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HOME 発達障害とは 大人の発達障害

大人の発達障害

発達障害は医学的には脳機能の障害です。発達障害の人は、円滑に「コミュニケーション」をとったり、「ミス・抜け漏れ」なく作業をしたりすることに、他の人よりも難しさを感じています

発達障害の人は自助努力が足りないわけではありません。むしろ「真面目で」「表裏がない」性格です。しかし結果が伴わないため「努力が足りない」「怠け癖がある」など勘違いされやすいのです。

種類と特徴

発達障害は、主に以下の4つの種類に分類されます。

ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)

人とのコミュニケーションや関わりに困難があります。興味や関心が狭い範囲に限られやすく、独特のこだわり行動や振る舞いが見られることもあります。他にも五感などの感覚が人よりとても敏感に感じたり、逆にほとんど感じない分野がある人もいます。

ASDの主な特徴
  • グループでの業務・活動が苦手
  • やり取りがうまくかみ合わない
  • 自己流で物事を進めたがる

大人の ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)

ADHD(注意欠如多動性障害)

うっかり間違い、じっとしていられないなど不注意、多動・衝動型といったタイプの障害です。

ADHD の主な特徴
  • 細かい注意を払うことができない。
  • 注意を持続しつづけることが難しい。
  • 話しかけられても聞いていないように見える。
  • 順序立てて課題を進めることが難しい。
  • 忘れる・抜け漏れることがある。
  • そわそわと手足を動かしたり、座っていても、もじもじ動いてしまう。

大人の ADHD(注意欠如多動性障害)

LD (学習障害)/ SLD(限局性学習症)

単に国語や数学が苦手ということではなく、認知能力や聞いたことや見たものを処理する能力に凹凸があり、結果として「読み」「書き」「計算」が苦手として表れている障害です。

LD / SLD の主な特徴
  • 文字や単語、文章を読むときに正確でなかったり速度が遅かったりする。
  • 読んで意味を理解することが難しい。
  • 文字や文章を書くことが難しい。
  • 数の概念、数値、計算を学ぶことが難しい。

大人の LD (学習障害)/ SLD(限局性学習症)

DCD(発達性強調運動障害)

不器用さや身のこなしの不自然さが見られる障害です。

DCD の主な特徴
  • 身体を動かすことが苦手。特に野球やサッカーなど球技は嫌い。
  • 身体の動きがカクカクしている。ロボットのようだと指摘されることがある。
  • 手先が不器用で細かな作業が苦手だ。

大人の発達障害の9割は「ASD」と「ADHD」

発達障害には複数の種類がありますが、大人の発達障害では、「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)」と「ADHD(注意欠如多動性障害)」のいずれか、もしくは、その両方の診断をされている人が9割を超えます

※ 当社利用者アンケートより(対象者約300人)

発達障害を理解することの難しさ

同じ診断名でも正反対の特徴が表れる

発達障害について理解しにくい原因の一つとして同じ診断名でも人により表れる特徴が大きく異なるということがあります。下記例では二人とも「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)」と診断されましたが、表面上の特徴は正反対です。

Aさん、Bさん二人とも「ASD」と診断
  Aさん Bさん
表面に現れる特徴
  • 多弁
  • 過敏
  • 過集中
  • 我が道を行く
  • 寡黙
  • 鈍麻
  • 不注意
  • 空気を読みすぎる

Aさん、Bさん二人の特徴は正反対に見えますが、この状態を考える時に重要なのが、「頃合いがわからない」あるいは「頃合いにできない」という概念です。

例えば、喋りすぎ(多弁)と喋らなすぎ(緘黙)は、いずれも「ちょうどよく喋る」「頃合いのやりとり」がわからない、あるいはできないため、喋りすぎたり、喋らなすぎたりになってしまっているのです。こうした両極端の特徴がいくつもあるのが、発達障害を理解しづらくしています。

  Aさん Bさん
潜在的な特徴
  • 頃合いがわからない
  • 頃合いにできない
  • ちょうど良いがわからない
表面に現れる特徴
  • 多弁
  • 過敏
  • 過集中
  • 我が道を行く
  • 寡黙
  • 鈍麻
  • 不注意
  • 空気を読みすぎる

