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発達障害に向く仕事・働き方 ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)編コミュニケーションが苦手だけど、真面目でルールを守ることが得意なタイプの方へASD・アスペルガー仕事

 発達障害の中でも自閉症スペクトラムやアスペルガー症候群の診断のある方は、特徴が割合に見えやすく、対策や適職も見つけやすいと言われています。ただし、論理的だからプログラマー、コツコツするのが得意だから職人や公務員、というのは強引な考え方です。それぞれの職種で求められるものは毎年のように変化していきます。この記事では得意が見えやすく、苦手に工夫がしやすい働き方をQ&A方式でお伝えします。

  1. 職人的なもの、伝統工芸、農作業などが特性にあいそうです。このような仕事への就職活動はどうすればよいですか?
  2. 定型業務が良いなら公務員はどうでしょうか?
  3. 発達障害に良いといわれるコツコツ系・ルーティン系の仕事だとお給料が低いようです。それなりの給与がもらえる仕事はありますか?
  4. コミュニケーション力を鍛えるためにわざと苦手な仕事をすべきですか?

Q1. 職人的なもの、伝統工芸、農作業などが特性にあいそうです。このような仕事への就職活動はどうすればよいですか?

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 確かに発達障害の方で職人的なものに出会えれば強さを発揮できる方は多いです。職人になるには手先が器用であること、その分野が本当に好きであること、の2つの条件が必要になります。これらが当てはまれば挑戦することも可能でしょう。

 ただし残念ながら21世紀の日本では、職人的な部分だけでは足りません。職人は自営業の方が多いため、自分で経理をしたりマーケティングをしたりと、経営につきもののマルチな仕事をこなす力が必要です。

 またこういった職人系の分野は、コツコツした部分が上手に言語化・体系化されておらず、マニュアルがありません。発達障害の方が苦手な阿吽の呼吸、見て学べ、的な部分が多いところになります。つまり”職人系”と言っても同時並行に動く部分が多く、かつ目に見えないルールが多い職場です。このため現実的には職人系はお勧めできる分野ではありません。

 どうしても職人的な仕事をしたいという方もいるでしょう。器用さが人一倍あり、それだけの能力で認められる場合などです。伝統工芸は人材不足の業界であり、行政で様々なサポートをしています。まずお住まいの自治体の窓口にお問い合わせください。

Q2. 定型業務が良いなら公務員はどうでしょうか?

 公務員の仕事は定型と思われている方が多いようですが、最近は定型部分はすでに業者に委託しています。職員が行っているのは企画・調整などであり、多くの発達障害の方に苦手な業務となっています。

 公務員試験は”受験”があります。このため大学受験の延長線上のように感じやすいためか、公務員試験を受ける方は非常に多いのが実情です。ですが、苦手な分野がある程度できたり、専門職での受験をしたりと、作戦をかなり練る必要があります。

 公務員の障害者枠ならどうか、というご質問もよく受けます。公務員ではフルタイムの障害者採用は身体障害者がほとんど。知的障害者や発達障害者向けの「チャレンジ採用」という3年限定の雇用枠はありますが、フルタイム(正職員)へのステップアップは無いことが一般的です。障害者雇用に限っては民間企業のほうが(任せる職種の多様さや給与の高さでは)進んでいるといえます。

Q3. 発達障害に良いといわれるコツコツ系・ルーティン系の仕事だとお給料が低いようです。それなりの給与がもらえる仕事はありますか?

 発達障害の方でASD傾向の強い方は「定型業務」への適性があることが多いでしょう。このため、繰り返し、コツコツとする仕事は向いています。人との接する場面の多い上流工程(お客様の要望や自分の会社の状況を考えながら可能なサービスや商品を考え調整する部分)ではなく、「下流工程」(変化が少なく、ルーティンを定められた通りに行う部分)の仕事がフィットしやすいでしょう。ただし「定型業務」「下流工程」は給与が低めに抑えられがちなところは注意が必要です。

 アスペルガー症候群・自閉症スペクトラムの特徴を生かしながら、しっかりと暮らせるだけの仕事は例えば下記のようなものがあります。

  • 経理・財務、法務・情報管理、コールセンター、テクニカルサポートなど、ルールマニュアルがしっかりしている職種 
  • プログラマー・テスター、ネットワークエンジニア、電化製品等の販売員、塾での問題作成など、数字・論理豊富な知識で対応できる(人の気分に左右されにくい)職種
  • CADオペレーター、工業系デザイナー、設計士など、視覚情報が重要である職種 

 ルールやマニュアルなど決められたものがあればそれ通りにできることが自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群の人の強みの一つです。経理、財務、法務はもちろん、重要性が増す個人情報の管理などは向いているでしょう。またしっかりとマニュアルがあればコールセンターやテクニカルサポートなど対人の業務も問題なくこなしている人もいます。

 また、知識や論理などが重要である一方で、ある程度すべきことが予想されるような仕事もアスペルガー・自閉症スペクトラムの人には向いているでしょう。プログラマーやネットワークエンジニアなどのいわゆるITの中での下流工程の仕事に加えて、知識が豊富なほど営業トークが高まる電化製品の販売などモノの販売業にも適性を感じる人が多いようです。

 アパレルやウェブなど感覚が求められやすいデザイナーは適性を発揮できないことが多いかもしれません。一方で工業製品などのデザインやCADといった、機能を求められる部分で、かつ画像や映像など視覚情報のこだわりが生かせる職種はASDの特性の強い人にはフィットする職種といえます。ほかにも放射線技師など資格が必要な仕事も自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群の人に合う可能性が高いでしょう。

Q4. コミュニケーション力を鍛えるためにわざと苦手な仕事をすべきですか?

 発達障害の方のコミュニケーション力は劇的に高まるかと言うと残念ながらそうではありません。大学生のアルバイトの時には苦手なことにチャレンジすることも重要な考え方かもしれません。が、フルタイムで働く場合に苦手な職種を目指すことは避けたほうが良いでしょう。

 もちろんどのような仕事でもコミュニケーション能力、対人交渉能力は必要とされます。職業訓練に通うなどで一定のコミュニケーションの型を学び、不安を取り除くことはお勧めできます。しかし決して接客や雑務の仕事をすればその能力が身につくわけではありません。極端に背伸びをせず、苦手克服よりも、得意が発揮できる道を選びましょう。