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業務効率化で注目されるRPA 求人動向と発達障害への向き・不向き

働き方改革の切り札として注目され、「RPAで〇〇万時間の残業時間を削減!」というタイトルを経済紙の紙面に躍らせるRPA。発達障害特化の当社独自求人でも、RPAエンジニアを任せたいという企業が少しづつ出てきています。またKaienの職業訓練にあるクリエイティブコースでもRPA講座を開設して大好評です。今日はそんなRPAと発達障害についてお話したいと思います。

どんな求人がある?

RPAは企業で普及しはじめて時間の経っていない技術ということもあり、求人はまだこれから増えていくかという段階です。注目はしているけれど実際の活用については様子見という企業が多いようです。

当社に来ている発達障害の方向けの求人を見ますと、RPA関連の求人は大きく2つの流れがあります。

1つは以前からプログラマなどIT職種を募集していて、開発に使う技術の一つとしてRPAを挙げている求人です。当社とお付き合いの長い企業もあり、スキル次第では月給25万円超を目指すことも可能となっています。スキルはともかくとしても業務への高い意欲は求められますが、開発業務への理解が深い職場というところでは安心感はあります。

もう1つの流れは、主にデータ入力など事務サポート業務で募集しているが、強みを活かせそうであれば加えてRPAもお願いしたいという求人です。事務職の経験はあるがRPAにも挑戦してみたいという方にはこちらが合うかもしれません。既にExcel VBAをある程度使いこなせるがRPAにも興味があるという方も活躍できる会社あります。

今の時点では数は多くはありませんが、一部の求人は当社の発達障害特化型求人サイト「マイナーリーグ」でもご覧いただけます。求職者の方のご利用は無料ですので、興味を持った方はぜひご覧になってください。

RPAは発達障害の人に合う?

RPAではプログラミングの専門的な知識をひたすら溜めていくというよりも、従来手作業で行っている業務やソフトの操作を理解していかに労力をかけず自動化するかという面が(比較的)大きい仕組みです。このため発達障害の方、特にADHD的な方にとっては、様々なソフトウェアや仕事に興味を持ち「自分ならこうする」という発想とその実現が得意な方には向いているかもしれません。また、品質管理に慎重な会社であればRPAが実際の業務で運用される前にしっかりとテストするプロセスを設け、大きな事故につながる前にミスを見つけられることも多いでしょう。

一方で、RPAは後述するような特性から想定外であったり原因のよく分からないエラーに悩まされることも他の技術より多くあります。スランプに陥ったときに粘り強く対処できるか、あるいは周囲に助けを求めらるかというところも問われるかと思います。同じ部署にRPAのトラブルを解決できる人が自分しかいないというような責任の重いところは避けたほうがいいかもしれません。

普段何気なく手作業でやってしまえるようなマニュアル作業でもRPAに落とし込むにはロボットをどう動かすかそれなりに細かく指示を与える必要があります。このことからASDの方についてはコツコツとマニュアル作業をRPA化するような業務では特に強みが活かせると思います。

ただし、これはRPAに限らず業務系開発全般に言えることなのですが、実際にはプログラミング等の知識ばかりではなく、IT化する業務についての理解も必要になってきます。つまり給与計算業務であれば人事の方がどうその仕事を進めているかというようなことです。これは障害者雇用の話ではないのですが、RPAに取り組むと属人化した業務が多くその聞き出しに苦労したという企業の声も聞こえています。現場の方の業務に興味を持てるか、RPAを導入する部署の方との調整をどうカバーするかというところも上司の方なども気を遣って上司の方などと相談しておいた方が良さそうです。

そもそもRPAって?

Robotic Process Automation(=ソフトウェアロボットによる業務自動化)の略称になります。マクロやスクリプトなど近隣分野の技術と比べた場合の一番の特徴として、キーボード入力やマウス操作などユーザーからの直接的な操作をシミュレートすることに強いです。

ほかのマクロやスクリプトなどの技術は、(ユーザーの操作を直接シミュレートするというよりは、)操作対象となるアプリケーションが自動化のためのインターフェース(仕組み)を用意していて、そのインターフェースを通して処理を行うほうが得意なことが多いです。あくまでどこに重点を置いているかという、程度問題ではあるのですが。

この違いによりRPAは、気合と根性さえあれば特に自動化のための仕組みがないアプリケーションでも自動化できてしまいます。マウス操作等を直接シミュレートして操作対象のアプリケーションを自動化することに強いためです。

一般の事業会社で活用されていたかを別にすれば、実はRPAは最近ぱっと出たものではありません。RPAという名前がついていなかっただけで、以前から同種の強みを持つツールはありました。Macユーザーであれば最初から入っているAppleScriptを使ったことがあるかもしれません。WebブラウザをGreasemonkeyスクリプトでカスタマイズしていた方もいるでしょう。それなりに経験のあるWebエンジニアの方ならSeleniumの名前を聞いたこともありますよね。

このほか大企業での運用をカバーするために、RPAで組んだプログラムを利用する部署に配布するための機能があったり、ちゃんと動いているかどうか監視する機能が付いているものもあります。これらはRPAの特徴というよりは、大企業向けの運用監視ツールなどを内包したおまけ機能という見方もできます。しかし、事業会社からしてみるとこのおまけの部分も価値としてはかなり大きいのでしょう。

プログラミングしなくても自動化できる?

