社交不安症(社交不安障害)の方の仕事探しと働き方|仕事が怖い時の対処法と支援先も

公開: 2024.4.12更新: 2025.8.19

人と関わる場面で不安や恐怖を感じる社交不安症(社交不安障害)の方は、仕事や就職などで課題に直面しがちです。社交不安に悩んでいる場合は、自分に向いている仕事の見つけ方や不安を抑えるコツを知り、働きやすい環境を探してみるとよいでしょう。

この記事では、社交不安症で働き方に悩んでいる方に向けて、仕事探しのポイントや仕事が怖い時の対処法などを紹介します。社交不安のある方が利用できる支援先についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

社交不安とは

十人十色という言葉があるように、性格や得意・不得意は人によりさまざまです。中には、内気な性格で人と話すのが苦手だという方もいるでしょう。学生時代は「授業の発表がつらい」、「友だちの輪の中になかなか入れない」などと悩んだ経験もあるかもしれません。

このように、人との関わりが苦手で不安や恐怖を感じる状態を社交不安といいます。学生時代は極力社交を避けた生活が可能だったかもしれませんが、就職などで社会に出ると嫌でも人付き合いをしなければならない場面が出てくるでしょう。

社交不安があるからといって、イコール病気というわけではありませんが、仕事の影響で対人関係などのストレスを抱えると心身の不調につながる恐れがあります。心身にSOSサインが出た場合は無理をせず、休養や転職なども視野に入れることが大切です。

社交不安症(社交不安障害)とは

人前に出ると緊張や不安があまりにも強く、仕事や生活にも支障をきたしてしまう場合、社交不安症に当てはまるかもしれません。社交不安症は、以前は社交不安障害(SAD)と呼ばれていた不安症の1つです。社交恐怖と呼ばれたり、従来は対人恐怖症という呼称も使われていたりしました。

不安症の中でも社交不安症は、注目されたり人前で恥ずかしい思いをしたりすることが怖くなり、人と会話することや、繁華街や電車、バスなど多くの人が集まる場所にいることに、強い苦痛を感じる症状が現れます。そのように感じることに自分でも「おかしいな」と気付いても、その感じ方を抑えることがなかなかできません。

社交不安症の主な症状と特徴

社交不安症では、恐怖や不安を感じる場所や場面で、次のような症状が出る場合があります。

  • 息苦しく感じる
  • 心臓がドキドキする
  • 冷や汗をかく
  • 頭の中が真っ白になる
  • 手足が震える
  • 声が震えたり、上ずったりする
  • 顔がほてったり、赤くなったりする
  • めまいや吐き気がする
  • のぼせる
  • 胃やおなかが痛くなるなどの消化器症状が出る

社交不安症になると、だんだんと恐怖や不安を我慢しながら生活するようになり、生きづらさを感じることがあります。また、恐怖や不安を避けたい気持ちから、人と会うことや外出を避けるようになるケースも少なくありません。それから、対人恐怖やあがり症も、社交不安症の症状に含まれることもあります。

社交不安症の発症原因

社交不安症の発症原因は、まだ解明されていない部分が多いです。

一説には、脳内の不安を感じる回路が過剰に反応することが原因ではないかといわれています。また、脳内のセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質が適切に分泌されず、必要以上に不安を感じてしまうという説もあります。

さらには、人前で恥をかいた体験により発症したという報告もあるため、正確な原因はまだわかっていません。ただし社交不安症は、かつて性格の問題として前述の通り「対人恐怖症」などと呼称されていましたが、現在は治療で改善できる病気であることがわかっています。

社交不安症と発達障害との関連性

社交不安症のような症状が幼少期から見られる場合、その背景に発達障害*が隠れている可能性があります。発達障害は生まれつきの脳の特性ですが、発達障害が原因で生きづらさを感じることも多いでしょう。そのストレスが後天的な精神的トラブルの発生につながることを、特性が引き起こした「二次障害」と呼びます。

また、発達障害の二次障害の1つに不安症があり、その中に社交不安症も含まれます。発達障害と不安症で感じる不安はよく似ていて、区別は困難です。ただし、発達障害は生まれつきの特性なので一生付き合っていくことに対し、不安症は適切な治療をすれば治る可能性があります。

発達障害の二次障害については、以下の記事で詳しく解説しているので併せてご参照ください。

発達障害の二次障害とは?症状と種類、予防法や支援機関を解説

社交不安症の受診や治療を考えるタイミング

社交不安症は、心療内科や精神科、メンタルクリニックなどで診断を受けることが可能です。不安や恐怖を回避するような行動が一定期間続いており、次のようなサインが見られる場合には、一度受診してみることをおすすめします。

  • 対人関係に悪影響が出ている
  • 職場で人前での発表など対人場面を避けている

精神疾患の診断については、医師によって診断のばらつきが出ないようにするために、国際的な診断基準が設けられています。主な診断基準は次の通りです。

  • 「DSM-5-TR」(「アメリカ精神医学会「精神疾患の診断・統計マニュアル」第5版Text Revision)
  • 「ICD11」(世界保健機関(WHO)「国際疾病分類」第11版)

社交不安(社交不安症)が仕事に与える影響とは?

