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HOME 発達障害とは 大人のADHD(注意欠如多動性障害)

大人のADHD(注意欠如多動性障害)▽主な特徴 ▽診断基準・チェックリスト ▽得意な仕事・職業 ▽仕事での困り感と対処法 ▽就活での注意点

 このページでは大人のADHD(注意欠如多動性障害)の診断基準やチェックリスト、仕事での困り感とその対応、適職の見つけ方についてまとめています。なお、子どものADHD(注意欠如多動性障害)については当社の小中高生向け放課後等デイサービス・TEENSのウェブサイトリンク をご覧ください。

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【参考】大人の発達障害者向けの職業訓練・就活支援
【参考】発達障害(疑い含む)のある大学生・専門学校生向け”ガクプロ”
【参考】見学/相談/利用希望の方は ”ご利用説明会”へ

この記事でわかる事

ADHD(注意欠如多動性障害)の特徴

 ADHDは注意欠如多動性障害と訳されます。以前は注意欠陥多動性障害という訳でしたが、欠陥という言葉よりマイルドな欠如という言葉に置き換わりました。いずれにせよ、ADHDは注意が散漫だったり、多動の傾向が見られたりするところに特徴があります。(多動が認められない場合はADD=注意欠如障害と診断されます。)一般的には、以下の2タイプに分けて考えると分かりやすいでしょう。

  • 不注意優勢型 … 物をなくしやすい、ミスが多い、気が散りやすい、過集中で切り替えが難しい、段取り良くできない等
  • 多動/衝動性優勢型 … 思いつくとすぐに行動する、順番を待てない、人の発言に割り込む、一方的に喋る等 

 さらに日常生活や職場でみられる「よくある特徴」を3つ解説します。

特徴1 頭が”多動”である

 大人になるとほとんどのADHDの傾向がある人も身体の多動が目立たなくなります。ADHDのHがHyperactivityをさしているため、身体の多動の部分(H)を除いたADHDということで、ADDと診断されることも増えてきています。しかし身体の多動が無くなっても頭の多動は残ります。上手に頭の中を整理できない、制御できないような状態です。例えば以下のような困り感を抱えています。

  • すべき仕事に集中できない 気が移る(好きなものを除く)
  • 作業を段取り良く行えない
  • 取っ散らかってしまう 片付かない

 (ADHDの傾向がない)いわゆる”定型発達”の人は日常、注意関心の制御に苦労することはさほどありません。注意関心の範囲を脳が自動的に調整してくれるほか、注意力を高めようと意識をすると特定の物事に集中度を高めることができます。しかしADHDの人はこの注意関心の調整がほかの人のようにうまくいきません。注意のスイッチをONにしたくても(つまり何かに注意関心を向けたくても)出来なかったり、スイッチをOFFにしたくても(つまり何かから気を背けたくても)磁石に引き寄せられるようにずっと意識してしまうなどが見られます。このため、考え続けたくないことを考え続けたり、注意したり覚えておきたいことをうっかり忘れてしまう、気をそらしてしまうなどが起こり、日常生活や仕事の場でミスや抜け漏れを起こしやすくなります。

特徴2 衝動性・突発性がある

 瞬間湯沸かし器のように急に怒ったり、悲しんだりという気分のむらが大きいのがADHDの人のもう一つの特徴といえます。ついつい目の前の物事に気を取られ、周囲への気配りや前後の流れを無視してしまいがちです。例えば日常生活や仕事場で以下のようなことがしばしば起こりえます。

  • 思ったことをすぐに発言してしまう
  • 衝動買いをしがちである
  • ついつい他の人を遮ってしまう

 注意すべきは中長期の衝動性・突発性です。つまり数日や数か月で、関心があるものが変わったりすることが多く、仕事を転々としたり、通っているクリニックが自分に向いていないと思って変えてしまうなど、継続することが難しいことが多く見られます。気分にアップダウンがあるため双極性障害と見分けがつきにくいこともあります。年齢が若いうちは問題が見えにくいですが、この中長期の衝動性・突発性が収まらないと、安定したライフプランを立てにくくなる恐れが強くなりえます。

特徴3 ミスや不注意が多い

 特徴の1と重なりますが、ADHDの人が最も訴えるのはミス・抜け漏れの多さです。注意・関心が制御しづらいため、またワーキングメモリー(短期記憶の量)が小さいためと考えられます。人間でしたら誰でもミスは犯します。しかしADHDの人は、そのミスの頻度がほかの人の数倍あったり、どうしてもミスしてはいけない重大な事柄がごっそりと抜け落ちてしまうなど、生活や職場で大きな支障が出てしまいがちです。

