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発達障害に向く仕事・働き方 一般雇用と障害者雇用ADHDASD・アスペルガー一般雇用仕事障害者雇用

 能力の凹凸の大きい発達障害のある方が個性を活かして安定した生活を送るためには、自分にあった仕事や働き方を選ぶことが大切です。この記事では、発達障害の方の仕事探しのポイントや特性にあった働き方について、特に一般雇用と障害者雇用の違いという観点から考えます。

強み重視の一般雇用 or 配慮重視の障害者雇用

 発達障害は能力の凹凸の大きさが特徴です。仕事を探す時には大きく2つの方法があります。

  1. 自分のスキルや強みに焦点を当てて仕事を探す方法(凸を活かす)
  2. 障害への配慮を優先させて仕事を選ぶ方法(凹を目立たせない)

 1つ目の方法は一般雇用の就職活動の時、2つ目の方法は主に障害者雇用の就職活動の時に必要な考えです。どちらを選ぶかの判断では医師の診断、心理士による心理検査、専門家による職業適性検査や障害特性の評価などが役立ちます。

 一般雇用では指摘されたり叱責されたりが多くなります。いわゆるメンタルが強いことが第一条件になります。加えて何らかの得意が業務で活かせることも条件となるでしょう。一方で、苦手さをチクチク指摘されることなく安心した環境で働きたい人や失敗を繰り返したくない人は、障害に対する配慮を受けられる障害者雇用が良いでしょう。障害者雇用も仕事の幅が広がっていますので、仕事のスキルが高いと満足できる給与を得られる可能性があります。

凹(ボコ)の業務の代表例は?

 発達障害の人が苦手とする業務は残念ながらたくさんあります。電話応対の多い業務や同時並行が多く相手の気持ちも汲みながら働くような接客業務(特にASD傾向の強い場合)、段取り良くかつ時には話を盛る必要もある営業、ミスが許されない書類の作成業務などがあげられます。

 向いているとされるIT関連でも、調整の役割の多いSEや、プロジェクト全体の予算や進行工程人の管理を行うプロジェクトマネ―ジャーといった職種は基本的には避けたほうが良いでしょう。

凸を活かせる仕事は?

 発達障害の傾向によって適職は異なります。ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー)傾向の場合は作業内容が固定化された型にハマったような仕事、ADHD(注意欠如多動性障害)傾向の場合はご自身の興味関心にあった上でミスや抜け漏れが目立たない仕事が良いでしょう。

 ASD傾向の発達障害の人の適職の例として経理職が上げられます。IT関係の仕事も適性が当てはまることが多いようです。人間相手の微妙な頃合いで正解が変わるものではなく、ある程度合理的に仕事が進んでいく、成果物も○×がわかりやすいという点がフィットしています。事務作業も対人折衝が少なければ得意なことが多いでしょう。

 ADHD傾向の方の適職は、ユニークな発想を活かせるクリエイティブな仕事や、その場でやりとりが完結するような業務が得意な傾向があります。重要なのはご本人の集中力が薄れないこと。いくつもの業務や役割を同時に任されることよりもその業務に専属で取り組めることも重要になります。

 起業家やフリーランスには発達障害、特にADHD傾向のある人が多いと言われます。確かに起業家にADHDが多いのは実際に調査結果でも出ています(英語資料)。しかし得意を活かせるものの、営業や経理まで一人でこなさねばならない点では不向きな働き方です。起業やフリーランスでの働き方を選ぶ場合は、自分の苦手をカバーしてくれるビジネスパートナーや取引先、支援者との協力関係を築くことが何より重要です。

 

【参考】ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)に向く仕事・働き方
【参考】ADHD(注意欠如多動性障害)に向く仕事・働き方

