うつ病とは、脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」の減少によって、気分の落ち込みなどの症状が現れる病気です。うつ病で休職していると、「仕事は続けられるのか」「早く復帰しなければ」と不安になることも多いでしょう。
この記事では、うつ病の症状や特徴、仕事への影響について解説します。働きやすい場所や向いている仕事、受けられる支援制度についても紹介しますので、お悩みの場合はぜひ参考にしてください。

目次
うつ病とは
うつ病という言葉が広く知られている反面、具体的にどういう病気なのかについては、あまり知られていないかもしれません。そこで、以下では、うつ病の具体的な症状や医療的な診断基準、治療と治療経過について紹介します。
うつ病の症状
うつ病は、単なる気分の落ち込みではなく、医学的には気分障害のひとつで、日常生活に支障をきたす深刻な精神疾患です。
代表的な症状には「1日中気分が落ち込んでいる」「何をしても楽しめない」といった精神症状や、「眠れない」「食欲がない」「疲れやすい」などの身体症状があります。主な症状をまとめると下記の通りです。
- 持続的な気分の落ち込み、悲しい気持ちが続く
- 好きだったことに楽しみや喜びが感じられない
- 食欲がなくなる、または食べ過ぎることで体重が変わる
- 夜眠れなかったり、逆に寝すぎたりする
- 疲労感がある、気力が減退する
- 自分を責め、自分の価値を低く感じる
- 集中力や思考力、決断力が低下する
- 自傷、自殺念慮が見られる
これらの症状が2週間以上続き、生活に影響を及ぼす場合、うつ病の可能性があります。早期の診断と適切な治療が重要です。
うつ病の診断基準

うつ病の診断基準には、アメリカ精神医学会が作成した「DSM-5」と世界保健機関WHOが作成した「ICD-10」とがあります。ここでは精神疾患の分類のみを扱う「DSM-5」における、うつ病の診断基準を紹介します。
「DSM-5」によるうつ病の診断基準は、次の通りです。
うつ病を診断するには,以下のうち5つ以上が同じ2週間の期間中ほぼ毎日認められ,かつそのうちの1つが抑うつ気分または興味もしくは喜びの喪失でなければならない:
・ほぼ1日中みられる抑うつ気分
・ほぼ1日中みられる,全てまたはほぼ全ての活動における興味または喜びの著明な減退
・有意な(5%超)体重増加もしくは体重減少または食欲の減退もしくは亢進
・不眠(しばしば睡眠維持障害)または過眠
・他者により観察される(自己報告ではない)精神運動焦燥または制止
・疲労感または気力減退
・無価値感または過剰もしくは不適切な罪悪感
・思考力もしくは集中力の減退または決断困難
・死もしくは自殺についての反復思考,自殺企図,または自殺を実行するための具体的計画
出典:MSDマニュアル(プロフェッショナル版)「抑うつ障害群の症状と徴候」
一般的に、上記の箇条書きで挙げられた症状が一時的ではなく2週間以上続いている場合に、うつ病の診断が出されるといえます。
うつ病の治療と治療経過
うつ病の治療としては、主に以下の3つを組み合わせて行われます。
- 休養:十分な睡眠や休息によって、心身の疲労を回復させる
- 薬物療法:抗うつ薬を使用し、抑うつ症状や不安症状の改善を図る
- 精神療法:認知行動療法や対人関係療法、内観療法などを通じて、考え方や行動パターンを見直し、ストレス対処法を習得する
治療法の組み合わせや進め方は症状の程度や内容に合わせて調整されます。症状が急変し、不安・副作用が強いと感じる場合は、早めに医師や専門機関に相談しましょう。
治療経過については、「急性期」「回復期」「再発予防期」の3段階に分かれ、症状や対応もそれぞれ異なります。
(図)

急性期では気分が一気に落ち込むこともありますが、ここからが本格的な休養の始まりです。症状が最も重い時期で、抗うつ薬を使用するなどして改善を目指します。回復期には睡眠や食欲が戻り、認知行動療法などの治療提案が始まり社会復帰の準備が進められます。再発予防期は回復した状態で安定し、再発を予防する時期です。薬の継続が重要で、再発率の高さからも長期的な服用が勧められます。