人前に出ると過度に緊張したり、うまく言葉が出なくなったりする社交不安の症状は、仕事でもさまざまな場面で影響を与えます。どのような形で影響が出るのかを知ることは、働きやすい職種や職場を探すうえで役に立つでしょう。

ここでは、社交不安のある方が職場で抱えやすい困りごとや、仕事が怖いと感じる理由について解説します。

職場で抱えやすい悩みや困りごと

社交不安のある方が仕事で困りやすい場面や悩みとしては、以下の例が挙げられます。

  • 取引先や顧客、上司、同僚などと会話するのが怖い
  • 会議などの多くの人が集まる場面で過度に緊張する
  • 人前でプレゼンができない
  • 電話をかけたり、受けたりするのが苦手
  • 異動や転勤に不安を覚える

社交不安のある方は、基本的に他人と関わる場面を恐れる傾向があります。そのため、対話や電話、会議、プレゼンなど、仕事上のあらゆる場面で不安や緊張を感じることになります。

また、異動や転勤などで新たな人間関係を構築しなくてはならないことも恐怖の対象となり得るでしょう。

仕事が怖いと感じる理由

社交不安のある方は、「仕事の業務上、多くの人が集まる環境」にいると不安を感じやすくなります。人の視線が気になって仕事に集中できなくなったり、視線を向けられると声や手足が震えたりすることも少なくありません。その結果、仕事でも失敗しやすくなり、失敗による周囲の視線が気になって不安感が強まっていくのです。

こうした出来事が積み重なっていくと、ついには仕事自体が怖くなってしまうケースも珍しくありません。

社交不安症(社交不安障害)の方に向いている仕事

ここまで紹介してきたように、社交不安のある方は仕事中のさまざまな場面でストレスや不安を抱えてしまいがちです。社交不安がありながら仕事をするには、緊張や不安をできるだけ感じにくい仕事を選ぶことが大切です。

ここでは、社交不安のある方に向いている仕事を紹介します。仕事選びに悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

一人で黙々と取り組める仕事

自分のペースで一人で黙々と作業をこなせる仕事なら、周りの人と会話をしたり上司から指示を受けたりする場面がほとんどありません。周囲の人の存在が気になりにくいので、社交不安のある方でも緊張や不安を感じにくいでしょう。

人との関わりが少ない仕事なら、対人関係に悩むこともありません。仕事で人と関わることに強い不安を感じる方は、一人で作業ができる仕事を選びましょう。

一人で黙々と作業ができる仕事には、以下のようなものがあります。

  • 事務作業
  • 工場の軽作業
  • ライン作業
  • 研究職
  • エンジニア
  • 清掃員
  • 警備員 など

リモートワークや在宅勤務ができる仕事

リモートワークや在宅勤務ができる仕事なら、周囲に人がいない、自分が落ち着ける環境で仕事を進められます。人に話しかけられることだけでなく、周りの視線や発言も気になってしまうという人は、自分一人の空間で仕事ができるリモートワークや在宅勤務ができる職種を選ぶのがおすすめです。

出社が一切不要という職場は少ないかもしれませんが、「週に3回の在宅勤務が可能」「フレックスタイム制や時差出勤を採用している」といった仕事を選ぶことで負担を一部軽減することができます。

リモートワークや在宅勤務をしやすい仕事には、以下のようなものがあります。

  • 内職
  • パソコンを使った事務作業
  • エンジニア
  • Webデザイナー
  • Webライター
  • 動画編集
  • 翻訳
  • イラストレーター など

電話対応がない仕事

電話を苦手に感じている方も多いでしょう。社交不安のある方は、突発的にかかってくる電話に緊張したり、電話の相手に否定的な感情を向けられているのではと不安になったりするケースも少なくありません。

電話対応がない仕事を選べば、「電話がかかってくるかもしれない」という不安から解消されます。特に電話に苦手意識やストレスを強く感じる人は、そもそも電話対応が不要な仕事を選びましょう。