「知的レベルが高ければ一般雇用」は誤り

 知性が高ければそれだけ専門的な仕事ができたり、対策を論理的に考えたりすることができます。ですから知的能力は仕事能力と大きな関係があります。そのためIQや学歴が高いと一般雇用、知的能力が低いと障害者雇用、と考えがちですが、実はこれは誤りです。どんなに知的水準が高くても、段取りやコミュニケーションが上手くできなかったり、精神的にアップダウンが激しい場合、さらに周囲の環境(オフィス内の音や人)によって勤怠や集中力に影響が出やすい場合は、障害者雇用の方が向くと思われます。

 一般雇用と障害者雇用のどちらで就職するかを決めるには、年齢、精神的な強さ、知的水準、発達障害による苦手の多さや深刻さ、ご家族のサポートの状況など多くのことがらについて考えなければなりません。障害者雇用を選んだ場合は実習の多い特殊な就職活動に取り組むことになります。一方で一般雇用では障害をどこまで明かすかや、手厚い配慮が期待できない環境で苦手にどう対処するか、などについて自分なりの答えを見つけておく必要があります。

長く働くなら「障害開示」が有利

 障害を開示(オープン)すると、障害特性上業務パフォーマンスを上げるために必要と認められれば、就業時間の短縮やスライド、通院中抜け、就業時間中の休憩や仮眠、ノイズキャンセリングイヤホンの着用が許され、電話は取らなくていい…といった様々な配慮が受けられます。また障害者雇用の場合は頻繁に面談の機会があります。

 一般雇用であっても障害上自分の力を発揮するために必要な配慮(合理的配慮)を受ける権利は法律で保障されています。実際、最新の定着率の調査でも障害者雇用の安定性の次に高いのは、一般雇用で障害をオープンにしたケースです。グラフ左から、障害者求人(障害者雇用)、一般雇用(障害オープン)、一般雇用(障害クローズド)です。

【参考】発達障害 仕事がうまくいく 合理的配慮の求め方
【参考】『障害者の就業状況などに関する調査研究』(2017年 障害者職業センター)

 【参考】就労定着支援ってどんなサービス?

大きく異なる一般雇用と障害者雇用の就活

 障害者雇用で応募するには障害者手帳が必要です。手帳の申請には医師の診断書が必要で、初診から6か月以上経ってはじめて申請ができます。

 採用プロセスにも違いがあります。一般雇用の場合、書類と面接での選考が主流です。一方、障害者雇用では実習が重視され、実習は一週間以上の場合が多いようです。実習では、実際の業務をどれだけこなせるかだけでなく、コミュニケーションに問題がないか、障害に対する対策は十分か、といった部分が確認されます。

一般雇用と障害者雇用のボーダレス化のきざし

 障害者雇用で働く上で気になるのは職種の選択肢の少なさと給与やキャリア上の一般雇用との格差でしょう。

 最近は障害者雇用でも選べる仕事が大幅に増えました。採用した人の特徴や経験を見て研修後に業務内容を決める、というケースも出てきています。そうなれば発達障害の特性上苦手な仕事を避け、強みの活きる仕事に長期的に従事できる理想的な状態の実現も夢ではありません。また、与えられた仕事に対する評価が高く本人が望むなら、よりレベルの高い別の業仕事やリーダー的役割が与えられるケースも増えています。

 給与面でも変化がみられます。仕事内容の多様化にともなって障害者雇用の中でも給与の差が広がる傾向が出ています。専門職では月収20万円を超す求人も珍しくありません。少数ですが障害者雇用で30万円以上の月収を得ている方も存在します。また、障害者雇用の多くが採用時には契約社員なのも事実ですが、普通に勤務が続けられれば雇用を打ち切られる例は滅多になく、数年後に正社員になれる例が増えてきています。

 キャリアか配慮のどちらかを諦める必要はもうありません。自分の強みを見つけて磨きましょう。障害特性や必要な配慮を上手に周囲にオープンにし、理解してもらえるよう働きかけることも可能な世の中になってきました。ご自身の興味や能力にふさわしい、あなたらしい働き方に一歩一歩近づいていってください。