女性の発達障害の特徴

対人・異性関係も含めた生活や職場での困りごととその対策
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一般的に発達障害*は男性の人口が多いと言われています。
例えば ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)では、男性:女性が 4:1 、ADHD (注意欠如多動症)では、2.5:1 の割合と言われています。

このページでは、発達障害のある方の中でも、特に女性の困りごとやそれへの対処を取り上げます。

女性の抱える発達障害特性は、時に専門家でも気づくことが難しい場合があります。
知らず知らずのうちに困りごとや悩みを一人で抱えていることがあるかもしれません。

ASD の女性ってどんな人?

ASD は、これまで「アスペルガー症候群」や「自閉症」という別々の名称で表されていた障害をひとつの概念としてまとめたものです。
詳しくは、「大人のASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)」のページをご覧ください。

ASD の女性は、子どものころにその特性や困難に気がつかれないことも多く、大人になってから診断に至るケースは珍しくありません。

対人コミュニケーションの障害は一般的に ASD のある男児よりも目立たず、集団生活での適応も他者からは比較的良好なように見えるともいわれています。
しかし対人コミュニケーションの障害が見えにくいのはあくまでも周囲の大人から見て目立たないということで、ご本人自身は周囲とのかかわりに違和感やずれを抱いている場合が多いです。

特に思春期以降は、友人関係の悩みを抱えることも多くあるでしょう。一般的に、女性同士のかかわりの中では社会性の障害が男性に比べて目立つため、友達同士や同僚との関係に困り感を持つ方は男性よりも多いかもしれません。
中には、周囲とのかかわりの中で自分と周りの「ずれ」を感じ、「普通の女の子」として周囲に適応しようと非常に気を遣って生活をしている、という方もいます。

ADHD の女性ってどんな人?

ADHD とは、「注意欠如多動症」のこと。
詳しくは、「大人の ADHD (注意欠如多動症)」のページをご覧下さい。

ADHD の女性もまた、幼少期は特性や困難に気がつかれないことが多くあります。

というのも、ADHD の男児の場合は ADHD の特性の中でも多動性や衝動性が目立ち、女子では不注意系傾向が目立つといわれているからです。
皆さんの中にも、ADHD と聞くと「小学生の時に授業中に席を離れてしまう子がいたなあ」「ADHD って、落ち着きがないタイプの人のことかな?」と思う人がいるのではないでしょうか。

もちろん、そういった特性を持つ場合もありますし、このような多動・衝動性は周囲から見てわかりやすく気づかれやすいのです。一方で、「授業中に他の考え事をしていて指示されたことができていない」といった不注意から起こる行動は周囲からは分かりづらく、気づかれにくい傾向があります。
これが女性が ADHD があることを家庭や学校で見過ごされやすい理由の1つです。

またもう1つの理由として、男性では多動や衝動性の特徴は、先ほど例で挙げたように身体の動きに現れることが多いのですが、女性では「自分の話したいことを周りを気にせず話し続けてしまう」といった会話などの言葉に現れることが多く、ADHD の典型的な「じっとしていられない」イメージに引きずられてしまうと、他の場面で出ている ADHD の徴候に気づかないこともあるでしょう。

二次障害

発達障害のある方は、発達障害の特性が背景要因として生じている二次障害を持つ方も多くいます。
例えば、うつや不安の問題、摂食障害、パーソナリティ障害、愛着障害などがあげられるでしょう。
特に女性の場合、すでに書いたように幼少期に発達障害の診断に至っていないケースも多く、二次障害のために精神科を受診したことがきっかけで発達障害の診断に至ることも珍しくありません。

例えば、周囲とのコミュニケーションが思うように取れない、周囲と自分とのずれを感じてしまい、自分に自信が持てず生きづらさを感じる方がいます。
また、ASD の女性では食事の種類やカロリー、体重や体形へのこだわりから摂食障害を重複する
場合があります。
ADHD の方の場合、子どものころは「おっちょこちょい」で済まされていたことが、大人になるにつれて女性らしい気遣いや振る舞いが求められるようになり、「気が利かない」などとネガティブに評価されてしまうことがあるかもしれません。
ADHD の方にとって、家事は同時進行で効率よく物事を遂行しなければならない上に時にイレギュラーに対応しなければならないしんどい作業なのですが、「女性なのだからできて当然」と周囲に指摘されたり、ご自身が頑張りすぎてしまって疲れてしまうことがあります。

