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発達障害の人は疲れやすい? ~疲れやすさの原因と対処方法~

二次障害感覚過敏

発達障害のある方で、日常的に疲れやすさを抱える方は少なくありません。発達障害の特性が原因となる疲れやすさは一種の二次障害ととらえることもできます。この記事では、発達障害の方によくある疲れやすさの原因と対策についてご紹介します。

感覚の過敏さがあって疲れる

想像してみてください。あなたのオフィスの隣が工事現場で、一日中機材の大きな音が響いています。しかも、職場の蛍光灯の光の強さが200%アップ!サングラスなしではまぶしくてパソコンの画面が見られません。こんな環境では、仕事中イライラしたり、いつもより疲れがたまりやすくなってしまうのではないでしょうか。

発達障害の方の中には、一般的には気にならない音(例えばオフィス内の空調の音といった些細な音)や、光(蛍光灯の光など)に非常に敏感な方がいます。自閉スペクトラム症の方に比較的多く見られます。一見「普通」のオフィス環境でも、集中しにくかったり疲れやすいという場合があります。感覚の過敏さは音や光だけではありません、香りや肌触りなど、個人によって苦手さの出る感覚も様々です。

このような場合の対策として、2つの方針が考えられます。

ひとつは、発達障害のある方ご本人が働きやすい環境を整備することです。

例えば、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンをつけたり、サングラスをかけたり、といった対応が考えられます。周囲の方は、ご本人のしんどさを理解し、工夫を職場で受け入れることでフォローをするとよいでしょう。つまり、職場でイヤホンをつけたりサングラスをしながら働くこと自体を許容するということです。感覚の過敏さについては人ぞれぞれで感じ方が異なるので、自分に合った工夫を見つけることがポイントになります。

もう一つは、周囲の環境をご本人の仕事がしやすいように整備することです。例えば、職場のデスクをオフィスで一番静かな場所にすることや、パーテーションでデスクを仕切るなどの配慮が考えられます。

現在では、企業の中で「合理的配慮」の提供はまだポピュラーではないかもしれません。しかしながら、今後企業の中で働く発達障害のある方に対する合理的配慮の提供は増加すると考えられます。感覚の特異さによる困難は多くの発達障害のある方が抱えており、かつ配慮内容として比較的申請しやすいと考えられますので、このような感覚過敏についての合理的配慮は今後多くの企業で考える必要があるでしょう。

活動量が人よりも多くて疲れる

特にADHDの方に多く見られます。ADHDの大人の方は、エネルギッシュで活動的な方も多く、活動量が多いためにほかの人よりも疲れやすいということがあります。また大人のADHDの場合は、行動面では比較的落ち着いて見えても頭の中が多動状態にあるということがあります。思考が目まぐるしく変化したり、次々に考え事が浮かんでしまうというイメージです。この場合も、見た目にはわかりにくいですがご本人は疲れやすいという可能性があります。さらに、注意のコントロールが苦手な方や衝動性の強い方は、それらをコントロールするためにエネルギーを使うので疲れてしまう、ということもあるでしょう。

このような場合は、1日のスケジュールの中に最初から休憩をあらかじめ組み込んでおき、定期的に休息が取れるように設定しておくという対策が考えられます。発達障害の方の中には、「適切なタイミングで適度に休憩する」ことを苦手とする方も多いので、休憩自体をあらかじめスケジュールに組み込んでおくとよいです。

睡眠が上手にコントロールできずに疲れる

発達障害の方の中で睡眠の問題を抱える方は多いです。特にADHDの方で、睡眠のコントロールが難しいという方が多い印象です。

睡眠の問題といっても、理由やそれに伴う困りごとは様々。不眠で悩む方もいれば、反対に過眠に悩む方もいます。眠る時間は平均的でも、眠くなるタイミングがずれてしまうこともあり、眠りたい時間に眠れなかったり、眠ってはいけない場面でどうしても眠くなってしまったりする方います。発達障害の方が抱える睡眠の問題についての当事者の皆さんのお話は「発達障害と睡眠障害 様々な症状とその対策」もご覧ください。

睡眠のサイクルが上手に回らないことは、心身の疲れに大きく影響します。対策は人それぞれですが、一人でも取り組める対策として考えられるのが、眠りやすいような環境を整えることです。自分が眠りやすいような音や光、室温などの環境を整えましょう。例えば、まったくの無音が眠りに入りやすいという方もいれば、少しだけ音があった方が良いという方がいます。また、日中どうしても眠くなってしまう場合は職場で小休憩をはさむことも有効かもしれません。