「RPAはプログラミングが必要ない」といううたい文句は、嘘とまでは言い切れないですがかなり誤解を招きやすい表現です。そもそも「プログラミングしなくて良い」=「高度なIT知識が必要ない」ではありません。例えば関数をふんだんに使ったExcelのシートはそれなりのIT知識を要しますが、あまりプログラミングとはいいませんよね。

現時点ではまだ、RPA活用で成果を上げている会社は、現場でカイゼンを進めたというよりは下記のように外部のIT企業を活用したり社内の専門部署が主導していることが少なくないようです。

RPAの「キーボード入力やマウス操作等をシミュレートすることがメイン」という特徴は、やもすると作るのが簡単そうに聞こえてしまうかもしれません。実は、確実に動かそうと思うとExcelマクロのようにAPI(専用のインターフェース)を使って自動化したほうが楽なことも多いです。

マウス操作等による自動化がなぜ難しいかというと、実際には「目の不自由な方に対し視覚情報に頼った操作を強いる」ことに近いからです。例えば、「経費精算の最後に『保存』ボタンを押す」という操作を考えてみましょう。RPAでは「『保存』ボタンはどういうもの」というのを後で困らない程度には精確に打ち込む必要があります。「『保存』というラベルがついているもの」で分かってくれれば良いのですが、同じ画面に『保存』ボタンが何個もあったり、場合によってはRPAツールからラベルが読み取られなかったりします。そういうときは仕方ないので「画面の何個目のボタン」とか「画面右から50ピクセルのボタン」とか指定することになることもあります。

またマクロに限らず一般的なプログラミングの場合、たとえばExcelの機能を呼び出すとその処理が終わるまでマクロ等の次の処理に移らない(専門的な言葉で同期処理といいます)ことがほとんどですが、RPAではそうではありません。RPAの場合は、自動化対象のアプリケーションの処理が終わったかRPA側でチェックする必要があることが多いです。RPAで自動化対象の処理が終わったかどうかを精確にチェックするのは結構手間のかかるもので、これがRPAがエラーを出しやすい原因の一つとなっています。

作るだけなら前述の通りで良いのですが、実際には自動化対象のアプリケーションの画面レイアウトが未来永劫そのままという保証もありません。目の不自由な方の使う物の場所を勝手に変える人は少ないと思いますが、RPAではそうもいかないので、RPAの組み方がラフだったり、バージョンアップなどの時にテストを行わないような会社だと、ちょっと環境が変わっただけですぐ動かなくなってしまいます

念のために付け加えておくと、「ではマクロやスクリプト等が使うインターフェースも同じようにバージョンアップの影響を受けないのか」と思うかもしれませんが、画面レイアウト等UIの変更よりはマクロ等が動かなくなるようなインターフェース変更のほうが少ないです。AI等のごく一部の例外を除くと、機械が想定外の変更に弱いというのは分かり切っているので、機械による操作を始めから意識している部分はあまり変更されないものです。多少イレギュラーなことがあってもすぐ慣れるのは人間の強みで、そこを簡単にカバーできるようなRPAツールはまだ存在しません。

そういう訳で、RPAが強みとしているマウス操作等のシミュレートによる自動化は、自動更新のクラウドサービス等とは相性が良くないです。といってもRPAでもマクロを呼んだりプログラミングらしいプログラミングのできる機能もなくはないので、自動化対象によって使い分ければ良いのですが。

ニュースでRPAによって成果を挙げたという話題では自治体や大手金融機関の名前をよく聞くのですが、堅くて慎重でソフトウェアのバージョンアップ一つにもずいぶん気を遣いそうな業種ということと関係は浅くないと(私は)考えています。

ならRPAにメリットはない?

もちろん使いようによってはメリットは大きいです。少なくとも自治体や大手企業が真剣に取り組むだけのメリットはあります。

なにせRPAはユーザーの操作をそのままシミュレートすることを得意としているので、特に自動化のための仕組みがないようなソフトウェアでもほとんどは強引に自動化できてしまいます。自動化するために元の(自動化対象の)ソフトウェアを買い替えたりする必要がありません。(ただし成果を挙げているところでは業務プロセスの見直しもセットでしていることがほとんどですが……)Excelみたいにマクロが組めて簡単に自動化できるものなら良いのですが世の中そういうソフトばかりでもないので、これは結構大きいです。

またRPAはちゃんと作ろうとすると先述のように「そもそも『保存』ボタンとはなんぞや」といったような哲学的な思考を要求されますが、軽くさわってみる程度なら業務マニュアルの少し詳しいものを書く感覚で作れます。そこからRPAの才能を開花させる方もいるかもしれませんし、Excel VBAにもRPAに近い機能もあるのでそちらに移っていく方もいるのでしょう。

ただしRPAツールは主に大企業で使われており、また普及しだしたのが比較的最近ということもあり、世間に出回っている情報はそう多くないため、自主学習は少し難しいかもしれません。現時点では自主学習のしやすさでは(ちゃんと勉強しようと思うと)圧倒的にExcel VBA、バッチファイルやPowerShellのほうが上なのですが、当社のような教育機関が利用できる方は試しに触れてみるのも良いかと思います。(Kaienの就労移行でも実践形式のRPA講座が受けられます )