発達障害の特性 興味・関心がない業務への向き合い方

発達障害の人の視点で議論してもらいました ~キスド会 2017年1月 開催報告~
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 在職者向けのキスド会(土曜夕方に秋葉原と新宿で開催している、発達障害*のある在職者向けのしゃべり場)での会話を皆さんの承諾をもとに記事にしています。今回のテーマは興味関心がない仕事をしないといけない場合についてです。

Aさん: 子どものときもやりたくないことはしなかったので、学校の先生や同級生から受けがとても悪くて…。社会人になっても、僕はSEなのですけれども、はじめは雑用みたいなことばかりで、毎日が地獄だった。どうやってもやりたくないことは出来ない。SEの仕事に関しては興味を持てる分野なので、無理やり興味をもつような精神コントロールをした。どんな仕事でも楽しみを見つけるようにしてやってきた。10年目ぐらいからは自分がやりたいことをしてお金がもらえているというポジションになっている。でも今後いつかはやりたくない仕事、苦手な仕事を任される気がしていて不安です。今は発達障害ということがわかったこともあり、いろいろなことに興味をもつために、新聞を毎朝読んだり、暇な時間に本屋に行って自分が興味のない新書を読んだり、努力するようにしています。皆さんどうですか?

空気を読むことを頑張ったら鬱になった

Bさん: 僕の場合はやりたくないことをやったがために鬱になりました。職場で指導があったんです。空気を読んで働けというもの。それを100%やろうとしていたら、ある日朝起きたときに服が着替えられない状態になってしまったのです。この体験を通じて、興味が無いことを無理にやるのは気持ちが落ちてしまうのではないかと、個人的には思っています。興味が無いことにはなるべく興味を持とうと思って本を読んだり勉強したりをしたのですが、今回ばかりはバケツから溢れてしまった感じになってしまった。なので程々にって感じですね。

Aさん: でも程々というと、周りからは手を抜いているように思われませんか?

Bさん: たしかに、健常者の方は「適当に」というんです。「適当にやれば良い」って。空気読むのも「適当に読めば良いよ、自然な流れでわかるでしょ」みたいな感じだったので。僕の場合は転職用に公務員の勉強も同時にして、さらに趣味のスポーツもして、いろいろ同時にしていたこともあってパンクしちゃった感じ。自分でコントロールできれば、興味のないものに関心をもつように努力するのもよいのですけれども、疲れをコントロール出来ないと自分で気づかないうちに悪いものが溜まっていって、ある日突然ということもありますよね…。

興味がない=出来ないでは?「発達障害の特性」と職場で配慮を求めてみたら?

Cさん: 私もASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)なので、自分なりに分析してみたことが有ります。なんで興味が無いのかなと思ったときに障害特性に関係するのではと思っています。興味が無いというのは出来ないということにつながっているのだとすると、職場で「○○をやりなさい」といわれた時に「はい」ということが良くない答えかなと思っています。「私はこれこれで得意ではないのでご配慮いただきたい」と障害者枠であればそういうふうに相手に伝えるべきじゃないかなと。その中で自分なりに出来る仕事をしていかないと鬱になるのではないかなぁと感じています。

Aさん: 僕も興味がない=出来ない、出来ないからやらないということがあって、おっしゃっていることは本当に理解できます。でも私は一般枠なんですよね。周りの人は僕がマネジメントやコーディネートするのが特に苦手ということを知ってくれています。自分はSEの技術の部分では結果を出しているので、その分、周りの人が自分の不得意なことをやってくれるという感じです。でも今後やりたくないポジションにはめられたときにどうすればよいかと不安です。

出来ないから騙そうではなく、正攻法で戦うのが発達障害らしく清々しい

スタッフ: つまりマネジメントを任されたときにどうしようということですか?

Aさん: 自分が能力がないと自分が自覚しているところをやれと言われたときにどうするのかというところですかね。マネジメントと言うのは今後もないかもしれないのですけれども、打ち合わせのときのコーディネートをする場面は出てくると思うのですね。自分は特性上なのか、やりたいことを無理強いされるとものすごい精神的に落ち込んで、一日ブルーみたいになる。それをどうやって回避しようか、精神的にコントロールしていこうかなという感じですね。

Cさん: 多分マネジメントもコーディネートも人の心の機微を察知して、ある程度みんなに合うようにコントロールするということですよね。でも、発達障害の人って機微を察知するのが難しいので、結局失敗が出たりとか、注文が複雑になってきますよね。

Aさん: そうですね。それとコーディネートだと同時並行作業も有りますよね。時間を考えながら、発言をするとか、人の話を聞きながら、上手にまとめることを考えるとか。そこが出来ないんですよね。本にも書いてあって、根本的に発達障害の特性上苦手なところがあるから、頑張ったところで出来るところがしれている。今は周りの人に恵まれているのですが…。

スタッフ: 伺っているとなかなか高等な悩みかなぁと…。どんな人でもミーティングを束ねるのは難しい。束ねるのってリーダーシップの力ですよね。リーダーシップを取れる人は全人口の10~20%かなと。それを出来る人のほうが少数派。発達障害云々じゃなくても難しいんじゃないかなぁ。もう一つ思ったのが30、35を越えるとどんな人でも新たなスキルを獲得するのはなかなか難しい。なので今不安に思いながら新たなスキルを獲得しようとしているのは尊敬に値するなと思いました。

Aさん: 僕は40近いのですが、それでも頑張らないといけないのかなぁ、甘んじていてよいのかなぁという葛藤が有りますね。

スタッフ: まっすぐ正攻法で行っている気がして清々しいですね。多くの人は出来ないのを騙そうとする。ゴマをすったりとか、わかったふりをして逃げるみたいな…。それが多数派の人、定型発達の人がやる手法ですけれども、Aさんはズルをせず成長を目指しているんですね。

Aさん: その言葉に救われました。

Bさん: そうか、そんなに真面目に取り組まなくても良かったのかぁ。

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監修者コメント

発達障害の人は定型の人よりも「できる・できない」がはっきりしているし、「興味がある・なし」もはっきりしています。

日々沢山の方に会うドクターとして感じるのは、治療の目標は「できることを増やすこと」というよりも「こういう考え方をしたら辛くないな」「こういう環境なら自分でも頑張れるな」というような、最適なポジションを見つけることであり、そのポジションを受け入れることだということです。

ポジションについた後に、ゆっくりと成長していけば良いのだと思いますよ。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます


監修 : 益田 裕介 (医師)

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