うつ病でも仕事は継続できる?仕事への影響や抱えやすい悩み
うつ病の症状の程度や内容には個人差があり、人によっては、休職や退職をせずに仕事を継続する人もいるでしょう。しかし、仕事を続けることで症状が悪化する、完治まで長引くなどの影響を受けるケースもあります。以下では、うつ病で仕事を続ける場合の影響や抱えやすい悩みについて解説します。
集中力や思考力が低下しミスが増える
うつ病により集中力・思考力が低下すると、注意力散漫になり、ケアレスミスや計算ミス、判断の誤りを招きます。仕事上のミスが続き、さまざまな悪影響を及ぼします。納期遅延や顧客からのクレームにつながる可能性もあり、業務の質が下がり周囲からの評価を下げてしまうこともあるでしょう。
また、複雑なタスクや新しい業務への対応が困難になり、仕事の効率が著しく低下し業務に時間がかかります。残業が増え、心身の疲労をさらに高めてしまう悪循環に陥るケースも少なくありません。
「自分は仕事ができない」「周りに迷惑をかけている」といった自己嫌悪や罪悪感に苛まれ、一人で抱え込んで落ち込み、症状が悪化してしまうケースも見られます。
朝起きられなくなり遅刻をする
うつ病に伴う睡眠障害が、「朝起きられない」「遅刻をしてしまう」といった仕事における悩みを引き起こす傾向があります。
うつ病で夜なかなか寝付けなかったり、眠りが浅く何度も目が覚めたりすると、十分な睡眠時間を確保できません。その結果、朝起きるのが辛くなり、遅刻が増えます。遅刻が続くと、会社からの評価が下がるだけでなく、周囲にも迷惑をかけるため、自己嫌悪や罪悪感に陥るケースが少なくありません。
また、睡眠不足は、集中力や判断力の低下、疲労感を招き、日中のパフォーマンスを著しく低下させます。業務上のミスが増えたり、簡単な作業に時間がかかったりして、自分の無能さを感じて落ち込むなど、さまざまな支障が生じます。
気分の落ち込みやイライラから周囲とうまくコミュニケーションが取れない
うつ病による気分の落ち込みやイライラによって、上司や同僚といった周囲とのコミュニケ―ションがうまく取れなくなるケースが少なくありません。
仕事では報告・連絡・相談(報連相)が求められる場面が多くありますが、気分の落ち込みにより、適切なタイミングで必要な情報を伝えられず、業務に支障をきたす場合があります。また、イライラした感情が表に出て、周囲から反発や誤解を受け、良好な人間関係の構築が難しくなる場合もあるでしょう。こうした状況が続くと、業務効率の低下や職場での孤立感につながり、本人のストレスや不安がさらに増す悪循環に陥る傾向も見られます。
職場での孤立は、仕事へのモチベーションを低下させるだけでなく、精神的な負担を増やし、症状の悪化につながる可能性があるため、適切な支援を受ける必要があります。
うつ病の人に向いている仕事とは?向いている仕事のタイプ

うつ病を抱えながら働く場合には、心身の不調にこれ以上大きなストレスを与えないように、精神的・体力的な負担の少ない仕事が向いているといえるでしょう。以下では、そうしたうつ病に向いている仕事のタイプについて具体的に紹介します。
在宅ワークなど自分のペースで進めやすい仕事
うつ病の人に向いている仕事としては、自分のペースで進めやすい在宅ワークなどの仕事が挙げられます。
うつ病を抱えている場合、気分が落ち込んだり、意欲が減退したりして、思うように仕事を進められないことが少なくありません。その点、在宅ワークでは、仕事に取り掛かる時間や、仕事の進め方をある程度自分で決めることができるため、比較的マイペースで仕事を進められます。
在宅ワークには、例えばシステムエンジニアやプログラマー、Webライター、Webデザイナー、翻訳家などといったものがあります。心身の状況に合わせて仕事を進めることができるため、働きやすい仕事といえるでしょう。
人との関わりやコミュニケーションの機会が多くない仕事
人との関わりやコミュニケーションの機会が少ない仕事もうつ病の人に向いているでしょう。