また、上記に加え、複数の種類の発達障害が一人の中で重なっている場合が多く複数の特徴が混ざりあい、さらに分かりづらくなっています。「ASD」は「ADHD」と重なることが多いと言われています。

知的障害を伴うことがある

発達障害は知的障害を伴うことがあります。知的障害は知能検査でIQが70を下回る時に診断されるものです。喋りが上手な人でも知的障害を伴うこともあり、一見理解していそうなのにできないのが発達障害によるものなのか、知的障害によるものなのか、専門家でもすぐにはわからないことがあります。

複数の種類の発達障害が重なっている

発達障害を理解することが難しいもう一つの大きな原因として一人で複数の種類の発達障害、もしくは、知的障害を持っている場合があるということです

上記「種類と特徴」で発達障害の主な種類を紹介しましたが、それらの発達障害が一人の中で複数混在し、また、それに加えて知的障害なども伴っている場合があるためさらに理解することが難しくなっています。

ASD自閉症スペクトラム、
アスペルガー症候群・広汎性発達障害

ADHD注意欠如多動性障害

LD 学習障害 /
SLD 限局性学習症

DCD 発達性強調運動障害

知的障害

発達障害の生きづらさ

後天的な失敗経験と心の病などの二次障害

発達障害の当事者にとって、発達障害だけだったら生きづらさはそれほどではないかもしれません。発達障害の人の人生を困難にしているのは後天的な失敗経験にもあるのです。

発達障害の特徴があると、失敗や周囲との常識・感覚のズレが多くなりがちです。家族、学校の先生・クラスメート、職場の上司・同僚などから理解を得られないと、努力不足や怠け癖を指摘され、孤立したりいじめられたりする状態に陥りやすくなります。その結果、不登校やひきこもり、いじめやパワハラなどに繋がりやすくなります。

後天的な体験によって引き起こされるものを「二次障害」と呼びます。二次障害には、うつ・双極性障害などに加えて、不安障害、強迫性障害などが上げられます。二次障害によってひきこもりになったり、意欲が低下してしまったりすることが多く、特に思春期から青年期にかけての二次障害の予防は重要になります。

人口比率と原因

人口比率

発達障害は最も有名な統計で6.5%(文科省 2012年)です。子どもについての統計ですが、発達障害は生涯にわたって特徴が残るため、大人での割合も概ね変わらないと考えられるでしょう。最新のASD(自閉症スペクトラム)の人口比は1.7%(参考資料 英語)、最新のADHDの統計は11%(参考資料 英語)という数値も出ています。

原因

発達障害の原因は遺伝子や環境要因など先天的な複合的な要因とされています。子育てが原因であることはすでに明確に否定されています。原因研究について世界の研究機関から詳しい調査結果が公表されています。

「心の病」ではなく「情報の混乱」

発達障害は「心の病」ではなく、先天的な脳の機能による「情報の混乱」です。しかし既に見たとおり、発達障害の苦手さを理解されないために起こる「二次障害」のために心の病まで抱えている例が非常に多く見られることが重要なポイントです。

発達障害との向き合い方、対策

専門家による評価、診断を受けましょう

発達障害と向き合い、対策するための第一歩は専門家による評価、診断を受けることです。生きづらさや苦手感を、ASD・ADHD・その他の発達障害・後天的な失敗経験などの要素に分解し、それぞれについて適切な対応を考えます。

以下に各発達障害の種類別の主な治療方法について紹介します。
※自己診断で下記治療法を行わないでください。必ず専門家の評価、診断を受けるようにしましょう。

発達障害各種類別の主な治療方法

ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)

  • 自己理解
  • トレーニング

ASDの方は、客観視が苦手で自分がどのように周囲に見られているのか一人ではわからないことが多いです。家族や周囲の人に加え、医療機関やカウンセリングなどで自分の得意と苦手を明確にしましょう。自己理解を踏まえた上で、コミュニケーションや段取りの型を覚えるトレーニングを受けましょう。就職活動時は就労移行支援事業所(参考 当社サイト)などが無料もしくは低料金で使えます。