二次障害は性別に限らず起こる可能性はあります。
しかし、幼少期や学齢期に診断を受ける、あるいはご本人の特性を周囲が理解して接することで二次障害のリスクを低減することは可能です。
いっぽうで、発達障害の女性の中には早期にご本人の特性に配慮した関りや指導が受けられないことで、失敗体験が積み重なったり、自分への自信の持てなさを感じてしまい、結果的に二次障害につながることが多くあります。

発達障害と二次障害の関係は、「発達障害の二次障害」のページで詳しく説明しているので、そちらも併せてご覧ください。
発達障害が背景にある二次障害としての精神障害なのか、精神障害を単独で抱えているのかは、明確に判断することが難しい場合も多いといわれます。
いずれにせよ、精神障害の症状の辛さが明らかに強い場合は、まずはそちらへの対応を優先することが重要です。

異性とのかかわり

皆さんは、異性とのかかわり方を誰から教わりましたか?

自分の保護者?学校の授業?年上のきょうだいから?テレビで?雑誌で?友達同士で?

周囲の大人からはっきりと教えられたという人は実は少ないのではないでしょうか。
我々の多くは、思春期あたりから何となく「性」を意識し始め、何となく異性との関りや距離の取り方を身につけていきます。
学校の保健の授業では思春期以降の体や心の変化を教えてもらうことができますが、例えばどのような関係・シチュエーションであればデートに誘ってよいか、手をつないでもいいか、キスをしていいか…などは教えてもらえません。
異性からどんな振る舞い方をされたら自分に好意があるととらえてよいのか、逆にどのようにふるまうと好意があると認識されるのか、ルールとして教えてもらったという人は多くないはずです。

そもそも人間関係全般には「これが正解」というものは存在しないのですが、こと異性とのかかわり方については、周囲の大人も子どもに伝えることを難しく感じるのではないでしょうか。
それゆえに、この暗黙のルールのオンパレードのような異性との関係づくりにおいて、困り感を持つ発達障害の女性は少なくありません。

ASDの女性の場合、相手との体の距離が近すぎる(ボディタッチを気軽にしてしまうなど)、知り合って間もなくても親しく接しすぎてしまうなど心の距離が近すぎてしまうために、異性に「この人は自分に好意があるのだ」と誤解されてしまうことがあります。
「いやだ」と思っているのにNOを伝えられず、あるいはNOを伝えてよい状況であることが理解できず、性的な被害にあうことがあるかもしれません。

また、パートナーとの関係で、相手の気持ちがくみ取れなかったり、自分のルールや考えに固執してしまったりといったトラブルも考えられます。
このような場合は、パートナーに自分の特性を理解してもらいながら付き合っていくことも大切です。「女性は〇〇歳になったら結婚しているべき」「大学生になったら彼氏がいるのが普通」などの偏った考えにとらわれてしまい、異性との関係そのものがストレスになる方もいます。

ADHD の女性の場合、例えばパートナーとの約束を忘れてしまったり、衝動的に自分の気持ちを相手に伝えてしまうことで、相手とのすれ違いが起こる場合があります。
ASD の女性も人間関係作りで困ることがあるのですが、ADHD の女性の場合は「相手の気持ちはくみ取れるが衝動的に対応してしまい後から後悔する」パターンで困ることの方が多いでしょう。
また、パートナーから「大和撫子的な女性らしさ(例えば、細やかな気配りや奥ゆかしさ、家事が得意、整理整頓が得意…)」を求められた場合、ADHD の特性から苦手なことも多く、「できない自分」に落ち込んでしまったり、苦手を克服しようと頑張りすぎてしまうことがあるかもしれません。

もちろん、この記事をお読みの方の中には性的な指向が必ずしも異性には向かないという方もいるかと思います。
ただし、そういった場合でもマナーとして異性間の距離を取ることが求められる場合はあるでしょう。
また仮に同性同士だとしてもパートナーとして接する上ではマナーが必要になる場合があるでしょう。
お伝えしたいのは、発達障害のある方の中にはそういった暗黙のルールを把握しきれずに困る方がいる、ということです。