うつ病では他者とのコミュニケーションが大きな負担に感じられるケースが少なくありません。そのため、営業や接客といった他者との交渉や協議などのコミュニケーションが重視される仕事でなく、事務や経理などの個人で進められる仕事の方が適しているでしょう。
人との関わりが少ない仕事には、経理・事務職以外にも、校正士や校閲士、清掃員、工場・倉庫作業、また、先ほど紹介した在宅ワークの仕事などが挙げられます。コミュニケーションの機会が少ないため、大きなストレスを受けずに働けるでしょう。
プレッシャーが比較的少ない仕事
大きなノルマや責任を課せられない、プレッシャーが比較的少ない仕事もうつ病の人に向いているといえます。
うつ病の場合、体調や気持ちに波があるため、ノルマ達成のためにチャレンジを重ねるようなプレッシャーの大きな仕事は不向きといえるでしょう。また、体調に波があったり、注意力が散漫になったりすることもあるため、ミスが許されないような責任重大な仕事も向いていないでしょう。反対に、そうしたプレッシャーがなければ、働きやすく仕事も続けやすいといえます。
プレッシャーの少ない仕事には、例えば、一般事務職、受付事務、マンション管理人、清掃員、検針員、工場・倉庫作業といったものがあります。
マニュアルをもとに進められる仕事
マニュアルをもとに進められる仕事も、うつ病の人に向いているといえるでしょう。うつ病を抱えている場合、「とりあえずやっといて」というような抽象的な指示ではうまく動けず、負担に感じてしまうことが少なくありません。
そうした抽象的な指示が苦手な人は、マニュアルをもとに進められる仕事の方が、目標や求められる行動が具体的なため、心理的な負荷が少なく働きやすいといえます。
マニュアルをもとに進められる仕事としては、一般事務、医療事務、コールセンターのオペレーター、プログラマー、配達員、工場・倉庫作業などがあります。
単発や短期の仕事
うつ病の場合は、単発や短期の仕事も向いています。
単発や短期の仕事は、働く期間や時間を選べるため、気分や体調に合わせて働きやすいといえます。また、短期の派遣社員やアルバイトの場合は、責任の度合いも低いため、大きなプレッシャーを感じることなく働けます。万が一、仕事内容が合わない場合でも、単発や短期の仕事であれば、辞めやすく、他の仕事に移りやすいこともメリットといえるでしょう。
単発や短期の仕事には、データ入力やコールセンターのオペレーター、工場・倉庫作業、試験監督、イベントスタッフなどがあります。
うつ病でも無理なく働きやすい場所や働き方
うつ病の方でも無理なく働ける場所や働き方としては、次のものが挙げられます。
- 一般企業の障害者雇用:企業が一般雇用とは別に、障害のある方を雇用すること
- 特例子会社:障害者の雇用促進・安定を図るために、企業が設立した子会社
- 就労継続支援事業所:一般企業での雇用が難しい場合に、就労機会の提供などの支援を行う就労継続支援をする事業所
一般企業の障害者雇用は、一定規模以上の企業に障害者の雇用を義務付けたものです。障害に配慮された環境で安心して仕事に取り組めます。
特例子会社は、親会社とは異なる柔軟な労働条件を設定するなどして、働きやすさが重視されている環境です。
就労継続支援には「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」があり、A型は、事業所と雇用契約を締結し事業所のルールに従って働く形式です。B型は雇用契約を結ばずに体調に合わせて柔軟に働けるのが特徴です。
それぞれの働き方にメリットがあるので、自分に合った環境を選ぶようにしましょう。
就労継続支援A型と就労継続支援B型との違いや特例子会社ついて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
関連記事:就労継続支援B型とは?A型との違いや作業内容、工賃や利用方法を解説
関連記事:特例子会社とは?障害者雇用との違いやメリット・デメリットを紹介

うつ病で仕事を休職・退職する際に利用できるお金に関する支援制度

