発達障害*の方にとって一般的な保険に入ることは難しい、仮に入れても十分にサポートを受けられないなど、逆風を受けることが多いのが現状です。また、保険は難解なイメージがついてくるため、疎遠になりやすいと言えるでしょう。
そこで今回は、障害者保険のシステムを作り上げた方をゲストにお招きしました。ダイジェスト版では「障害者が障害者保険を必要とする場面」について取り上げていきます。
動画
ゲスト
榎本重秋さん
ぜんち共済株式会社代表取締役社長。外資系保険会社を経て2006年に「ぜんち共済株式会社」を設立。現在は障害者を専門にした保険の事業に携わり、障害者の事故解決にも当たっている。
【1】障害者が障害者保険の助けを必要となりやすい場面
職場・学校・地域でパニックを起こし、何かしらの損害を与えてしまった場合は、まず「故意・過失による損害を賠償する責任」を負いますが、発達障害者の場合は「未成年者は賠償責任を負わない」や「心神喪失者は賠償責任を負わない」という法律により賠償を免れることが多いです。ただ、「責任をもたない人を監督した者が賠償責任を負う」とも法律にあり、「賠償問題になった際は障害者の代わりに誰か責任を負わなければならない」ことになります。ところが、保険会社の損害賠償の約款には「心神喪失により発生した賠償に関しては支払わない」とあるのが一般的なので、賠償を確実に行える保険が必要になるのです。
【2】病気による入院での医療費に関して
公的な保険の額を超える場合は自己負担が発生します。例えば聴覚過敏や知的障害者など、相部屋で過ごすのが困難な方には個室ベッドが与えられますが、相部屋ベッドより1日平均8000円高くなることがあります。他にも付き添いが必要な場合の費用や就労者の場合は収入ダウンと、様々なお金に関する問題がついてきます。そのために別途障害者保険が必要となる場合があるのです。
【3】プライベートの時に起こったトラブルについて
最近になって日本でようやく障害者の権利を保護する法律が設立されましたが、未だに障害者が不利益を被るトラブルは日常的に発生しています。また、「働いたのに給与が支払われない」と経済的虐待を受けた、警察から理解を得られずに逮捕されてしまった、など弁護士が必要になる場面が多々あり、そういうケースにも対応出来るよう、弁護士費用を補填する保険があります。
榎本社長から皆さんへメッセージ
私はかつて、ぜんち共済を立ち上げる中で精神的に苦しい時期が続き、疾患を負った経験があります。しかし、それでも皆さんは色々なことにチャレンジすべきではないかと考えています。その際に失敗はつきものですが、保険によって解決できる場合もあります。解決の糸口として活用していただき、様々なことに挑戦していただければと思います。
いかがでしたでしょうか。
この他にも「実際にどの程度の金額が支払われるのか」など、障害者保険についてより突っ込んだ内容を取り上げています。
その様子は、ぜひ動画フルバージョンをご覧ください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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