ADHD(注意欠如多動性障害)

  • 自己理解
  • お薬

ADHDの方には複数のお薬が用意されているのがASDとの違いです。ただしお薬は効果が出る場合と出ない場合があるうえ副作用もあります。必ず医師と定期的に相談し指示通りに服薬しましょう。自己理解はADHDの方にも有効です。自分の得意を活かせる職種を探し、頑張ってもミスや抜け漏れがでる作業は避けられる職場を探しましょう。就活では福祉やハローワークなどの支援機関を頼ると良いでしょう。

LD (学習障害)/ SLD(限局性学習症)

  • 苦手対策
  • 配慮

LD(SLD)の特徴はアプリや治具(ハンディを補うための道具)を知り、自分にあったものを探す苦手対策が第一です。その後、就職活動や職場でそれらの利用を認めてもらったり、周囲に苦手な仕事をお願いするなどの配慮を伝える練習をしていきましょう。

二次障害

  • お薬
  • カウンセリング

二次障害・後天的な生きづらさの対策は色々あります。もっとも重要なのは医療につながることです。お薬で気持ちを整えたり、カウンセリングで過去の生きづらさを振り返ったりしていきましょう。また就職に向けては就労移行支援など福祉機関と医療機関の連携も有効になるでしょう。

周囲の対応

ご本人向けの克服方法は上述のとおりです。一方で周囲の人は発達障害の人たちにどう関わればよいのでしょうか?

本人が気づいていない場合

周囲が「この人発達障害だろうな」と思ったとしても、ご本人がその特性に気づいていないことはよくあります。特にASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)傾向の人は客観視が難しいためです。ADHD(注意欠如多動性障害)の人も自分の努力不足と思っていることもあり、発達障害由来でミスが多いとは気づいていないかもしれません

ご本人に発達障害の可能性に気づかせたい場合は、診断名は言わず、「一生懸命しているのはわかるけれども、ミスが多いね。」などと、事実を交えながら特徴のみを挙げていくことにしましょう。なによりも本人の努力や真面目さを評価しつつ、何か他の要因があるのではないかと伝えることが良いでしょう

その後、ご本人が自らその苦しさの理由を探し始めたら診断名を一つの可能性として伝えて良いかもしれません。その頃にはご本人がテレビやネット、本・雑誌、新聞などで気づく可能性も高まるでしょう。

本人が気づいている場合(診断がある)

既にご本人が特性に気づいている、あるいは診断がある場合は、心のサポートはもちろん、ナビ的に情報を整理することが大事です

伝え方の一例
  • 「必要以上に情報を伝えず最低限にする(単純化)」
  • 「口頭のやりとりだけではなくメモに残す(視覚化)」
  • 「ダラダラと伝えるよりも箇条書きにする(構造化)」
  • 「一度でわかるとは思わず何度も伝える(反復化)」
  • 「出来る限り手順などをスモールステップで伝える(粒度の細分化)」

オブラートに包む言い方だと混乱する人もいます。単刀直入に、ストレートに伝えるほうが良いでしょう。

発達障害の人は記憶が良いことが多く、矛盾したこと、一貫していないことは嫌がります。信頼を勝ち得て、やりとりをするには、わからないことはわからないとはっきり伝えたり、以前から方針が変わったときはその理由を伝えたりして、「前と言っていることが違う」という後出しジャンケンの状態にならないようにしましょう。

発達障害の長所

上記「発達障害を理解することの難しさ」でお伝えしたように発達障害の方は、「頃合いがわからない、ちょうど良いがわからない」といったバランスをとる、見測ることが苦手です。

ただ、そのバランスをとることが苦手ということは悪いことばかりではありません。「好きなものへの高い集中力や細部へのこだわり」、「言語や画像・音への感度の高さ」、「論理性や発想力」、「即断即決」、「他人と異なる視点」などの特徴はプラスに働くこともあり、長所として学問や職業の場で発揮されることが多くあります。発達障害の長所、尖り、凸凹などと表現されるのはそのためです。