うつ病で仕事ができなくなった際に、収入面で不安を感じる人もいるでしょう。そうした際に利用できるお金に関する支援制度について解説します。
お金についての支援制度を表にまとめると下記の通りです。
【うつ病で休職・退職時に利用できるお金に関する支援制度】
| 支援制度 | 概要 |
| 傷病手当金 | 病気や怪我のために働けなくなり、仕事を休むときに健康保険から支給される制度。休業中の被保険者やその家族の生活を保障するために設けられている。 |
| 自立支援医療制度 | 通院が必要な場合に、精神疾患の医療費の自己負担を軽減できる制度。公的医療保険による医療費の自己負担は3割だが、自立支援医療が適用されると1割まで軽減可能。 |
| 障害年金 | 病気や怪我によって生活や仕事が制限される場合に支給される年金。「障害基礎年金」と「障害厚生年金」がある。 |
| 失業手当 | 仕事を退職して失業状態にある人が再就職するための支援制度。「雇用保険制度」に含まれる。うつ病に限らず、一定期間は雇用保険の加入状況に応じて手当が支給される。 |
傷病手当金の受給については、まず勤務先の担当部署に相談しましょう。 既に退職している場合は、加入していた健康保険組合が問い合わせ先です。自立支援医療制度は、お住まいの区市町村が申請窓口です。また、障害年金の詳細は、日本年金機構のホームページか申請場所である区市町村の窓口で確認できます。また、失業手当については、全国各地のハローワーク(公共職業安定所)で相談可能です。
うつ病で仕事が困難な方が利用できる就労に関する支援先

うつ病で仕事ができなくなると、社会生活や日常生活についてさまざまな不安が出てくる場合もあります。ここでは、うつ病で仕事が困難な場合に利用できる支援機関を紹介します。うつ病の症状が悪化したり、長引いたりする前に、利用を検討してみましょう。
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)は、求職者や求人事業主にさまざまなサービスを提供する総合的雇用サービス機関です。中には、「障害者専用窓口」を開設し、障害のある人の就職活動を支援するために、専門知識を持つ職員や相談員を配置しているところがあります。
障害のある人向けの求人だけでなく、一般の求人応募も可能です。また、履歴書の書き方の指導や採用面接への同行、障害のある人を対象とした就職面接会なども利用できます。求職者にあった求人の提供を事業主に依頼するなど、柔軟な支援体制を整えています。
なお、就労だけでなく、生活面を含む幅広い支援を希望する人に、障害者就業・生活支援センターなどの支援機関の案内も行っています。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害がある人の自立と職業生活の安定を目的とした支援機関です。本人の身近な地域における就業面と生活面の一体的な支援を目指し、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関と連携してサポートを提供しています。
2023年4月1日時点で全国に337の拠点があり、窓口での相談や職場・家庭訪問などさまざまな活動を実施しています。就労だけでなく生活に関することも幅広く相談できます。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、うつ病の人や障害のある人に対して、個人のニーズに応じた職業リハビリテーションを提供する施設です。公共職業安定所と連携して、各都道府県に設置されています。
精神障害者および事業主に対しては、主治医等の医療関係者と連携を行いつつ、障害のある人の新規雇入れや職場復帰、雇用継続のために、専門的・総合的な支援を実施しています。
職業の評価・指導・訓練など、仕事に付くための専門的な支援を受けられる他、事業主の雇用管理に関する相談・支援も受け付けています。
地域若者サポートステーション
地域若者サポートステーション(サポステ)は、働くことに悩みを抱えている15~49歳までの人を対象に、就労に向けた支援を行っています。厚生労働省が委託した民間団体などが運営しており、身近に相談できる機関として各都道府県に設置されています。
