福祉手帳の取得も可能で、支援の幅が広がります。
多くの支援があって迷う場合や利用方法が分からない場合は、まずは自治体の福祉窓口で相談に乗ってもらうとよいでしょう。
関連記事:療育手帳とは?対象者や等級の判定基準、申請までの流れと取得メリットを解説
知的障害で仕事に関する悩みを抱えているならKaienへご相談を

知的障害の方は、その特性上、日常生活や仕事で困りごとを抱えやすい傾向があります。症状が軽ければ困りごとが減る場合もありますが、その分、支援が少なくなったり仕事量が増えたりするなどして負担が増えてしまう方も少なくありません。
しかし、知的障害の方に対する支援制度や経済的な支援は数多くあり、配慮が行き届いた職場もあります。ご本人やご家族で悩みを抱え込まず、周囲の支援と協力を求めていきましょう。
Kaienの就労移行支援は、就職・転職・復職を目指す方に対し、自己理解のプログラムや職業訓練から、就活サポート、職場定着支援まで、自分らしい働き方を支援するサービスを一括でご利用いただけます。また、自立訓練(生活訓練)では、自立した生活を築くためのライフスキル習得を支援いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。
監修者コメント
俳優トム・ハンクスの好演で有名になった映画「フォレスト・ガンプ 一期一会」をご存じですか?アラバマ州の片田舎で育ったフォレストは、脚が不自由かつIQが75の軽度知的障害(現在では境界域知能)と診断され、公立小学校の入学を一時は断られます。しかし、母親ミセス・ガンプの他の子と変わらずに育てたいという強い希望で、フォレストは普通級への入学を果たします。その後、学校でいじめられたフォレストは、幼馴染で後に恋人となるジェニーに “Run! Forest! Run!” と言われて猛然と走りだします。
この俊足で頭角を現したフォレストはアメリカン・フットボール、ベトナム戦争、卓球選手権、エビ漁などで次々と有名になり、アメリカン・ドリームの体現者となるのですが、名声や富を得てもフォレスト自身は変わることなく、幼馴染のジェニーを一途に愛し続けるのです。
障害を持ってもひたむきに生きる美しさに多くの人が感動しましたが、知的障害を持つ方それぞれに合った仕事を支援することも大切な生き方です。そして最も大切なのは、フォレストに出会った人たちが彼を障害者ではなく大切な友人として接したように、私たちも相談にいらした方を大切な隣人として接することなのです。

監修:中川 潤(医師)
東京医科歯科大学医学部卒。同大学院修了。博士(医学)。
東京・杉並区に「こころテラス・公園前クリニック」を開設し、中学生から成人まで診療している。
発達障害(ASD、ADHD)の診断・治療・支援に力を入れ、外国出身者の発達障害の診療にも英語で対応している。
社会システムにより精神障害の概念が変わることに興味を持ち、社会学・経済学・宗教史を研究し、診療に実践している。



