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ADHD 男性と女性で特徴に違いはある?ADHDを見過ごされやすいのはどんなタイプ?ADHD

 ADHDと診断された人の中で男性と女性の割合は 2.5:1 から 1.5:1 程度と言われています。またこの割合は子供の頃は男の子の方が女の子よりも診断される割合が多く、大人になるにつれて男女差が小さくなるようです。これは男性と女性によってADHDの特性の出方が異なるために、女性でADHDの特徴は持ちながらも子供の時は見過ごされてきてしまった人が少なくないことも関係していると言われています。

 この記事では、ADHDの男性と女性でどんな特性の違いがあるか、またそれぞれの困り感の違いや特性が見過ごされやすいタイプについて、当社でのよくある事例を元にお話しします。

男性は多動/衝動性、女性は不注意が強い傾向あり

 ADHDの人の特徴として不注意と多動/衝動性の2つが挙げられますが、ADHDの女性には不注意の特徴が強く出る人が、ADHDの男性には多動や衝動性の特徴が強く出る人が多い傾向があるようです。「学校で席にじっと座っていることが難しかった」となど多動や衝動性から起こる行動は周囲から見て分かりやすく気づかれやすい一方で、「授業中に他の考え事をしていて指示されたことができていない」といった不注意から起こる行動は周囲からは分かりづらく気づかれにくい傾向があります。これが女性がADHDがあることを家庭や学校で見過ごされやすい理由の1つです。

 またもう1つの理由として、男性では多動や衝動性の特徴は先ほど例で挙げたように身体の動きに現れることが多いですが、女性では「自分の話したいことを周りを気にせず話し続けてしまう」といった会話などの言葉に現れることが多く、ADHDの典型的な「じっとしていられない」イメージに引きずられてしまうと、他の場面で出ているADHDの徴候に気づかないこともあるでしょう。

女性のADHDの人には「女性らしい行動」を求められるつらさがある

 ADHDのある女性には不注意の傾向が強いことが多く、例えば「不思議ちゃん」と周りから言われるような人もいます。このようなタイプの場合、単にぼうっとしていたりさぼっているだけだと間違って理解されてしまうことも少なくありません。周囲から気づかれず適切な支援を受けずに子供時代を過ごしてしまうと、自己肯定感が低くなってしまったり、不安障害や心身症といった二次障害が発症してしまう可能性が大きくなってしまいます。

 またADHDの女性は、子供の頃には「少し抜けているところがある」程度で周囲から受け止められていたのが、大人になると女性らしい細やかな気遣いを求められるようになり、「気が利かない」などと周囲からネガティブに受け取られてしまいやすくなる面があります。その他にもADHDの人は片づけや家事が苦手な人が多いですが、「女性だから家事はできて当然」というプレッシャーを家族から受けたり、家事ができない自分を自分で責め過ぎてしまうこともよくあります。

男性のADHDの人は集団生活でのトラブルが表面化しやすい

 次にADHDのある男性に多いタイプを見ていきましょう。多動や衝動性が強いことが多いため、例えばつい他の人が話していることや行っていることに必要もないのに首を突っ込んでしまったり、言わなくてもいいのに相手の気に障ることを言ってしまい、学校や友人関係・職場でトラブルを起こしやすい傾向があります。集団生活になじめないと進学や就職に支障が出てしまい、引きこもりになってしまうことも残念ながらあります。

 このように特徴が周囲から分かりやすい男性のADHDの人も多い一方で、男性でも特性が見過ごされることは少なくはありません。例えば多動でじっとしていられない子供でも、「男の子だから元気なんだね」と多めに見られることが続いてしまうと、行動を修正する機会を逃してしまうことになります。また男性にも不注意の特徴の方が強く出ている人もいて、こちらも問題行動が目立つ人に比べると周囲から気づかれづらい傾向にあります。どちらの場合も成長するにつれて求められる振る舞いが高度になり、例えば職場で集中して作業に取り組むように言われてもなかなかうまくいかないことで初めて問題が表面化することがあります。

大人になってADHDの困り感に気づいた人も支援機関に相談しよう

 当社での事例を見ていくと、男女によってADHDの特性の出方に差が見られることもありますが、共通して言えるのは大人になって職場や家庭で求められるハードルが高くなるにつれて、それまで特性を見過ごされてきた人も困り感が強くなるということです。仕事や生活で難しさを感じている場合は、少し勇気が必要かもしれませんがお近くの発達障害に詳しい支援機関や医療機関に相談することをお勧めします。働きやすくなるため、また暮らしやすくなるためのヒントを得るために、是非支援機関を活用してみてください。

【参考】使える福祉・医療サービス

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執筆: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。これまで1,000人以上の発達障害の方の就労支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