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一般雇用 “障害者手帳”を使わずに就職・転職するには?『就労移行×就労定着』を賢くセットで利用 発達障害の特徴を発揮しやすい働き方へ

 発達障害の方は、普通級や大学/専門学校など通常の進学をされてきたり、その後もマイナビやリクナビなどの転職サイトを用いるなどして『一般雇用』で就職・転職活動をしてきた方が多く、障害者手帳や『障害者雇用』への抵抗や戸惑いがある方もいるでしょう。知識もなく周囲に専門家もおらず「障害者雇用で働く」ということがピンときていない方もいると思います。この記事ではそんな方々に、“障害者手帳”を取得せずに一般雇用を目指す方法をまとめます。

ことば解説
  • 就労移行支援 … 厚労省の認可制度。障害のある方向けの職業訓練制度。詳しくはこちら
  • 就労定着支援 … 厚労省の認可制度。就労移行支援を受けた人などの定着サービス。詳しくはこちら
  • 障害者手帳 … 障害のある人が取得できる手帳。税制上のメリットや障害者雇用への応募など。詳しくはこちら
  • 障害福祉サービス受給者証 … 就労移行支援や就労定着支援など福祉サービスを受ける時の証明書。

“障害者手帳”無しでも使える 就労移行支援

 障害のある方が職業訓練など働くための基礎スキルを習得できる就労移行支援事業。全国で数千の事業所が行政の認可のもと運営しています。しかしこれまで就労移行支援というと、障害者手帳を使った『障害者雇用』が通常でした。このため障害者手帳を使わない就職(『一般枠』や』『一般雇用』と言われます)は就労移行支援で支援してくれないと思われている方が多いでしょう。しかし実は就労移行支援は“障害者手帳”無しでも利用できるのです。

 ”就労移行支援を使う時に必要なものは“障害者手帳”ではなく“障害福祉サービス受給者証”です。“障害福祉サービス受給者証”は医師の診断があれば取得できます。手続きはお住まいの自治体に医師による意見書・診断書を提出する必要がありますが、その際に“障害者手帳”は原則不要です。(もちろん“障害者手帳”を持っていても構いません。)

“就労移行支援”後の就職先は 『障害者雇用』が多数だが・・・

 では実際に”就労移行支援事業を経由して就職をしている人には『一般雇用』の人は多いのでしょうか?

 残念ながら現段階では『障害者雇用』を目指す人が大半です。当社Kaienの就労移行支援事業では約9割が最終的に『障害者雇用』を選択されます。これは近年、障害者雇用率が向上して障害者雇用の世界でも人材不足が起きている他、発達障害の方を積極的に採用する企業が増えてきて給与や職務内容、契約形態が望ましいものになりつつある(『一般雇用』のそれに近づいている)ことがあると思われます。そして何より「苦手なことを強要されない」「得意なことのみを任せてくれる」など、理解や配慮がある環境で働けるということが『障害者雇用』のメリットです。

 しかしながら『障害者雇用』は『一般雇用』に比べると、まだまだ職種が限定されている他、昇給が少なく、発達障害の診断がある人でも「できれば『一般雇用』で継続したい」という人が多いでしょう。不安は、障害や苦手を伝えずに(クローズドで)働くために、仕事に耐えられるかどうか、安心して働き続けられるかどうか・・・ではないでしょうか。

 実は2018年からそういった方に追い風となる制度ができました。それが“就労定着支援事業”です。

“就労定着支援事業”で「攻める就活」が可能に!

 ”就労定着支援事業”は、”就労移行支援事業”を経て就職した人が最大3年半使える職場定着支援の制度です。多くの方は無料で使えますし、年収が高く自己負担が発生する方も1回あたり3,000円程度で使えます。制度的には『障害者雇用』で働くことがイメージされているようで、ご本人との面談や、企業への連絡などを支援機関が行います。(『一般雇用』の場合は企業への連絡は取らずご本人だけへの支援となります。)

 ”就労定着支援”のサービスは毎月使うこともできますし、数ヶ月に一度の利用も可能です。これまではあまり企業や職場の事情に詳しくない精神科医に相談してきた業務上のことも、障害×キャリアのプロフェッショナルである就労定着支援のスタッフならばより踏み込んだアドバイスを得られることが増えると思われます。

 また当社Kaienの”就労定着支援事業”では、週末にグループワークも開催。正社員登用や給与UPのためにするべきこと、効果・効率的に働くためのビジネススキルや人間関係のノウハウなどを継続して学べます。これまでは苦手なことを理解されずに人間関係を崩していたり、精神的・肉体的に限界を感じていた方も、就労定着支援を受けることで安定感を増した業務が出来る可能性が高まります。

 もちろん『障害者雇用』の方も”就労定着支援”のサービスを使えますが、『一般雇用』の方のほうがメリットを感じやすいかもしれません。安定した就業・定着を考えて、これまで『障害者雇用』を勧めてきたスタッフも、場合によっては『一般雇用』にチャレンジすることを進言できる機会も増えそうです。

 なお、”就労定着支援”の利用にあたっての条件は”就労移行支援”と同じ。つまり医師の診断による”障害福祉サービス受給者証”は必要ですが、”障害者手帳”は不要です。

“就労定着”のみの利用はNG その分、”就労移行”も効果的に

 気をつけていただきたいのは、”就労定着支援事業”だけの利用はできないということです。”就労定着支援事業”を受けられるのは、”就労移行支援”などの福祉事業を使って就職した人のみとなります。それならば籍だけでも”就労移行支援”に置けば良いと思われる方もいるかも知れません。でもせっかく”就労移行支援”を受けるならば、そこで学べるものはすべて学ぶぐらいの気持ちで受講されると良いでしょう。

 特にこれまで『一般雇用』で働いた経験のある方は、「自分はパソコンも使えるし、ビジネススキルもある程度出来るから、就職の支援だけしてくれれば良い。」とおっしゃる方もいらっしゃいます。しかしそういう方に職業訓練のプログラムに入っていただいたり、仕事力・ビジネス力のアセスメントプログラムを受けて頂くと、これまで我流に働いてきて、不思議な癖や非効率な 計画の建て方をされているケースが散見されます。

 一般雇用で働いた経験があると言っても、なんらかのトラブルや働きづらさがあって支援を受け始めたのだと思います。職場での距離感をどうすればよいのか、ミスや抜け漏れをしないために準備することは?、計画を立てたり修正したりするためにどのような記録の付け方をしておけばよいのかなど、実際に職業訓練などで試したり、ビジネススキル講座で新しい知識を学んだりすることは、就労移行支援事業でないとできないところです。職場でのコミュニケーション(受信・発信)や段取り・計画立てには魔法はありませんが、基本をしっかりと習得し直す効果はその後の定着に無視できない効果を与えるでしょう。

 ”就労移行支援”と”就労定着支援”をセットで使って、一般雇用も選択肢に入れる攻めのキャリアプランをぜひ作っていきましょう