大人になってからの異性関係の相談は、人によっては周囲の友人や家族にはしにくいということがあるかもしれません。
家族や友人に相談しにくいという場合は、カウンセリングを利用することも考えましょう。

生活の中での困りごとと対策

職場での人間関係に関すること

職場での人間関係づくりについては、発達障害のある方は男女問わず課題として抱える方が多いです。
例えば、上司や同僚が伝えたいことを察することが苦手だったり、思ったことがすぐに口から出てしまいうっかり失言をしてしまったり、ということがあるかもしれません。

女性の場合で悩む方が多いのは、職場の女性同士の輪に入りにくい、ということです。
特に女性が多い職場では、男性が多い職場よりもその場の雰囲気を察知して行動したり、周囲に気を配って行動することがより求められる、ということがあります。
時に、職場での仕事に直接関わらないようなコミュニケーション(例えば、ちょっとした世間話をしたり一緒にお昼ご飯を食べたりするなど)を求められることもあります。基本的には仕事で求められる成果を発揮できていれば問題ないのですが、中には、周囲から自分がどう思われているかが気にかかる、という方もいるでしょう。
女性同士の関係も、学生の頃に比べて実は職場でのほうが作りやすいということはあります。職場には様々な年代の女性がおり、共通の話題も限られるからです。
そして、職場では「友達」を作る必要は必ずしもありません。
仕事以外の自分の生活をたくさんお話しする必要はありませんし、どうしても仕事に直接関わらない場や内容でコミュニケーションをとる必要があるとき、うまく話せなければ聞き役に回るという手段もあります。

仕事上でのトラブルと離職に関すること

実は、発達障害の女性で人間関係をはじめとしたトラブルや働きにくさから、転職を繰り返すという人は珍しくありません。

業種や個人の考え方にもよりますが、男性に比べて女性は働き方のバリエーションが社会的に受容されやすいことも、離職の多さに関係しているという報告もあります。
例えば、女性の場合はパートタイムやアルバイトなどの働き方が、男性に比べて周囲から受け入れられやすい、ということがあります。

働きにくさから離職をすることは、ストレスが高い状態で働き続け二次障害を起こすリスクを考えれば、必ずしも悪いことではありません。
一方で、ご本人が発達障害に気が付いていない場合、離職の根本的な原因である発達障害の特性が見過ごされ続けてしまう可能性があります。

離職後にご本人にフィットする職場に出会えればよいのですが、何度も同じ理由で離職が続いている場合(例えば、どの会社でも人間関係がうまく作れずに離職につながる場合など)、背景に発達障害の特性があるとすれば、その特性への配慮を求めたり、特性に合った工夫をすることでより働きやすい環境で働くことができるようになるかもしれません。

感覚の過敏さ

女性だけに限りませんが、発達障害のある方は感覚の過敏さから日常生活で困ることがあります。

例えば、光への過敏さがあり明るい部屋で仕事をすることが難しい、音の過敏さがあり一般的に気にならないような些細な音が気になってしまう…などです。

また、過敏性のためにほかの人よりも疲れやすかったり、ストレスがかかりやすいことがあります。感覚面での過敏さや睡眠の問題で内科や産婦人科を受診する方も多いです。
しかし受診時にご本人が発達障害について気がついていない場合、内科や産婦人科ではストレスからくる心身症と診断され、発達障害の発見には至らないこともあります。
特に、難治性の心身症と言われている方は、背景に発達障害が関係している場合もありますので要注意です。発達障害が要因となるような問題の場合、心身症に特化した対処だけでは根本的な解決につながらない恐れがあります。

女性の場合、触覚の過敏さからお化粧ができない、という場合があります。
また、指定の制服を着ることが難しいということもある
でしょう。
お化粧の場合は、必ず必要という職場以外では無理にする必要はありません。
例えば眉を整えるだけでもよいでしょうし、どうしてもお化粧が必要な冠婚葬祭などの場合は色付きのリップクリームを塗るだけでも印象は変わります。
指定の制服がある場合は、制服と肌の間にTシャツを着るなど、苦手な素材が肌に直接触れないように工夫ができます。