  • 昔から忘れ物、なくし物が多い
  • 仕事でのケアレスミスが多い
  • うっかり用事を忘れてしまう

 何より苦しいのは、ご本人もそういった自分のミスに後で気づきやすいため、ADHDの人は日常生活を送るだけで自分の至らなさに思い悩み、傷つきやすい特徴が出てしまうことです。過去の苦い経験もあり、覚えることが多かったり、処理する作業が重なったりするとパニックになって、頭が真っ白になり、中には自分が気付かないうちに声を上げてしまったりして、周りの人からびっくりされることもあるでしょう。

【参考】注意欠如多動性障害でいわれるADDとADHDは同じ?違う?

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ADHD(注意欠如多動性障害)の診断基準・チェックリスト

 ADHDの診断には不注意や多動性・衝動性といったADHDの特徴が長期間にわたって見られるかが基準となっています。最新の診断基準(アメリカ精神医学会 DSM-5)では、以下のようなケースでADHDと診断することと定義しています。

  • 不注意の症状があり持続している。
  • 多動性/衝動性の症状が持続している。
  • 症状が複数の環境(家庭・学校・職場など)で存在している。
自己記入式チェックリスト

 その際は自分でチェックリストに答えたり、ご家族に幼少期からの状態を確認したりして、医師が最終的に判断します。成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト「ASRS」と言われ、実際の臨床の現場で活用されています。

知能検査(心理検査・IQ検査)

 なお、知能検査(心理検査・IQ検査)を診断の際に参考にする専門医も多数います。知能検査では大人の場合は通常WAIS-3(ウェイス・スリー)といわれるテストが行われます。ADHDの場合、動作性といわれる非言語の脳の働きを確認する部分やワーキングメモリー処理速度といった群指数といわれる項目が見られることが多いようです。例えばワーキングメモリーが低い場合は抜け漏れの原因となっている場合があります。

【参考】発達障害チェックリスト

ADHDのお薬 コンサータとストラテラ

 ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の特徴であるコミュニケーション力や社会性・共感力を向上させるお薬はまだ開発されていません。一方で、ADHDの特徴である不注意や衝動性を抑制し、生きやすくするお薬は日本では2種類認可され、精神科・児童精神科で処方されています。それがコンサータとストラテラです。

 主な効果としては、①集中力や注意力を高め、②衝動性や多動性を軽減する、ということとなります。コンサータは登校前など一日の始まりに一度服用し、日中の間ずっと効果は持続します。夜になると効果は乏しくなります。ストラテラは、24時間血中濃度が安定するように朝晩2回の服用で穏やかに効くようにできています。効果が感じられるまでには数週間かかるけれども、副作用がより少ないと言われています。コンサータの場合は服薬をしない日を設ける方も多いですが、ストラテラは飲み続けることが重要です。どちらの薬が合っているかは、主治医の判断となりますので、よくご相談ください。

  • コンサータ(販売元:ヤンセンファーマ) 1日1回 効果はその日限り はっきりした効果が感じやすいと言われる
  • ストラテラ(販売元:イーライリリー) 1日2回 穏やかに効く 副作用が少ないと言われる

【参考】ADHDのお薬 薬の種類の解説や服用方法

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子どものADHDと大人のADHD 男性のADHDと女性のADHD

 ADHDは年齢や性別によって特徴が異なることに注意が必要です。

子どもと大人の違い

 子どもの頃、特に10歳くらいまでは多動の傾向がADHDの主な特徴となります。しかしどんなに多動が強いお子さんも、大きくなればなるほど身体の多動の傾向は収まってきます。このため大人になるほどADHDではなく多動の特性がないADHD、つまりADDと診断されることが増えます。

 ただし頭の中の多動、つまり不注意や衝動性は残っていることには注意が必要です。もちろん子どもの頃から身体の多動がほぼ確認できず、不注意傾向のみの方もいるでしょう。いずれにせよ、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)に比べて、年齢によって特徴が変わっていくのがADHDの特徴です。

男性と女性の違い

 ADHDは診断は男女差がほとんどありません。同じ発達障害でも診断が8:2で男性に偏る自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群とは大きく異なります。ただし男女間で差がみられるのは特性です。