専門スタッフとの個別面談を経て、就労に必要な技術や知識、マナーを身につけるための講座に参加できます。コミュニケーション講座や就活セミナー(面接・履歴書の指導)の他、実際に現場に出るジョブトレ(就業体験)や、合宿形式を含む生活面等のサポートと職場実習を組み合わせた集中訓練プログラムなどが提供されています。
就労移行支援
就労移行支援は、うつ病などの障害のある人が一般企業に就職するために必要なサポートを行う障害福祉サービスです。支援を行う事業所によって支援内容は異なりますが、働く上で必要な知識やスキル、自己管理の方法を学べるほか、就労に向けたさまざまな相談にも対応しています。
専門医による診断書があればサービスの利用が可能です。退職後の利用はもちろん、休職中で復職を目指す場合や、転職を希望する場合にも利用できます。
Kaienの就労移行支援では、独自の適職アセスメントを通じて利用者の強みや適性を把握し、ワンランク上のキャリアを実現するためのカリキュラムを提供しています。うつ病の人に向けた生活リズムの調整、ストレス対処法、コミュニケーションスキル向上などのトレーニングに加え、ビジネススキルを高める実践プログラムも豊富です。医療機関との連携のもと、豊富な実績と専門性に基づいたサポートを行っています。
関連記事:就労移行支援
リワーク
リワークとは、うつ病や適応障害などの心の病気により休職・離職している人が、職場復帰できるように支援するプログラムです。リワークは実施主体により下記のような種類があります。
- 医療機関でのリワーク
- 就労移行支援や自立訓練(生活訓練)でのリワーク
- 障害者職業センターでのリワーク
- 職場でのリワーク
医療機関でのリワークは、精神科や心療内科が実施するもので、病状の安定や回復、再休職の予防などを目的とした医学的リハビリテーションです。
就労移行支援や自立訓練(生活訓練)のリワークでは、福祉施設や民間事業所に通所して、復職や転職に役立つスキルの向上や習得に向けたさまざまな支援プログラムが受けられます。
障害者職業センターが実施するリワークは、休職中の本人と雇用主、主治医の3者の意見をすり合わせて作成された職場復帰プランに基づき実施されるリワークです。
Kaienでは、新しい復職支援として「こころのリワークセンター」を開所しました。詳しくは下記の記事を参考にしてください。
関連記事:新しい復職支援をあなたに! こころのリワークセンター – 株式会社Kaien – 強みを活かした就労移行支援・自立訓練(生活訓練)
うつ病の人が復職・転職する際のポイント

うつ病の人が復職や転職をする場合には注意したいポイントがあります。無理なく働くためにも、以下で紹介するポイントを押さえておくことが大切です。
調子が回復してから活動を始める
うつ病の人が復職や転職でつまずかないためにも、体調が十分に回復してから復職・転職活動を始めるようにしましょう。
症状が少し回復してくると「早く復帰しないと周囲に迷惑がかかる」「転職先を早く見つけなければ」と気持ちが焦って動き始めるケースも少なくありません。しかし、調子が整わないまま復職しても、すぐに仕事に本格的に取り組めるとは限らず、無理をして症状が再発する場合もあります。症状の再発や悪化を防ぐためにも、焦る必要はないといえるでしょう。
転職の場合も、転職活動自体もストレスの多いプロセスであり、転職先が決まった後も、新しい職場で人間関係を築きながら働くことは大きな心の負担になります。気持ちや体調が不安定なうちに慌てて復職や転職をしてしまうと、かえって事態が悪化する可能性があります。まずは体調の回復を優先し、焦らず取り組みましょう。
就職までのリハビリ期間を作る
体調が回復してきたら、就職までにリハビリ期間を設けましょう。特に復職までのブランクが長い場合は、ストレス耐性が弱くなっていることもあるため、いきなり職場復帰をすると大きなストレスを感じかねません。復職・転職した際にスムーズに働けるように、生活リズムを整えたり、体力をつけたりといった準備をしましょう。