家事に関すること

発達障害のある方で家事を苦手とする方は多いです。

家事と言っても色々な種類がありますが、例えば料理を苦手に感じる方がいます。
料理は、同時進行で物事を進める力、短時間で効率よく作業する力、細かな手の動き、レシピを決定し計画を立てる力…など、じつは驚くほど複雑な行為なのです。

やや専門的な言葉を使うと、こういった能力は脳の「実行機能」という働きが大きく影響しています。
実行機能とは、複雑な課題に対し「目標を立て」「そのための手順を考え」「目的に応じた作業を開始し、維持しながら必要に応じて修正し」「目標の到達度を予想しながら作業の効率化を図る」という一連の流れを支える脳の機能です。特に ADHD の方は、この実行機能の働きに偏りが生じていると言われています。

また、料理には統一した正解はありません。
ASD の方の場合、最終的にどんな状態になれば「完成」と言えるのかがわからず戸惑う、という方もいます。
上記の理由から、例えば料理にとても時間がかかってしまったり、段取りよく行うことが出来なかったりという困りごとが起きる場合が考えられます。

このような困りごとに対しては、例えば完璧を求めすぎず手を抜いても良い妥協点を探しておく(下ごしらえに時間がかかるので野菜はカット野菜でもOK、主菜は手作りで副菜は購入したものでもOK、など)と良いかもしれません。
また、レシピは写真付きのものの方が、完成までにどのような状態になっていれば「正解」なのかを都度確認しやすくて良いでしょう。
料理の時間を短縮できるような便利なグッズを活用してみるのも良いかもしれません。

結婚生活に関すること

発達障害のある方の人間関係作りの困り感についてはこのページでもご紹介しました。
夫婦になると、より多くの時間を共有することになります。

トラブルとして考えられることとして、例えば ASD の女性ではパートナーの間違いなどを率直に指摘しすぎてしまうとか、相手の気持ちを推し量りきれずにすれ違う、ということがあるかもしれません。
ADHD の女性では、約束をうっかり忘れてしまうとか、衝動的に自分の言い分を伝えてしまうということがあるかもしれません。

注意すべき点としては、発達障害の方の中には、一般的には「些細な事」だったり、「昔あった出来事」としてだんだん忘れていくような事でも、トラウマとして残りやすい方がいるという点です。
もちろん、ご本人にとってつらい経験であればなおさらです。
時に、フラッシュバックのように当時の感情がそのままよみがえってしまうことがあります。
夫婦間で言い合いになったことや、相手にとっては些細な指摘と認識しているようなことでも、ご本人にとってはトラウマ的に記憶に残ってしまう場合があることに留意が必要でしょう。パートナー間では、日常生活でお互いがストレスをためずにともに生活していけるよう、ご本人の特性について共有しておくことが必要です。
また周囲は、トラブルの延長として DV が発生していないかを気にかけられるとよいでしょう。

妊娠や出産に関すること

ASD の女性の中には、ご自身の体の変化に戸惑い、大きなストレスになる方がいます。

例えば、妊娠でなくても思春期に自分の体の変化に戸惑い、受け入れるのに時間がかかったりすることがあります。

発達障害の有無に関わらず、妊娠中は体調が優れなかったり、心の状態も不安定になりがちです。
ASD の女性で、変化に弱い方は特に周囲のサポートが必要でしょう。
まずは、今後自分の体がどのように変化するのか見通しが持てるように説明してもらうなど、変化が起きることへの不安を軽減できるようにできると良いでしょう。

また、子育ては見通しの立てづらい未経験の体験です。
変則的な生活リズムの中で、同時進行でスピーディに、まだ言葉でのコミュニケーションが難しい子どもに対応することは、一般の女性はもちろんですが、発達障害のある女性にとってはストレスやプレッシャーがかかりやすく、悩むことも多い
と考えられます。

妊娠や出産、子育てをきっかけにうつ等の二次障害が起こらないよう、周囲と協力しながら育児をしていくことが必要になるでしょう。
特に子育てについては、養育を受ける子どものためにも、母親のストレスが高まりすぎないようなサポートが重要です。
自治体が行っている子育て相談などのサービスを定期的に利用しましょう。

実は女性の発達障害で診断に至るきっかけとして、お子さんの発達についての相談をした際に、実は母親である自分自身の発達障害が発覚する、というケースもめずらしくありません。
姿かたちや性質は親から子へ遺伝します。
発達障害の特性も、遺伝的な要因があることが明らかになっています。