電話対応がない仕事として、以下のようなものが挙げられます。

  • IT関連の技術職
  • ライン作業
  • 清掃員
  • 調理師
  • 内職
  • 翻訳 など

交渉・プレゼンなど対人ストレスが少ない仕事

社交不安のある方は、人前で話すことに対して大きな不安や緊張、恐怖を感じることがあります。人前で話をしなければならない状況を避けるために、人との交渉やプレゼンをする必要がない仕事を選びましょう。

突然プレゼンを頼まれるなど、予期しない出来事も不安や緊張の原因になります。そもそも交渉やプレゼンをする必要がないとわかっていれば、安心して仕事ができるでしょう。

人との交渉や人前でのプレゼンをする必要がない仕事には、以下のようなものがあります。

  • ライン作業
  • 清掃員
  • 警備員
  • 貨物輸送
  • 内職 など

社交不安症(社交不安障害)の方が避けたい仕事や職場環境

社交不安症の方は仕事で困りごとに直面しやすいため、働き方が重要となります。自分に向いていない業務や職場環境に身を置いていると、仕事への恐怖心がさらに募ってしまう恐れがあるでしょう。

ここからは、社交不安症の方が避けるべき仕事や職場環境を紹介します。

人前に出る機会が多い職種

社交不安のある方は、人前に出ると緊張や不安から失敗してしまうことが少なくありません。そのため、仕事で人前に出る機会が多い職種は避けるのが賢明です。人前に出る機会が多い職種としては、営業職や販売員、接客業などが挙げられます。

営業職の場合は対人でのコミュニケーションが業務の根幹となるため、社交不安がある場合は致命的といえます。販売員や接客業も、商品説明や顧客対応がメインとなるので人前に出なくてはなりません。これらの職種は選択肢から外すのが無難でしょう。

急な対応・予測不能な業務が多い環境

予測できない突発的な業務やイレギュラーな対応が求められる仕事も、社交不安のある方にはあまり向いていません。臨時の業務に追われることでストレスが増え、症状が悪化する恐れがあります。

急な対応や予測不能な業務が多い職種としては、教師や秘書などが挙げられます。教師は生徒や保護者を相手に臨機応変に対応をしなくてはいけない職業です。秘書についても、柔軟なスケジュール調整など、対応力が求められます。

その他、バスツアーの添乗員や介護職なども予測できない業務が生じやすい環境にあるため、避けるようにしましょう。

チームワークやコミュニケーション中心の仕事

チームワークが重視される仕事や、コミュニケーション中心の仕事も対人ストレスを感じやすいです。コミュニケーションが多い仕事の例としては、美容師や受付スタッフなどが挙げられます。

顧客とコミュニケーションを取りながらスタイリングを行う美容師は、社交不安のある方にとってハードルが高いでしょう。受付スタッフなど、来客対応をメイン業務とする仕事も、常に人とコミュニケーションを取る必要があります。

電話・接客業務が主な仕事

電話対応や接客も人との会話が欠かせません。電話対応がメインの仕事としては、コールセンターのオペレーターなどが挙げられます。

コールセンターでは常に電話で顧客や取引先と会話する必要があり、人と話すことが苦手な方にとっては負担が大きいでしょう。また、クレーム対応も業務の一環なので、精神的なストレスで不安感が増す恐れもあります。加えて、カフェやレストランなどでの接客業務も、人と接する機会が多い仕事なので避けるのがおすすめです。

社交不安のある方が仕事を続けるための工夫とコツ

社交不安のある方が仕事を続けるためには、職場環境や生活習慣など、さまざまな角度からアプローチして症状の改善を図るとよいでしょう。

ここからは、社交不安と上手く付き合いながら仕事を長く続けるための工夫やコツを紹介します。

業務量や職場環境を見直す

社交不安があって仕事の作業に支障が出ている方は、業務量や職場環境を見直してみましょう。例えば、出張を減らしてもらう、通勤負担のない在宅勤務やリモートワークに変更してもらうなどが挙げられます。

また、業務時間や出社する日を少なくすることでも、精神的・体力的なストレスの軽減につながります。まずは、自分の業務内容や働き方への配慮を受けるためにも、上司や同僚に相談をすることが大切です。

このように、社交不安などを理由に業務量や職場環境を見直すことは、合理的配慮とされており、法律で提供が義務化されています。上司や同僚に障害を打ち明けるのが怖いと感じる方もいるかもしれませんが、職場環境の改善や適切な配慮を受けるためにも、信頼できる人に相談してみましょう。

