軽度知的障害の方に向いている仕事は?一般枠と障害者雇用の違いや就労支援を解説

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障害のある方を取り巻く雇用状況は年々向上しており、2023年における知的障害者の雇用者数は約15万人で、前年と比べて3.6%増加しています。特に、軽度知的障害の方は訓練や職場環境によってできる仕事の幅を広げることが可能です。

本記事では、軽度知的障害の方に向いている仕事の紹介やさまざまな就労形態、仕事を探す方法について詳しく解説します。自分に合った仕事探しをしたい方はぜひ参考にしてください。

軽度知的障害とは

知的障害は精神遅滞とも呼ばれ、知的能力や適応機能の発達に遅れがあることによって生活や仕事において困りごとがある状態を言います。また、18歳までの発達期に発症しているのも特徴です。知的障害は重症度により4つの段階に分類されますが、軽度知的障害は発達の遅れが比較的軽い知的障害を指します。知的障害の4つの段階について、次で詳しく見ていきましょう。

知的障害の4つの段階

知的障害には、軽度、中等度、重度、最重度の4段階があり、IQ(知能指数)を1つの判断基準としています。

軽度知的障害はIQ50~69程度で、言語や抽象的な内容の理解に遅れがあるものの、家事など生活するために必要なことはほとんど1人で行えます。高い技術が不要であれば、さまざまな職種で働くことも可能です。

中等度知的障害はIQ35~49程度で、幼い頃に言葉の遅れは見られるものの、コミュニケーションスキルが身についてくると、職場環境や周囲のサポートにより働けるようになります。

重度知的障害はIQ20~34程度で、金銭や時間などの概念や漢字の読み書きなどの理解は困難ですが、学童期に会話や基本的生活習慣、自己管理能力を身につける方も多くいます。

最重度知的障害はIQ20未満で、言葉を使ったコミュニケーションが困難です。身の回りのことが自分でできず、意思疎通が図れないため常に保護を必要としますが、適切な訓練を受けることで改善が見込まれる場合もあります。

現在は、IQだけでなく日常生活能力やコミュニケーション能力なども見た上で、総合的に判断するのが一般的です。

軽度知的障害のある方に向いている仕事

軽度知的障害のある方は、抽象的な指示が通りにくかったり、臨機応変な対応をするのが難しかったりします。逆に、繰り返しの作業を丁寧にできることや変化の少ない作業をコツコツと続けられることは長所といえるでしょう。

このような特性から、知的障害のある方には次のような仕事が向いていると言われています。

  • 書類整理
  • 梱包や包装
  • 検品
  • 製品の組み立て
  • 運搬
  • 清掃

つまり、軽度知的障害のある方に向いてる可能性が高い仕事は、変化の少ないルーティン作業や、体を動かす業務などです。逆に、パソコンを使用する複雑なオフィスワークなどは難しいかもしれません。

軽度知的障害のある方の仕事の困りごと

軽度知的障害のある方は、仕事において次のような困りごとを感じることがあります。

  • 読み書きが苦手でメモ書きやマニュアルを読む作業等が困難
  • お金の管理が難しい
  • 仕事の手順などを覚えるのに時間がかかる
  • 複数人数でのコミュニケーションについていきにくい
  • 適切なタイミングや内容で報告・連絡・相談をするのが難しい
  • 臨機応変な対応ができない
  • スケジュールに沿って作業を進めるのが苦手
  • 職場のルールやマナーが伝わりづらい

このような困りごとは、職場環境によって対策できる場合もあります。例えば、イラスト付きの業務マニュアルやマナー表を作ってもらったり、いつ・誰に報告や連絡、相談をするのか決めておいてもらったりすると、軽度知的障害のある方も働きやすくなるでしょう。困った時はいつでもフォローしてもらえるようにチームで作業するのも良い方法です。

軽度知的障害のある方の就労形態

軽度知的障害のある方の就労形態としては、一般枠での就労の他、障害者雇用での就労や福祉的就労(就労継続支援A型・B型)もあります。障害者手帳の取得により、就労形態の選択の幅を広げることも可能です。それぞれの就労形態には異なるメリットとデメリットがあります。

では、それぞれの就労形態について、次で詳しく見ていきましょう。

一般雇用

一般雇用とは、障害のない方と同じ条件で採用されて働く就労形態です。軽度知的障害のある方の中には「知的障害があることを職場の人に知られたくない」と思う方もいるでしょう。一般雇用はそういう方にとって、プライバシーを守りながら働けるというメリットがあります。一方、障害や特性について配慮してもらうことが難しいため、仕事をする上で困難を感じやすい点が一般雇用のデメリットです。

障害者雇用

従業員数が一定数を超える民間企業や都道府県などの教育委員会、国や地方公共団体には障害者雇用があり、定められた割合(法定雇用率)の障害者を雇用する義務があります。法定雇用率は2024年4月より民間企業が2.5%、教育委員会が2.6%、国や地方公共団体が2.7%です。