親御さんとお子さんの両方が発達障害の特性を持つ場合、お子さんが感じていること、伝えたいこと、困っていることを、親御さんがご自身の経験や感覚と結びつけることでより理解しやすいというポジティブな側面もあります。

女性ならではの困りごと、お話に来てください

発達障害の女性は、現状では発達障害のある方の中でも男性と比較して数の少ない存在です。
また、周囲から特性に気がつかれないことも珍しくありません。
周囲に相談できる相手がおらず、悩みや困りごとを一人で抱えてしまい、結果的にうつや不安などの二次障害を発症してしまったり、職場への定着が難しいことがあります。

もしかしたら、このページを読んでいる方の中にも日頃ご自身の困りごとや悩み、感じていることなど、誰かに話したいけれど話せる相手がいない、という方がいるかもしれません。

Kaienでは、自分の特徴強みを生かして就職を目指す就労移行支援や、自立に向けた基礎力を上げる生活訓練、また学生向けのガクプロというセッションを運営していて、それらの中で皆様の悩み事のご相談にのっています。当事者同士だからこそ話せること、共有したいこと、専門スタッフに聞きたいことなど、ぜひお話に来てください。

発達障害の女性の方の就職事例・経験談

当社の就労移行支援大学生向け支援をご利用いただいた訓練修了生の事例をご紹介します。

21歳女性 

小学校の頃からクラスで周りと馴染めないなどで苦しみ、高校生の時に発達障害と診断されました。変更が苦手、見通しがつきにくい、こだわりがある、融通が利きづらいという部分は当てはまるのかなと思います。大学時代はガクプロを利用しています。就活ではいろいろ考え、発達障害を知っていてもらったほうが安心すると思い、障害者枠のみ受け、食品メーカーの事務職で内定をいただきました。

Kaienの就労支援をご利用いただいた方々へのインタビューシリーズ「私とKaien」第12話より

36歳女性 

婦人服の販売員をしていたころ、常連のお客さまからよく「あなた、変わってるわね」と言われていました。「でも、そこがいいのよ」とも。仕事は楽しかったのですが、女性の職場ならではの難しさがあり、転職をすることになりました。その後、営業事務の職に就きますが、上司とのコミュニケーションが上手くいかず退職しました。Kaienに入所し社会を生き抜く型を教えてもらい、現在は総務部で、人事総務、研修企画、社内イベントの3つの業務でアシスタントを担当しています。ポスター作りでは社内の表彰制度で特別賞もいただけました。反応や成果が目に見える形で分かるので、とてもやりがいがあります。

Kaienの就労支援をご利用いただいた方々へのインタビューシリーズ「私とKaien」第5話より

参考文献 『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 女性の発達障害〈就活/職場編〉』 (親子で理解する特性シリーズ/監修・宮尾益知/河出書房新社) リンク

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます


監修者コメント

女性と発達障害、は考えることの多い課題です。女性だから特別な発達障害特性がある、というわけではないのですが、女性を取り巻く社会環境や社会通念が、男性とは違う生きづらさを生じさせているのは事実です。ASDやADHDの頻度は教科書的には男性に多いとされていますが、成人の外来ではどちらもそれほどの差を感じないどころか、とりわけADHDの方は女性の初診が目立ちます。これは小さい頃に顕在化している特性が無いというのではなく、見逃されていたことがほとんどです。そういう意味で性別の差に関係無く子どもの性質を見ることが必要でしょう。本文に指摘されている「異性との関わり」には特に支援者に関心を持ってもらいたい内容です。ASD特性として対人関係性構築が苦手であったり、ADHD特性の衝動性の高い部分がある場合、性的な関心が高まる思春期以降、気をつけるべき点は多いはずです。


監修 : 松澤 大輔 (医師)

2000年千葉大学医学部卒業。2015年より新津田沼メンタルクリニックにて発達特性外来設立。
2018年より発達障害の方へのカウンセリング、地域支援者と医療者をつなぐ役割を担う目的にて株式会社ライデック設立。
2023年より千葉大子どものこころの発達教育研究センター客員教授。
現在主に発達障害の診断と治療、地域連携に力を入れている。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、医学博士。


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