日常生活を送るための生活能力に不安がある場合は、自立訓練(生活訓練)の利用を検討してみましょう。自立訓練(生活訓練)は、障害を抱える方が自立した生活を送る上で必要な能力を身につけるための支援を行う障害福祉サービスです。職場復帰や転職に向け、自立した生活を送る力を向上させるスキルが修得できます。
例えば、Kaienの自立訓練(生活訓練)では、生活リズムの整え方や金銭管理、人間関係の築き方、自分の権利などについて学び、身につけるための講座やプログラムを提供しています。
自立訓練(生活訓練)については下記記事も参考にしてください。
関連記事:自立訓練(生活訓練)とは?対象者と利用期間、事業所の種類やカリキュラムを解説
利用できる支援やサービスを活用する
利用できる支援やサービスを活用するのも復職や転職を成功させるポイントです。
先述の通り、お金に関する支援制度としては、「傷病手当金」「自立支援医療制度」「障害年金」「失業手当」があります。それぞれ利用には一定の条件を満たす必要がありますが、該当する場合は支援を受けることで経済的な不安を軽減し、安心して療養や転職活動に専念できます。
また、就労に関する支援には「ハローワーク」「障害者就業・生活支援センター」「地域障害者職業センター」「地域若者サポートステーション」「就労移行支援」「リワーク」があります。仕事についての悩みを一人で抱え込むよりも、これらの支援を活用した方が、適切な情報やサポートを得られ、安心して就労に向けた準備を進められるでしょう。
うつ病で仕事に悩んでいる方は利用できる支援やサービスを活用してみよう
うつ病でも向いている仕事や働きやすい仕事先が多くあることを紹介しました。無理なく復帰するには、就労移行支援や精神保健福祉センターといった支援サービスや、傷病手当金や自立支援医療制度といった金銭面の支援制度を上手に活用しましょう。
なお、うつ病で復職や再就職に不安がある場合には、Kaienにご相談ください。Kaienでは、心の病に理解ある企業200社以上と連携し、豊富な経験と実績に基づく就労移行支援、自立訓練(生活訓練)を提供しています。
ご相談やご見学は、オンラインでも、ご家族だけでもご参加いただけますので、お気軽にお問合せください。

監修者コメント
うつ病はとてもポピュラーな疾患であり、世界では3億人以上、日本だけでも100万人以上の方が罹患しています。ですが、その割には、いざ罹患したときの周囲の方の理解や、職場対応は依然として準備不足なことが多いですね。やはり休むことが一番の治療であり、唯一の選択肢であることが多いため、しっかり休養を取ることをまずは目標にします。抗うつ薬という選択肢はありますが、それにばかり頼るわけにもいきません。まとまった期間を治療のために休むことは、多くの人にとって未体験なので、戸惑いやそう言われてもできないと思いがちですが、良くなるためには必要なことがほとんどです。うつ病発症の後にどのような仕事が適切か、は、ご自身の状況、症状の安定度、能力によっても様々です。ただ、近年は、抑うつや悲哀感、不安といった気分に関連した症状の回復に対して、集中力不足や頭の回転不足、意欲面の低下など、認知機能や実行能力といった面の症状が残りやすいことも知られてきました。回復の過程はゆっくり考えることが大事です。本記事にあるように、ゆっくり焦らずに社会復帰を目指してください。

監修 : 松澤 大輔 (医師)
2000年千葉大学医学部卒業。2015年より新津田沼メンタルクリニックにて発達特性外来設立。
2018年より発達障害の方へのカウンセリング、地域支援者と医療者をつなぐ役割を担う目的にて株式会社ライデック設立。
2023年より千葉大子どものこころの発達教育研究センター客員教授。
現在主に発達障害の診断と治療、地域連携に力を入れている。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、医学博士。
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