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HOME宮尾医師 寄稿記事分かりにくい?女性のADHDとアスペルガーの違い

片付けられない、時間を守れない…大人のADHDの特徴

近年、認知が広まり始めた「大人の発達障害」。いくつかに分類されますが、例えば「ADHD(注意欠陥多動性障害)」は「片付けられない」「時間を守れない」などの特徴があります。ネット上で「アスペ」と略されることも多い「アスペルガー症候群」(以下、アスペルガー)の症状の一部は、場の空気を読んだり、相手の気持ちを理解したりすることができないというものです。

このような行動の傾向を知り、「もしかしたら自分はADHD?」「もしかして、あの人はアスペルガーかも」と感じたことがある人もいるかもしれませんね。ADHDとアスペルガーは症状に似ている部分があります。

“男性の病気”と考えられてきたADHD(注意欠陥多動性障害)

ADHD(注意欠陥多動性障害)は主に、「不注意」「衝動性」「多動性」の3つに分けられます。女性の場合、「多動性」が顕著なケースは男性より少なく、「不注意」と「衝動性」が目立っている場合が多くあります。

「多動性」の症状はわかりやすいですが、「不注意」と「衝動性」は「怠けている」「単なる性格だ」と誤解されることもあります。また、ADHDは長いあいだ男性の発達障害だと考えられてきたので、診断基準は男性をイメージして作られており、女性は診断されにくいという問題がありました。女性と男性では、障害の受け入れ方や、治療による気持ちの変化、症状が生じるメカニズムや治療法まで全く違います。(当サイト監修医の宮尾益知先生による『女性のADHD』に詳しく紹介されています。)

女性のADHDに多い症状

まず、「不注意」からくる症状として、物事の段取りが苦手な人が多いです。例えば、1時間でどれだけのことができるかを考えるとき、料理、片付け、着替え、化粧の全部をできると思ってしまう。それから、道を頻繁に間違える人も多くいます。いつも降りる駅の改札が工事中などで通れないため、反対側の改札から降りなくてはならない状況になったときに、どう行けばいいのかわからなくなってしまいます。建物や道の裏側を想像できないのです。

「衝動性」の症状のひとつは、「無駄なものを買ってしまう」ことです。安いからといって、同じようなものを次々と買ってしまう。また、会話の際も、相手の話が終わらないうちに自分が話し始めてしまったり、相手を傷つけることをバッと言ってしまったりする人もいます。結婚などの重大な決断も、よく考えずにポンとしてしまう人が多い。そしてADHD当事者が母親の場合、衝動的に子どもを叱りがちです。

治療の方法の男女差

男性は「今が良ければすべて良し」という考え方をする人が多いのですが、女性は「過去の自分が今の自分につながっている」と考える傾向があります。そのため男性は、治療薬を飲んで症状が改善されると満足しますが、女性は過去の出来事を思い出してしまう傾向があります。

辛かったこと、悲しかったこと、できなかったこと、人に言われたこと……そして、自己否定やうつ状態に陥ります。だから、単に治療薬を投与するだけでなく、カウンセリングなどのケアも必要になります。

また、治療薬を飲み、それまでできなかったことができるようになると、強迫的に完璧を目指そうとします。例えば、片付けができるようになったとすると、「ちょうどいい加減」がわからないので、家の中をモデルハウスのようにしてしまうのです。少しでも散らかっているのが許せなくなって、苦しくなってしまうんですよね。そのため、「まあこのくらいでいいかな」というイメージを作ることが大切です。目標とするレベルを高くし過ぎないようにすることが大切です。

「自分はADHDかもしれない」と思ったら…

「自分はADHDかもしれない」と思ったら、成人の発達障害を診察するクリニックに、まずは相談してみて下さい。以前は少なかったのですが、現在は増えつつあります。

宮尾先生によると、『女性のアスペルガー症候群』(講談社)を刊行した際の感想に、「私は女性でADHDと診断されているのですが、『女性のアスペルガー症候群』に書いてある症状がすべて当てはまります」というコメントがいくつかあったそうです。ADHDとアスペルガーは症状がとても似ているため、自分がどちらなのかわからず、戸惑っている人も多いのです。『女性のADHD』では、「アスペルガーとどう違うのか?」という点も詳しく書いてありますので、自分は発達障害なのではないかと思う方は、両方を読んでみると疑問が解消されるかもしれません。

ADHDは衝動的、アスベルガーはこだわりが強い

ADHDとアスペルガーには、「片付けられない」という共通した症状があります。アスペルガーの場合は、きっちりやらないと気が済まず、一つ一つものを並べていくのに時間がかかりすぎて終わりません。一方のADHDは、なんでも雑にどんどん収納してしまい、結果的に片付かない。結果は同じでも、そこに至るまでの行動は異なります。

「買い物が下手」という共通の症状も、メカニズムは違っています。ADHDの人は衝動的に多くの物を買ってしまう。安く買いたい、こんなタイプがすきは変わりませんから、買ってしまって家に帰ると同じような洋服が何着もある、といった状況になります。

逆に、アスペルガーの人は強いこだわりがあるため、衝動買いはしません。「こんなイメージ」と思っている洋服があらわれるまで、買おうとしないのです。「良いもの」「ブランド品」が好きな傾向にもあります。宮尾先生もこんなエピソードを紹介しています。

私が担当していたアスペルガーの方は、自分の服のサイズや求める色柄もよくわかっており、その好みを知る店員に「この服はあなたのためだけに有名デザイナーが作りました」と言われて着てみると、好みもサイズもぴったり。この方は私の外来に、いつも有名デザイナーの洋服を着てこられました。

ADHDの人は、「本来は」相手の気持ちが分かる

ADHDの人は、本来、相手の気持ちを理解する力を持っています。しかし、衝動性や不注意によって発揮できていないのです。ですから治療薬さえ飲めば、それまでできなかったことができるようになります。アスペルガーには今のところ特効薬はなく、治療法は異なります。まずは、クリニックで自分の状態をしっかりと診察してもらうことが、生きやすさにつながっていきます。ぜひ、一歩を踏み出してみてください。

※Kaienでは、自分の特徴・強みを生かして就職を目指す就労移行支援や、自立に向けた基礎力を上げる自立訓練(生活訓練)、また学生向けのガクプロというセッションを運営しています。それらの中で家族・恋愛関係についても専門のスタッフに相談できますので、支援者の伴走を活用することもご検討ください。

監修 : 宮尾 益知 (医学博士)
東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。
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