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HOME 大人の発達障害Q&A 発達障害に向く仕事を考える「一般雇用と障害者雇用」

発達障害に向く仕事を考える「一般雇用と障害者雇用」得意と苦手の凸凹が大きく、自分に適した職場や職種が見つけられない方へADHDASD・アスペルガー仕事障害者雇用

 発達障害であることは、仕事ができないことと、必ずしも繋がりません。ただし得意と苦手なことがはっきりしていることで、フィットする仕事に巡り合うまでに時間がかかるのは確かです。自分一人で百点満点の職場を見つけるのは至難の業で、ときには妥協も必要になります。支援者や専門家の意見を参考に、配慮を受けたり障害者雇用なども選択肢に入れながら、納得の行く就職先を探していきましょう。

目次

  1. 発達検査・心理検査で適職はわかりますか?
  2. 具体的に、発達障害にあった仕事、あわない仕事を教えてください。
  3. 本当に適職なんてあるんでしょうか?
  4. 発達障害がわかったら障害者枠のほうが良いですか?

Q1. 発達検査・心理検査で適職はわかりますか?

発達障害に向いた仕事 発達検査・心理検査

 率直に言うと発達検査でわかることは限定的です。デスクワーク(事務関係等)が良いか、軽作業(力仕事等)が良いかはわかるでしょう。つまり「適職」ではなく「適性」がわかる程度です。

 年々世の中はスピードが増し多様になり、働く環境も変化します。同じ職種名であっても求められるスキルは変わってきます。発達の検査はもともと職業を探すためではありません。職業を探すために特化する検査をつくったとしても大体こういう傾向、ということがわかるだけで参考になりにくいのが実状です。

 お勧めの職種が伝えにくい一方で、この仕事・この環境・この社風はやめたほうが良いというのは検査結果でお伝えすることができます。向いている仕事はいくつもの要素が合わさらないといけませんが、苦手な仕事はほんの一つ二つの要素だけで避けたほうが良いことがわかるからです。

 また発達障害の傾向があると、苦手なことをご自身が理解していないことがたびたびあります。その意味でも、数字などで客観的に自分の苦手さをわかり、消去法で自分の得意な道を探していくという方法が良いでしょう。

Q2. 具体的に、発達障害にあった仕事、あわない仕事を教えてください。

発達障害に合った仕事は?IT?経理?

 発達障害の方の適職の一つは経理です。IT関係の仕事も適性が当てはまることが多いようです。人間相手の微妙な頃合いで正解が変わるものではなく、ある程度合理的に仕事が進んでいく、成果物も○×がわかりやすいという点がフィットしています。

 一方で苦手な業務は残念ながらたくさんあります。電話応対の多い業務や、同時並行が多く相手の気持ちも汲みながら働くような接客業務、計画を立て段取り良くかつ時には話を盛って「嘘」をつきながら進めるような営業、ミスが許されない書類の作成業務などがあげられます。また得意な方に書いたITも下流工程の言われたことをこなすものは得意な方が多いものの、営業や調整の役割の多いSE(システムエンジニア)は基本的には避けたほうが良いでしょう。

 ただ重要なのは、向いている仕事・向いていない仕事というよりも、向いている会社・職場・社風、向いていない会社・職場・社風で考えたほうが良いということです。接客でも、マニュアルが整っていて、自分のやり方がある程度認められる職場では合う人も、マニュアルがなく阿吽の呼吸でやり方が決まる職場では合わない人がいます。周囲の環境とのマッチングが重要というわけです。

 なお、発達障害もいくつかの傾向に分かれ、ADHD傾向の人とASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)傾向の人の適職かそうでないかのアドバイスも異なります。参考情報としてADHD傾向の人へのアドバイスASD傾向へのアドバイスをQ&A形式で掲載しています。

【参考】発達障害に向く仕事を考える ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)編
【参考】発達障害に向く仕事を考える ADHD(注意欠如多動性障害)編

Q3. 本当に適職なんてあるんでしょうか?

発達障害に向いた仕事 手作業

 「適職」を強く求める人にお伝えしている内容は2つあります。まず一つが、「天職」のような適職が見つかる例は少なく、生涯かかっても天職に巡り合えない人がほとんどだということです。赤い糸で結ばれた職種はそもそも数十年という時間軸では探しえないでしょう。このため就職活動は最良のもの(Best)ではなく、そもそも自分が手の届く範囲でより良いもの(Better)を探していく形になります。

 また二つ目が、今の時代は同じ職種ですら中身がどんどん変わるということです。例えば同じプログラマーという名前でも10年・20年前と今のプログラマーは求められる能力・特性が変わってきています。適職と言っても徐々に合わなくなっていく可能性を常にはらんでいます

 自分にぴったりの適職というカード(職種)を探して右往左往しているとしたら、悩んでいる時間がもったいかもしれません。そうではなく、配られた・与えられたカード(職種)をしっかりと適職に出来るかどうかが、重要になってきます。「正しい選択肢を探すよりも、与えられた選択肢を正しくする方が簡単」というわけです。

 発達障害の方の場合、想像が苦手という特性から、自分に全く合っていないものを選んでしまうリスクが高めです。また青い鳥症候群(自分に合った仕事がどこかにあるはずと思い続ける)になりやすいともいえます。このため発達障害の思考の特徴を理解し、上手にナビゲートしてくれる専門的な就職支援が必要と言えるでしょう。

Q4. 発達障害がわかったら、障害者枠のほうが良いですか?

発達障害に向いた仕事 面接風景

 どんな人にも得手不得手はあります。それが発達障害・アスペルガー・ADHDというキーワードで理解できたとしたらそれは一つの発見ですし、プラスにとらえられるポイントです。つまり診断や特性がわかると、その苦手さを今の職場で見えづらくする工夫が出来る可能性が高まったということです。克服を目指すというよりも、目立たなくするという考えを持てると気分が軽くなるでしょう。

 対策を行ったことで働きやすくなるようならば、診断があっても転職する必要はなく、障害者雇用を考える必要もないでしょう。一方で、働きづらさが変わらない、あるいは増える一方である場合は、転職や障害者枠も選択肢に入れていきましょう。

 ご自身で変化しきれない場合、上司に仕事の種類をかえてもらったり、部署異動をお願いしたりするなど、周囲の変化をお願いするという選択肢も検討に値します。ただしその際もご自身が変わろうという意志や行動を見せることが周囲を動かすカギになることは忘れないでください。

【参考】発達障害や就活・仕事についてのお悩みは利用説明会・個別相談へ

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執筆: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。これまで1,000人以上の発達障害の方の就労支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