適切な治療を継続する

社交不安のある方は、適切な治療を継続して症状の緩和を目指すことも一つの方法です。社交不安症の治療では、主に薬物療法と認知行動療法が活用されます。

薬物療法では主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が使用され、一定の改善効果が確認されています。認知行動療法は、医師や臨床心理士などとのカウンセリングを通じて認知や行動のゆがみを直し、社交不安を感じにくくする方法です。

いずれの治療にも時間がかかるため、専門家の指導の下、適切な治療を継続していく必要があります。

生活習慣を整える

生活習慣の乱れは健康状態を悪化させ、精神のバランスにも悪影響を与えます。睡眠や食生活などの生活習慣に乱れがあると社交不安を一層感じやすくなるため、生活習慣を整えることが重要です。

まず、十分な睡眠の質と量を確保するようにしましょう。日中は散歩などで体を動かすようにすることで、夜に眠りやすくなります。また、栄養バランスのとれた食事で、体の健康を維持することも大切なポイントです。

規則正しい生活を心がけ、心身の状態を安定させて不安症状の改善を目指すとよいでしょう。

リラックスする方法を身につける

社交不安のある方は、慢性的なストレスなどから不安をより感じやすくなる傾向があります。そのため、リラックス方法を身につけてストレスを軽減させ、心のバランスを保つことが症状の軽減につながります。

おすすめのリラックス方法は、入浴やストレッチなどです。仕事が終わった後にゆっくりとお風呂に浸かる、仕事の合間にストレッチで凝り固まった筋肉を伸ばすなど、自分なりのリラックス方法を探してみるとよいでしょう。

また、緊張しそうなときに深呼吸をするだけでも、ある程度気分が落ち着くものです。散歩などの軽い運動も取り入れながら、ストレスを減らす生活を意識してみましょう。

必要に応じてカウンセリングや支援機関に相談する

先述のとおり、カウンセリングは社交不安症の治療をするうえで効果的なアプローチの一つです。各種支援機関でもカウンセリングを実施しているため、有効活用することをおすすめします。

カウンセリングには、相手とのやり取りを通じて自己理解を深めていく目的があります。そのため、相手のアドバイスや回答を求めすぎない姿勢が大切です。カウンセリングは対話を通じて自分自身への理解を深めるプロセスなのだと認識し、粘り強く取り組むことで将来への道筋が見えてくるでしょう。

社交不安症(社交不安障害)の方の仕事探し・転職のポイント

社交不安症(社交不安障害)の方が仕事を探すときは、不安を感じやすい場面や苦手な作業などを考慮する必要があります。また、必要に応じて障害者雇用や就労移行支援などを活用することで、将来の選択肢が広がるでしょう。

ここからは、社交不安症の方が就職・転職するときのポイントを紹介します。

自分の状態・得意不得意を把握する

まず、「自分はどんな場面で不安や苦痛を感じるのか」「苦手な場面ではどんな困りごとがあるのか」など、自分の症状や状態について知り、理解を深めることが大切です。そのためには、1度クリニックなどを受診して、医師やカウンセラーからアドバイスをもらうのも良いでしょう。また、自己分析をするのもおすすめです。厚生労働省が提供している5分程度でできる自己分析ツールなどもありますので、ぜひチェックしてみてください。

求人情報で重視したい項目

仕事選びでは、給与や福利厚生などの待遇が良い仕事や、自分が好きな職種を重視したいと考えている方が多いのではないでしょうか。しかし、社交不安のある方は待遇や職種だけでなく、職場環境や働きやすさも重要なポイントになります。

高待遇で好きな職種の仕事に就けたとしても、不安を強く感じてしまう職場では長く働き続けられません。「在宅勤務ができる」「電話対応がない」など、先ほど紹介したような負担の少ない職場を選ぶことが大切です。

また、職場環境に加えて、職場までの距離や通勤手段も考慮しましょう。「家から遠く、通勤時間が長い」「最寄り駅から職場まで混み合うバスに乗らなければならない」といった場合は、職場環境に問題がなくても通勤が負担になってしまう可能性があります。

障害者雇用の検討

社交不安症などで精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方は、障害者雇用という働き方もできます。障害者雇用に前向きな企業や団体はたくさんあります。ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの支援機関で、自分が働きやすい職場がないかを相談することも可能です。

国や地方公共団体、都道府県などの教育委員会、従業員数が一定数を超える民間企業には、それぞれ定められた割合の障害者を雇用することが義務づけられており、それを「法定雇用率」と言います。法定雇用率は、国や地方公共団体が3.0%、教育委員会が2.9%、民間企業が2.5%です。いずれの場合も、常時雇用の従業員100人あたり2人以上の障害者を雇用しなければなりません。

