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超短時間労働と発達障害

改正障害者雇用促進法の短時間勤務支援は追い風となるか?

2020年4月1日から施行される改正障害者雇用促進法。ニュースでは公的機関での水増し問題が大きく取り上げられましたが、その他に週20時間未満しか働けない障害者の雇用を支援する制度と、障害者雇用に熱心な中小企業にメリットを与えて良い事例を広報する制度が新設されます。そこで、今回は障害者枠における短時間勤務の現状についてお話します。

障害者枠では、1日8時間未満でも働ける会社は少なくない

勤務時間についての配慮は、企業側ができる配慮としてはもっともしやすいものの一つです。当社の就労移行訓練の修了生のうち障害者枠で就職された方をみますと、1日5~6時間から働き始めて職場に慣れることを目指した方は障害者枠全体の約1/4になります。

(上記グラフ中の勤務時間は標準労働時間であり、残業や休憩時間は含みません)

平成30年度障害者雇用実態調査リンクでも、発達障害の方へ配慮にしていることについては「短時間勤務等勤務時間の配慮」が 76.8%と最も多くなっています。(ただし何らかの配慮があった事業者は全体の40.3%)体力的な問題で残業が多い職場はつらい……という方も障害者枠では安心して働ける職場を見つけやすいです。

ただし、短時間勤務を選択すると労働時間に比例して給与の額も減少します。業務の切り出しがうまくいっておらず手すき時間が多く出るような職場でも同様で、これは企業や支援機関の努力のほか法制上の改善も望まれるところですが……。これから就職や転職を考えている場合は、労働時間ばかりでなく職場の忙しさなどについても調べたほうが良いでしょう。

ただし、現在の制度だと、障害者枠は週最低20時間働くことを求められる

障害者雇用促進法により、企業や公的機関に対し従業員のうち最低何人は障害者を雇用しなければならないということが義務付けられています(法定雇用率といいます)。

ただし、障害者の雇用義務を果たしていると認められるためには、障害者の方に週20時間以上働く必要があります。週30時間未満だと0.5人分としかカウントされないため、短めの会社でもせいぜい1日6時間(週5日で30時間)です。これは働く障害者の保護のためでもあり、頭数だけそろえて短時間しか仕事をさせず給与を払わないことを防ぐためでもあるのですが……。

実は精神障害者保険福祉手帳をお持ちの方については、2018年4月から試験的に雇い入れ後3年以内など一定の条件を満たす場合は週20時間台でも1人分の障害者雇用義務を果たしているとカウントする制度が始まっています。しかし、当社の修了生に限ってみると働き始めでも6時間未満勤務という方は3%もいません。

2020年4月から週20時間未満の勤務を支援する制度ができる

近年精神障害者保健福祉手帳をお持ちで就労を希望される方が大幅に増えており、その中で中長期にわたって現行制度の支援対象となる週20時間以上の勤務についていけない方がでてきているといいます。そのため、2020年4月から週20時間未満の障害者の雇用を支援する制度が始まります。すでに先行事例として東京大学先端科学技術研究センターの近藤武夫准教授が中心となり川崎市・神戸市・ソフトバンク社などで官民での実践リンクが進んでいます

ただし、週20時間未満の勤務を支援する新しい制度については、あくまで特例給付金が雇用主に支給されるのみであって、障害者雇用のカウントとしては計上できないことになっています。雇用主が法定雇用率を達成しているかどうかの計算からは除外されるということです。

また、新しい制度の細かい点については行政と有識者で検討中ですが、その労働政策審議会の資料リンクによりますと「週20時間未満の障害者雇用への支援についての上限は、その雇用主が雇っている週20時間以上勤務の(つまり法定雇用率の判定にカウントされる)障害者の人数まで」「支給額は短時間労働者1人当たり月5,000円~7,000円程度」を検討となっています。

このため、この制度の効果は限定的であり、「職場に慣れるまで短時間勤務で落ち着いて仕事をしたい」というようなケースに、少なくとも当初は留まるでしょう。今後、どのように実践例が増え、既存の障害者雇用の仕組みにいつどのように組み込まれていくのかが期待されます

Kaienの対応 自立訓練(生活訓練)の立ち上げ

当社も支援の幅を広げるにつれて、職場で長時間安定して働くだけの体力が身についていないという問題を目にするケースが増えてきています。そこで来年(2020年)4月から、就労を目指す前に落ち着いて体力づくりと生活力を身に着けることのできる「自立訓練(生活訓練)」事業をスタートします。発達障害の方によくみられる優先順位付けの苦手さなどは職場でばかりでなく私生活にも深刻な問題が出ている場合もあり、生活リズムの安定とともに職業人としての力もアップしていくものと考えています。