睡眠の問題が日頃の生活に著しく影響している場合、専門医の診察を受けることも必要です。専門医の診断を受け、眠りのコントロールのために服薬をする場合もあります。

完璧主義すぎて疲れる

ASDの方の中には、仕事を「適当に」することができず、常にご本人の中での完璧を目指しすぎて疲れてしまうという方がいます。周囲の求める完成度に近づけたいという場合もありますが、自分自身の決めた水準で仕事をしたいという一種のこだわりのために、仕事で根を詰めすぎてしまうことがあります。

ポジティブにとらえれば妥協せずに仕事に取り組むことができるといえますが、自分を追い詰めてしまったり、頑張りすぎてしまった結果疲れがたまってしまうことが考えられます。当事者の語る完璧主義ゆえのしんどさについては、「発達障害と体力 職場で上手に休むには?疲れ具合を把握するには?」も併せてご覧下さい。

このような場合は、たとえば決まった時間まででできた分を上司に報告するようなルールにしたり、指示をもらうときにあらかじめ具体的なゴールを設定してもらうことで、「適当に」仕事をこなしていけるかもしれません。ご自身が仕事に求める水準を下げたり妥協するように努力するよりも、一定の水準になった段階で周囲からOKを出す方が効果的だと思われます。

周囲に合わせようとして疲れる

ASDの方の場合、その場の雰囲気や相手の感じていることを察することは得意ではないことが多いです。多くの人が何気なくしている、無意識にできていることでも、発達障害の方は頭や心、体をフル回転させて対応していることが多々あります。ですので、周囲から見て「普通に生活している」ように見えても、実はそのためにたくさんのエネルギーを使っていることがあります。例えば、一般的にはリラックスするために行う昼休みの雑談も、ASDの方にとっては誰に何をどのタイミングで話せばよいのかをうかがいながら参加しなければならず、かえってストレスの素になってしまうことがある、といった具合です。また、「社会人は〇〇でなければならない」というイメージにとらわれて、その通りの自分を目指すことで疲れてしまう場合もあります。

発達障害の方の中には、周囲の環境に適応するために神経をすり減らしてしまう方がいるのです。このような場合、まずは自分の特性となるべくマッチするような職場を選択することがポイントになるでしょう。また、可能な範囲で特性に対して周囲の環境を調整してもらえるように依頼することができればなおよいでしょう。(例えば上記の例でいうと、お昼休みは一人で静かに取れるような場所を用意してもらうなど。)

自分で疲れに気づかない

みなさんは、自分自身の「疲れ」をどのように認識しますか?「甘いものが欲しくなったら」「頭痛がしたら」「いつもより睡眠時間がたくさんほしくなったら」…。人によって自分の疲れ度合いの見極め方法や、疲れのサインはそれぞれだと思いますが、発達障害の方の中には「疲れている状態」を把握できずに困るという方がいます

例えば、発達障害の方の中には物事に過度に集中してしまう(過集中)方がいます。集中力が高いことは一般的によいことなのですが、集中も限度を過ぎると体の不調を招く場合があります。発達障害の方の場合、一度集中のスイッチが入ると、寝食を忘れて物事に集中してしまうことがあります。人によっては、周囲の音も耳に届かないほど集中してしまうことがあります。集中の対象は仕事だったり、趣味だったり、人によって様々です。このような場合、集中が途切れた際に急激に疲労を感じる場合があります。

また、発達障害の方はセルフモニタリングの苦手がある場合も非常に多いです。セルフモニタリングとは、自分で自分自身の状態をチェックすることです。

例えば、「私は今おなかがすいているな」「〇〇という出来事があったから、私は今悲しい気持ちなんだな」というような内面の部分を自分自身で察知したり、整理することの苦手さを持つことがあります。セルフモニタリングが苦手ということは、自分の状態を把握して先んじて対策を立てることも苦手ということ。「疲れ」を早いうちに察知できれば、「今日は早めに帰って休もう」などの対策もできますが、自分自身の疲れに気がつかなければそれも難しくなります。

こういった場合、ご本人に疲れの自覚があるかどうかにかかわらず、定期的に休憩をとるようにすることが必要です。過度な集中状態になっている場合は、タイマーなどを使って休憩時間がわかるようにしておくとよいでしょう。