厚生労働省の調査でも、民間企業の雇用障害者数が右肩上がりであることが公表されています。働き方の選択肢として、検討してみるのもよいでしょう。

就労移行支援などを活用

就労移行支援を利用しながら仕事に慣れていく方法もあります。就労移行支援とは、障害のある方が一般企業への就職を目指すための通所型福祉サービスです。就職の事前準備をするための職業訓練から、就職活動の支援や就職後の定着支援まで行っています。

就労移行支援では、障害の特性や過去の就労経験などを踏まえた「個別支援計画」を作成した上で、それぞれの方に合った支援が受けられます。なお、就労移行支援は原則として2年まで利用可能です。就労移行支援を利用するためには、就労移行支援事業所を選ぶ必要があります。事業所を探す方法は、次の3つです。

  • 自治体の窓口(市町村役所の福祉課や福祉事務所)で相談する
  • 専門機関(ハローワーク、障害者相談支援事業所、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターなど)で相談する
  • インターネット検索で探す(「就労移行支援事業所 〇〇市」などのキーワードで検索)

また、就職への基盤づくりとして活用できる福祉サービスとして、自立訓練(生活訓練)もおすすめです。自立訓練(生活訓練)では、自立した生活に向けたスキルの習得や障害特性の理解を深めるプログラムなどを提供しています。担当スタッフとのカウンセリングを通して、自分自身や将来の進路を見つめ直すことができるのも強みです。

社交不安症(社交不安障害)の方が利用できる支援制度・機関

社交不安症の方が利用できる支援機関は、主に以下が挙げられます。

  • 就労移行支援
  • 自立訓練(生活訓練)
  • 障害者就業・生活支援センター
  • ハローワーク(公共職業安定所)
  • 精神保健福祉センター
  • 地域障害者職業センター

社交不安症などの精神疾患がある方は、就労移行支援や障害者就業・生活支援センターなどで就労サポートが受けられます。ハローワークは障害の有無を問わず誰でも利用できる公的機関で、地域密着型の職業相談や求人紹介などのサービスを提供しています。

また、社交不安症で継続的な通院が必要と認められた場合は、自立支援医療制度で医療費の負担を軽減できる可能性があるでしょう。

仕事や就職が怖いときは支援制度を有効活用しよう

仕事で注目されるのが怖い、人前で話すのに強い不安や恐怖心を感じるといった場合は社交不安症の可能性もあるため、悪化する前に心療内科や精神科を受診しましょう。社交不安症と診断されても、症状を理解し自分に向いている働き方を見つければ、仕事の継続や再就職も可能です。

まずは、自分一人で悩むのではなく、職場の上司や同僚に相談してみましょう。他にも、社交不安症の専門知識を持っている就労移行支援や、自立訓練などの支援機関の利用もおすすめです。中でもKaienでは、就労移行支援と自立訓練(生活訓練)を実施しており、希望に合った支援を受けることができます。

福祉サービスのため自己負担額0円で利用している方も多いので、お住まいの自治体の障害福祉課などで利用の要件などをご確認ください。私たちと一緒に、あなたの特性を活かせる職場を見つけましょう。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。

監修者コメント

社交不安、は日本人に馴染み深い不安、性質と言える気がします。社交不安症を診断するための国際的にも使われているLSAS-Jという尺度がありますが、特に日常生活に支障がない方でも、日本人は結構な高得点になりがちです。また、社交不安の内容としても、自分が緊張する、恥をかくことを恐れる、ということの他に、「(体臭や、視線、顔つきなどのため)他者に迷惑をかけてしまう」加害的な社交不安を持っていることも日本人の特色として挙げられたりしています。

いずれにしても、社交生活を極端に避けてしまい、日常生活や社会生活における支障となっているのであれば、精神科による診断と治療を仰ぐべきでしょう。社交不安症が特に若い時期に発症した場合には、あたかも自分の性質で変えられない、と思いこんでいる方もいますが、実は認知行動療法によって改善する可能性も大いにありますし、役立つ薬もあることは知っておいてください。その上で、どんな仕事に就くのが良いか、自分を取り巻く環境をどのように調整すべきか、を考えるにあたっては、是非就労移行支援をはじめとした外部の支援機関も頼ってくださると良いでしょう。

監修 : 松澤 大輔 (医師)

2000年千葉大学医学部卒業。2015年より新津田沼メンタルクリニックにて発達特性外来設立。
2018年より発達障害の方へのカウンセリング、地域支援者と医療者をつなぐ役割を担う目的にて株式会社ライデック設立。
2023年より千葉大子どものこころの発達教育研究センター客員教授。
現在主に発達障害の診断と治療、地域連携に力を入れている。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、医学博士。


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