障害者を雇うと助成金もらえるんですよね

障害者雇用に関する納付金・調整金・給付金 そして助成金の制度を解説
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①障害者雇用納付金

障害者雇用にまつわるお金関係は、①『障害者雇用納付金』の制度と、②『雇用保険&一般財源の助成金』の制度の2つの仕組みがあります。まずは前者を見てみましょう。

”納付金制度”とは

語弊を恐れずに言うと、障害者雇用の目標を達成していない企業からお金を徴収し、そのお金で、基準以上に雇用している企業にお金を渡したり、障害のある人が働きやすい物品の購入にあてたりする制度です。そのやり取りを担当しているのが独立行政法人の高齢・障害・求職者支援機構です。厚労省系の独法ですね。

”納付金制度”では、障害者雇用率の達成ができない企業が多いほど、”罰金”的なお金の”流入”が多くなります。一方で障害者雇用が進むと、実はこの”流入”が少なくなり、一方で”流出”、つまり障害者雇用を達成し、上積みしている企業へのお金が増えるので、財源が逼迫しがちです。

実際、障害者雇用が一気に進んだ2005年頃から積立金(つまり残高)が一気に少なくなり、2005年は約450億円あったものが、2013年には10分の一以下の10~20億円に落ち込んでしまいました。ただしその後、「助成金」の支給基準がかなり厳格になったり、なによりも2.0%に障害者雇用率が上がって未達成の企業が増えて”流入”が増加したことから、最盛期の半分とまでは行かないまでも170億円を超えるぐらいまで積立金は回復しつつあります。2018年からは障害者雇用率が2.2%、そして数年後には更に0.1ポイント上がって2.3%になりますので、積立金はある程度余裕のある運用ができそうです。

納付金はたったの(?)5万円/月

この納付金制度。障害者雇用の啓発にどの程度役立っているのか疑問視する人もいます。特に障害者雇用をしない場合の”罰金”的なものが月額5万円。実際に人を雇用すると10万円以上はかかることを考えると安すぎるのではないか、という議論が多いようです。

例)障害者雇用に一人分足りない場合 

  • 選択① 雇わない場合 →  月間5万円=年間60万円 の”納付金”で済む
  • 選択② 30時間勤務で一人雇う → 月間約12万円=年間144万円の”給与”を支払う

もちろん、選択②の場合は、給与に見合った働きができれば問題ないわけですが、そもそも企業がその人を戦力化しようとしていなかったり、ご本人に合わない環境でパフォーマンスが上がらなかったりしますと、選択①のほうが安上がりと感じる企業が増えてしまう可能性があります。

調整金・報奨金は”ご褒美”

一方で、障害者雇用率以上に採用している企業には”ご褒美”があります。月2万円程度、企業の規模に応じて会社に支給される仕組みです。(大企業の場合は”調整金”、中小の場合は”報奨金”と呼ばれています。)「障害者を雇うと助成金がもらえる」というのはこの調整金や報奨金のことを言っている場合もあるでしょう。(※ただし本記事の最後で説明する”とっかいきん”である場合が多いでしょうが・・・)

助成金は限定的

近年、納付金の積立不足に伴い、大きく支給の要件が厳格になっていると思われるのが助成金です。ようやく”助成金”という言葉が出てきました。こちらは主にハード面の環境整備(例えばオストメイトトイレへの改修、手すりや文字読み上げソフトの導入)に一定割合の助成をするというのものです。最近非常に増えている、精神障害や発達障害の雇用では使いにくい制度ということも、助成金の金額が減少傾向にある要因になっています。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

多くの場合「障害者雇用をしたら助成金がもらえる」というのは、②の『雇用保険&一般財源』を元にした助成金の一つである特定求職者雇用開発助成金です。省略して特開金(とっかいきん)と呼ばれるのが一般的です。障害者手帳などを所有している人を雇用すると数年間で、場合によっては200万円を超える額が支給されるものです。

特開金(とっかいきん)は障害者以外にも適用される制度

①は厚労省系の独立行政法人が管轄でしたが、②は労働局が管轄であり財源は、①のように(言葉は悪いですが)”罰金”によって成立するのではなく、”雇用保険”や”税金”を元にしていることが違いでしょう。またこの”とっかいきん”は、決して障害者専用のものではなく、高齢者やシングルマザーを雇うことでももらえるなど、就職するのが困難と思われる層をフルタイムで雇った時に企業がお金を受け取れる制度です。

特定求職者雇用開発助成金、いわゆる特開金(とっかいきん)について
厚労省のサイトより

特徴は、当初数年間の支給であること、額が多いこと

最近ではごく一部の就労継続A型がこの制度を悪用し(上手に使いすぎ)、社会問題化するなどしています。そもそも障害のある人を雇うことに対する助成金なので、気持ち的にも悪用されているのはよくありません。

また悪用されやすいと思われる要因としては、①は継続的に払われる(払う)仕組みですが、②は当初1~3年の期間限定で支払われるもの。このため助成金が続く期間だけ雇って後は雇用を解除するという現象も引き起こしてしまっていました。(※最近は改正され、正社員などのように継続して雇う条件にしていないと、とっかいきん は出なくなりました。)

厚労省のサイトより

額が大きいことも特開金(とっかいきん)の特徴です。当社がサポートしている発達障害の人を雇う場合、障害者手帳があると、中小企業では一人雇うごとにトータル240万円が3年で分割されて支給されます。(大企業の場合も100万円/人ですので相当な助成金と言えます。)

無期雇用が前提のため、トライアル雇用を挟むケースも増えそう

特開金の申請要件が「無期雇用」と厳しくなっているので、今後障害者トライアル雇用→特開金の流れは増えそうです。【障害者トライアル雇用のポイント】は以下のとおりです。特開金より手続きが面倒です。

  1. トライアル雇用の対象者であることを確認するための確認票が必要
  2. 対象者にトライアル雇用であることの明示が必要
  3. トライアル雇用の旨を記載した求人票の回収・保存が必要
  4. 選考を受ける対象者は募集数の5倍以内という制約あり
  5. 求人している事業所が申請とともに実施計画書を作成提出する必要がある

障害者雇用 どう始めれば?

上記の各サイトにあるように、ハローワークに行けば、障害者雇用や助成金についての情報は得られます。もちろんそれで問題ないのですが、、、我田引水とはなりますが我が社のような福祉系の民間企業も捨てたものではありません。

雇用管理の方法や環境調整・採用時の注意点など障害者雇用のノウハウ、実際に障害者手帳を持つ方の紹介はもちろん、この記事で触れた助成金についての概要もお伝えできますし、障害者雇用ではないけれども障害があるのでは(特に当社が専門にしている発達障害は障害者枠で雇われている人よりも一般枠にいる人のほうが多いと推定される)という人についてのご相談などものることができます。

【参考】Kaien法人窓口: rep@kaien-lab.com

”障害者雇用”と聞くと、特にまったくその世界を知らない人にはおどろおどろしく響くこともあるかもしれませんが、多くの場合は基本をしっかり押さえれば思ったほど難しかったり混迷するものではないです。かつ奥が深くて人事担当者には学びとしてキャリアを形成する上での一助にしてほしい分野でもあります。

次回は『発達障害の人を雇ったが、障害者手帳が”ない”場合はどうなるのか』を解説します
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