障害者雇用には次の2種類があります。

一般企業等:障害の特性に配慮してもらうために自ら配慮事項を申し出なければならない

特例子会社:上と比べて、さらにきめ細かな配慮をしてくれる場合が多い

障害者への特例を利用できることや、職場で配慮してもらえることが、障害者雇用での就労のメリットです。一方、障害があることを職場の人にオープンにしなければならない点は、プライバシーを守りたい方にとってはデメリットかもしれません。

福祉的就労

福祉的就労は就労継続支援とも言い、一般枠や障害者雇用での就労が難しい方でも働くことが可能です。就労継続支援はA型とB型に分かれています。

就労継続支援A型

就労継続支援事業所と雇用契約を結んで工賃が支払われる就労形態です。一般枠での就労よりも勤務時間が短く、9割以上の方は無料ですが、一定以上の世帯収入のある方は利用料を負担して勤務や作業を行います。また、A型には年齢制限が設けられており、利用できるのは18歳以上65歳未満の方のみです。

就労継続支援B型

雇用契約のある仕事が難しい方向けの支援で、就労継続支援事業所へ通って作業し、工賃を受け取る就労形態です。B型には年齢制限がなく、働く時間や日数を自分の状態に合わせて決めることができます。

軽度知的障害のある方が仕事を探す方法

軽度知的障害のある方が、1人で自分に合った仕事を探すのは難しいかもしれません。そんなときは就労に関する支援機関に相談してみましょう。ここでは、軽度知的障害などの障害がある方向けに就労支援サービスを提供している支援機関を4つ紹介します。それぞれの概要やサービス内容について、以下で詳しく見ていきましょう。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害のある方を対象として就労継続支援や職業リハビリテーションなどを提供する機関です。また、利用者の主治医などの医療関係者と連携し、就職や就労継続、職場復帰などを目的とした専門的かつ総合的な支援を行っています。また、ハローワークとも連携しており、各都道府県に設けられているのも特徴です。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、地域の障害のある方の就労における自立のために、仕事面や生活面での困りごとに関する相談対応や支援を実施する機関です。福祉や教育、雇用などの関係機関と連携し、幅広い支援を提供しています。全国に337箇所(2023年4月1日時点)設けられており、窓口での相談対応や職場・家庭訪問なども行っています。

ハローワーク

ハローワークは公共職業安定所とも呼ばれ、障害の有無を問わず就労全般を総合的にサポートする雇用サービス機関です。ハローワークでは、一般枠就労と障害者雇用の両方について相談できます。障害者専用窓口があるハローワークもあり、そこでは障害への知見を持つ相談員や専門職員が障害のある方を対象とする求人情報の提供や就職相談を実施しています。

就労移行支援

就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指す場合に利用できる通所型の福祉サービスです。就労移行支援事業所では、就職準備の訓練や就職活動の相談や支援、就職後の定着支援など、就職前から就職後まで一貫したサポートを受けられます。

就職移行支援では、利用する方の過去の就労経験や障害の特性などを踏まえた個別支援計画を作成した上で、一人ひとりに合った内容のサポートを受けられるのが特徴です。また、就労移行支援の利用期間は原則2年までとなっており、2年以内の就職を目標とします。利用する方によっては半年など短い期間で就職できる場合もありますし、2年かけてじっくりと就職を目指す場合もあります。

就職移行支援の具体的な支援内容は事業所によって異なるため、事業所の公式サイトで確認するか、直接問い合わせてみましょう。

軽度知的障害の方の仕事探しには就労移行支援がおすすめ

Kaienでも就労移行支援を行っており、過去10年で就職者数が約2,000人(1拠点あたり15人以上/年)を達成しました。就職率86%・離職率9%と、業界最高レベルを実現していることがKaienの強みです。

Kaieの就労移行支援内容は次の通りです。

職業訓練

幅広い職種体験の中から、あなたの状態や特性に合った仕事が探せます。例えば、手や体を動かす軽作業や、伝統工芸などのもの作りのスキルなど、常時100種類以上の実践的な職業訓練が可能です。

独自のカリキュラム

就活講座やスキルアップ講座、ライフスキル講座など、ソーシャルスキルや自己理解の向上を目指すカリキュラムを50講座以上用意しています。自分の得意なことや苦手なことを把握することによって、苦手分野に対処するためのスキルの習得も叶います。

豊富な求人を扱う就活サポート

Kaienは障害に理解のある企業200社以上と連携しているため、他社では見つからない独自求人も紹介することができます。一人ひとりに担当カウンセラーも付き、あなたの就職をしっかりとアシストします。

定着支援

就職後も相談や職場訪問などのサポートを通じて、仕事や生活での困りごとなどに対する支援が受けられます。

就労移行支援の利用で自分に向いている仕事探しを

軽度知的障害のある方が仕事を探す方法はさまざまですが、就労移行支援を利用すれば、職業訓練やカリキュラム受講、カウンセリングなどを通して、自分に向いている仕事を見つけやすくなります。就労移行支援事業を展開するKaienでは、幅広い分野における専門的な知識・経験を持つスタッフたちが、あなたの就職を真摯(しんし)にサポートします。無料で相談会や見学会も行っていますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。