 例えばADHDの女性「不思議ちゃん」と言われるような存在であることが多く、多動は見られず、不注意が優勢であるタイプが多いでしょう。例えば忘れ物が多い、朝必ず遅刻する、決めた電車やバスに乗り遅れる、女子同士の会話に追いつけず不思議な発言をする、などがあげられます。片付けが難しいのも女性のADHDが良く訴える症状です。

 一方でADHDの男性衝動・突発が強いタイプが多く、他人の領域に口出しをしたり、ついつい言わなくてもよいことを口にしてトラブルになってしまったりと、対人関係で揉める原因を自らが気づかぬうちに作ってしまっていることが多いようです。

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ADHDとASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)との違い

 発達障害の2大分類であるADHD(注意欠如多動性障害)ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)。両者の違いは医学的にははっきりとしていますが、実際大人の発達障害の当人に接すると、専門家でも明確にどちらの診断なのか断定できない場面にしばしば出くわします。これは多くの場合、ADHDと自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群が重なっている人が多く、どちらとも言いづらいケースが多いからです。

 自閉症スペクトラム(ASD)・アスペルガー症候群(AS)の特徴は、①空気が読めない、②コミュニケーションが苦手、③こだわりがあるなど、通常「3つ組の障害」と言われるものに集約されます。このため、ADHDの特徴である、①頭の多動、②衝動突発、③ミス・抜け漏れの多さ、というADHD版の「3つ組の障害」とは大きく異なるものに思えるかもしれません。

 ただし現実では「衝動的に行動しているのか(ADHD的)」または「社会性の難しさから空気を読んでいないのか(ASD的)」の判断がつきづらかったり、「過度に集中している(ADHD的)」のか、「こだわりから作業を続けているのか(ASD的)」の判断がつきづらかったりと、専門家でも判断は難しいのが実際です。

【参考】専門家でも難しいADHDとASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の違い
【参考】大人のASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)▽主な特徴 ▽診断基準・チェックリスト ▽得意な仕事・職業 ▽仕事での困り感と対処法 ▽就活での注意点

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ADHD(注意欠如多動性障害)の得意な仕事・職業

 ADHDを自認する有名人は多く、米国ではADHDをカミングアウト(公表)して働いている人もいます。脳が多動な部分を上手に活かせば独自な視点豊かな発想というプラスの特徴になりえます。仕事の現場でもお客様や上司から評価される可能性が高くなります。

 また好きな分野、得意分野では負の部分(気が散りやすい、ミスが多い等)が減少するのもADHDの特徴です。このため、自分の興味と一致する分野では職場の足を引っ張ることも減っていくでしょう。ADHDの特性にあう仕事を挙げると、以下のように非常に魅力的な仕事が多く、かつ可能性が広いことがわかります。

  • 編集、記者、ディレクター、カメラマン など自分の興味を発信できる仕事
  • 料理人、整備工、プログラマー、アニメーター、デザイナー などモノ作りに関わる仕事
  • 研究者、学者、塾講師、教員 など専門分野に特化できる仕事

 気を付けるべきは顧客や上司の要望に沿う必要があることです。現実社会では、こだわりをもつADHDの当事者は多く、自分の考えをただ形にするだけではなく、お客様の意向を汲んで動くことにストレスを感じる人が多いのは事実です。仕事をする上で自分と相手がともに納得できるポイントを常に探すようにするとよいでしょう。

【参考】発達障害に向く仕事を考える ADHD(注意欠如多動性障害)編

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ADHD(注意欠如多動性障害)の仕事での困り感と対処法

 日常生活は何とかなっているけれども、仕事上で苦労が絶えない、というADHDの方は多いでしょう。ここでは困り感とその対処法を考えます。

【参考】大人の発達障害者向けの職業訓練・就活支援

オーダーメイドの対応が必要

 ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)が強く見られる人と違って、ルールやマニュアルを徹底されても仕事でミスや漏れが多くなる可能性もあるほか、少しでも興味を持てないと眠気が出てさらに不注意度が増すなど、ADHDの人の職業支援はASDと違う部分が多くあります。

 つまりご本人の興味・関心や集中度が保ちやすい職種・仕事の現場を選びながら、ミスや不注意が許容される文化や業務内容を考える必要があります。自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群の人にはある程度画一的な支援が可能だとすると、ADHDの場合はオーダーメイドが一定程度必要になる可能性があります。

ミスや抜け漏れを防ぐには?

