GATB(General Aptitude Test Battery)

主要9種の働く力を測る検査
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GATBとは?

GATBは多様な職業分野で仕事をする上で必要とされる代表的な9種の能力(適性能)を測定することで、検査対象者の理解や適職領域を検討することができる検査です。もともとはアメリカで開発されたこの検査は、昭和27年から複数回の改定を経て実施されてきました。

GATBは発達障害*の有無にかかわらず、就職活動をしている人や、自分の職業適性を知りたい人、得手不得手を整理したい全ての人が検査対象です。

中学2年生からが対象で、約50分程度で実施することができ、身近な場所だとハローワークで申し込みをすることができます。また、中高生の進路指導の一環として実施される場合もあります。

時間内にできるだけ多くの問題に正確に回答することが求められる最大能力検査で、検査の種類は多いですが、一つ一つの検査にかかる時間は短く設定されています(たとえば数十秒~数分程度)。

後述する9つの適性能の状態から、検査対象者の得意・苦手を整理したり、職業適性を検討するために役立てられます。

GATBの検査項目

GATBは、筆記による検査と器具を操作する検査にわかれています。

筆記による試験は11種類で、以下の内容が含まれます。

  • 円の中に点を打つ検査(円打点検査)
  • 記号を記入する検査(記号記入検査)
  • 形と大きさの同じ図形を探し出す検査(形態照合検査)
  • 文字・数字の違いを見つける検査(名詞比較検査)
  • 同じ図柄を見つけ出す検査(図柄照合検査)
  • 置き方をかえた図形を見つけ出す検査(平面図形判断検査)
  • 加減乗除の計算を行う検査(計算検査)
  • 同意語かまたは反意語を見つけ出す検査(語意検査)
  • 展開図で表された立方体を探し出す検査(立方図判断検査)
  • 文章を完成する検査(文章完成検査)
  • 応用問題を解く検査(算数応用検査)

器具を操作する検査は4種類で、以下の内容が含まれます。

  • 棒を差し込む検査(さしこみ検査)
  • 棒を上下逆に差し替える検査(さし替え検査)
  • 丸びょうと座金を組み合わせる検査(組み合わせ検査)
  • 丸びょうと座金を分解する検査(分解検査)

上記の検査を通して、9つの適性能を測定します。

この9つの適性能は、様々な職業分野で働くために必要な代表的な能力を表しています。具体的には以下のとおりです。

  • 知的能力(説明や概念を理解したり、推論し、判断したりする能力)
  • 言語能力(ことばとことばの関係や文章の意味を理解し、使いこなす能力)
  • 数理能力(速く正確に計算したり、応用問題を解いて推論する能力)
  • 書記的知覚(文字や数字を直感的に見分け、違いを見つけ、校正する能力)
  • 空間判断力(立方体を理解したり、平面図から立体を想像したりする能力。ものとモノの位置関係や変化を理解する能力)
  • 形態知覚(ものや図形を見比べて、形や陰影など細かな差異を見分ける能力)
  • 運動共応(目で見ながら手で迅速な運動を正しくコントロールする能力)
  • 指先の器用さ(小さいものを巧みに取り扱う能力)
  • 手腕の器用さ(手腕や手首を巧みに動かす能力)

9つの適性能の得点を整理し、検査対象者の中での能力の凸凹や、同年齢集団と比較した場合の水準を確認します。結果はグラフで示されるので、視覚的にわかりやすくなっています。

また、様々な職業をその職業が必要としている適性能のパターンと水準によって40のグループに分けた「適性職業群」について、「基準を満たしている」「基準をほぼ満たしている」「基準を満たしていない」の照合結果が表示されます。農林漁業や保守管理、教育関係など13の職業領域がさらに細かく40の適性職業群に分かれています。(たとえば、農林漁業領域であれば動植物の採取・飼育・栽培と動物管理・水産養殖・園芸に分かれています)

これにより、自分の得意・苦手の把握だけでなく、関心のある職業グループへの現時点で自分の適性を確認したり、どのような領域の仕事に適性があるのか検討することができます。

GATBの結果の活用方法

GATBでは自分の得意・苦手なことを整理することができます。このような検査結果を受け取った際、ついつい「苦手なこと」に目が向きがちですが、例えば自分の中でも比較的得意なことが検査を通して改めて確認することで、就職活動の自己PRのヒントになったり、応募する企業の職種を検討する際の参考になったりします。

またGATBの結果から自分では思ってもみなかった職業グループに適性があることがわかる、という場合もあります。自分の適性と希望する職種がマッチしている場合でも、そもそもの求人数が少ないという職種もあります。例えば、身体を動かすことが好きで野球の才能に恵まれ野球選手を目指していても、そもそもプロ野球選手は狭き門(求人が少なく採用方法が特殊)です。つまり、適性と興味がっていても誰しも思い通りの仕事につけるとは限りません。

そんな時GATBの結果を参考に、野球選手以外で自分の強みが発揮できる仕事はないか?と検討してみると、新しい選択肢が見えてくるかもしれません。

【参考】

一般社団法人雇用問題研究会 http://www.koyoerc.or.jp/school/assessment_tool/209.html

独立行政法人労働政策研究・研修機構https://www.jil.go.jp/institute/seika/tools/GATB.html

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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます