遅刻魔というADHD的特性 どう対応していますか?

発達障害の人の視点で議論してもらいました ~キスド会 2017年4月 開催報告~
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 在職者向けのキスド会(土曜夕方に秋葉原と新宿で開催している、発達障害のある在職者向けのしゃべり場)での会話を皆さんの承諾をもとに記事にしています。今回のテーマはADHDの方に多い遅刻についての対応策についての議論です。

自分に負けてしまう・・・遅刻癖が治らない

Aさん) 今日もこの場に遅れてきてしまったのですが、その理由の一つとして、自分は家を出るのがぎりぎりになってしまいます。余裕のある行動がなかなかできません。自分でも余裕があったほうが良いと思うのですが、いざ当日になるとまだ時間があるから大丈夫だろうという自分の考えに負けてしまいます。それでギリギリに出てしまって結果的に遅刻してしまうことが多いです。みなさんの中で同じ困難を感じている方がいたら、対策方法を教えてほしいと思いました。先延ばしグセもそうですし、ギリギリになんでもやってしまうということの考え方を変えたいです。

Bさん) 学校で絶対取らないといけない課題とか、職場への出勤といった重要なことで遅刻をしないようにということですか?それとも待ち合わせなどプライベートの約束の場面にという意味ですか?

Aさん) 両方ですね。もちろん重要な時は気は引き締まるのですが、学校や職場など何度か行くうちに緊張が落ちてきて遅れることが多くなってしまいます。

前もって行動する、複数のプランを作っておく、時間感覚を高める工夫をする、ご褒美や罰を設定する等

Cさん) 自分の対策は2つあります。まず待ち合わせに関しては30分前でも1時間前でも行っちゃう。その時やりかけていたことは行った先でするのはどうでしょうか。2つ目は仕事に関してはやらないといけないことを構造化する。Aという目標があったとすると分解するというのですかね。ITの世界ではWBSというのですけれども、分解していって出来るところから順番を付けて、この順番をつけるのが僕達苦手ですけれども、間に合うようにしていくという対策があります。

Aさん) ありがとうございます。

Dさん) 僕も学校に小学生の時から時間通り行けませんでした。高校に入ると休みグセとか遅刻。お昼から行くことが増えて、周りからは重役出勤とからかわれていました。大学に入ると余計自由度が高まってしまって、先延ばしにしちゃうというのが有りまして・・・。対策としてはやっぱり時間に余裕を持って行ったほうが良いのかなとか。2パターンを用意しておいて、予定通りの時間に起きたらこの通りに行動して、ちょっと遅れてしまったらぎりぎり間に合うようなルート・やり方を何個か用意して。

スタッフ) ショートカットプランを作っておくということでしょうか?

Dさん) はい5分前行動とか10分前行動とかでも、30分単位で早く動いて余裕を持って動くような感じです。そのあたりは本当に周りと感覚を変えないといけないのかなぁと思います。あとは何らか自分にペナルティを課すとか。例えば何日休んだら食費減らそうとか、それを貯金に回すとか。その二つぐらいを対策として考えています。

Eさん) 自分も出発の直前に財布がないとか、寝る時間になってからアイロンかけなきゃとかお風呂に入らなきゃということが多いです。一方で上手く動ける時もあります。私が時間通りに動けているときのの振り返りとしては、先に早めにお風呂に入ったりとか、前夜に荷物を用意しておくなどした時ですね。毎回ちゃんとできているかというとなんとも言えないところですが・・・。

Aさん) 準備をしっかりしておくということですね。

Eさん) 朝、ご飯を食べた後はリラックスして、まったりモードになっちゃうので、先に顔を洗って歯を磨いてということでも違ったりしますね。

Aさん) 遅刻をしないパターンを自分で考えておくということですね。

Bさん) 時間がゆるくなるのは私もそう。我ながらだらしないです。友人との待ち合わせは30分や1時間遅れということが多いです。原因を考えたんですが、一つに時間感覚がない、何かをし始めたときにどのぐらい時間を使ったかがわからなくなっちゃうことだと思っています。私は電波時計を5個ぐらい買って洗面所にもキッチンにも寝室にも時計をおいていています。何を見てもどこ見ても時計が有る。電波時計だからずれていることも一切ないですよね。時計の種類もデジタルとアナログを二つおいていますし、言い訳はできないぞという状況にしています。もう一つ、遅刻してしまう理由が目の前のことしか見えなくなることですね。例えば部屋にものがあったらそれに集中して他のことを忘れてしまうとか。なので、部屋に余計なものは置かないのを徹底しています。

スタッフ) 今おっしゃったのは時間の感覚がまず一つ。あとは目の前に物がないようにしてすべきことから気が逸れてしまうことを少なくする仕掛け。

Bさん) そうです。常に片付けておくということですね。

スタッフ) それからDさんから出たのが、自分へのご褒美や罰を決めておく。

Dさん) はいその通りです。

Eさん) 私の対策も共有させてください。私は中学の方は遅刻魔だったのですが、今は朝起きるのは得意な方です。起きるのは5時です。はじめはピピピという時計と、次のがジリジリと超音がうるさい昔の時計を使っていて、それでどうにか電池切れを起こしても遅刻が避けられる状況を作っています。朝はフル回転で、洗濯物を洗濯機に入れて回している間に、朝食の準備をして食べて、食べ終わったら洗濯物を干す流れです。その後に早めに出て、職場に近い喫茶店で時間調整をしています。カフェはお金がかかると思う人もいるかもしれませんけれども、自分はお酒飲めないことも有るのでそれで割り切っています。また行くところがマクドナルドなら100円ですし、サンマルクだったらクーポン使って160円ぐらい。遅刻しない安心感が有るので安い買い物という印象です。

”定型発達”の人とどう違うの?違わないの?

スタッフ) どうして「定型発達」の人は、遅刻をあまりしないかとか、提出期限に遅れないかとか、はわかりますか?

Eさん) 最後を適当にまとめられるからだと思っています。

Aさん) 早め早めにやるから。

スタッフ) たしかにそういう微妙な違いが有るのかもしれません。でも定型発達と言われている人も日々予定通りに過ごせているかというとまったくそうではないです。なので日々混乱せずに過ごすための対策というと、発達障害の人も、定型発達という人も、変わらないのではないかと思います。僕も家に帰った後、物事が終わるまで座らない、というルールがあります。

Aさん) ほー。

スタッフ) 明日の準備が終わるとか、郵便物を整理するとか、着替えるとか、一回座っちゃうとそこで止まってしまう可能性があるからとにかく座らないようにしています。

Eさん) 私は座らないと逆に変な過集中になってリズムが崩れるかもしれません。

スタッフ) そうかもしれませんね。僕のやり方は僕にしか当てはまらないかもしれませんが、自分にとってのルーティンを決めて、余裕を持てるように、時間通りに動けるように、情報や物が混乱しないように、考えておく必要があると思います。またそのルーティンは季節や年齢などによって徐々に変えていく必要があるということも理解しておく必要があるかもしれません。結局、遅刻対策にも、自分の特徴を自分で知るという自己認知が肝要ですね。

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監修者コメント

遅刻をしやすい人の原因として「そもそもの生理的睡眠リズムが夜型もしくは不規則である」とか、俗にいう「腹時計がきちんと機能しない」からだと思います。腹時計というのは数的な感性で、つまり目算の得意不得意です。目算がうまいと、時間もうまく使えますよね。苦手な人は、予定の30分前に着くようにし、職場で朝ごはんをとるとか、暇つぶしグッズを準備しておくと良いと思います。なので、発達障害の人のカバンは必然的に大きくなってしまいがちですよね。僕もカバンは大きい方です。まぁ、仕方がないと思ってます。


監修 : 益田 裕介 (医師)

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