 ADHDの有る無しに関わらず、ミスは誰にでもあるものです。ミスを認めてくれる職場はほとんどないですが、ミスが出ることを前提に作られている(フェールセーフの概念がある)職場は製造業などを中心に数多くあります。支援者としてもそのような誰にでも優しい働き方、雇用の仕方を模索するヒントになりえるともいえます。

 ミスの多さ、抜け漏れの多さについては、まずは現状分析が必要です。ご自身がどのような環境、どのような疲れ具合、どのような業務内容の時に起こるかを分析し理解することが大事だと思っています。多くのADHDの方は自分がミスが出やすい、抜け漏れが多いことは知っていますが、どのような場面で出やすいかは自分だけでは分析できていません。このため、例えば学生の方でしたら、フルタイムで就職する前に様々な業務を体験してもらい、ご自身の弱みが出にくい環境を探ることがよいでしょう。

 ADHDの方は面接の場でのやり取りは上手で内定を得やすいものの、その後の定着が難しいタイプが少なくありません。ご自身のミスの傾向と対策を分析したり学んだりすることで、定着率も高まっています。

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具体的な対応法

 実はミスや抜け漏れを防ぐための対処方法は、コミュニケーションがずれることの多いASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の方の対応と重なります。

  1. メモを取る事、そしてまとめる事
  2. 復唱・確認すること
  3. メール等の文字情報を使う事

 ポイントは視覚化です。どうしてもワーキングメモリー(短期記憶)が乏しい方が多いですので、耳で聞いただけではすぐに抜け漏れてしまいます。このため目に見えるような形で情報をまとめておくこと、例えばポストイットを使ったり、メモをまとめなおしたりすることが良いでしょう。加えて最近ではスマホなどのリマインダ機能を使うことも出来ますので、メモした内容をポップアップやアラーム、バイブレーション機能で強制的に思い出させるということが可能になっています。自分の努力だけではなく、現代のIT技術を使って上手に抜け漏れやミスを防ぐことを考えるとよいでしょう。

【参考】大人のアスペルガー症候群 特徴・仕事・職場定着

ADHD(注意欠如多動性障害)の就職・転職活動での注意点

”沸き上がり力”のプラス面を生かし、マイナス面に気を付ける

 ADHD(注意欠如多動性障害)の傾向が強い方の場合は、発想力が豊かで、次々に新しいアイデアが湧いてきたり興味・関心が広がりやすい特徴があります。こうした湧き上がりの力を活用できる職種・環境を軸に仕事探しをすることは望ましい考え方でしょう。

 ただし、沸き上がりの特性がマイナスに働くと興味や関心が様々に移ってしまうことがあり、就活の方向性が定まらないことも多めです。このため頻繁にキャリアカウンセリングを行い、何が長期的にその人の特性にあったものかを確認しましょう。

 具体的には職業訓練やこれまでの職場での評価や、他のADHDの中で似たタイプの方の実例などの客観的な情報をもとに、一人一人に合った就活の方向性をサポートしてもらうのがよいでしょう。

不断の環境調整

 残念ながら一度フィット感が高まった職場も、上司が変わったり、業界標準が変わったり、経営方針が変わったりと常に流動的なため、徐々に合わなくなる可能性をはらんでいます。

 このため、フィット感がどの程度続いているのか、定期的にセルフチェックをするとよいでしょう。なお、もしフィット感が低くなっていてもすぐに転職を考えるのは危険です。ADHDの人は思い込みが強めです。いったん「これだ!!」と思ったら、後先考えずに突っ走ってしまうことがあるでしょう。現代の職場では不断の環境調整が必要であることはどこも同じだと肝に銘じておくことをお勧めします。

【参考】発達障害の特性にあう仕事開拓

ADHD(注意欠如多動性障害) ポイントまとめ

 ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)と異なり、ADHDの場合は男女による診断割合はほとんど変わりません。診断の割合は全米の子どもの11%という数字が出ており一般的な症状になっている。大人になると身体の多動が出る人はほとんどいないものの、しかし頭の多動性は残るため、不注意優位型・衝動優位型のいずれかの特徴が出るでしょう。身体の多動性がないと大人になるまで明らかになりづらく、診断が遅れやすい傾向があるのがADHDの特徴です。ミスや不注意が多く、事故にあいやすかったり、細かな失敗が多かったり、日常生活や仕事の現場で苦労を感じやすいのがADHDの方に共通する経験でしょう。一方で発想力が豊かで、次々に新しいアイデアが湧いてきたり興味・関心が広がりやすい長所もあり上手に活用できるとよいでしょう。複数の薬が開発されており、服薬によって生きづらさが改善されるケースも出ています。

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