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HOME 発達障害とは 大人の発達障害

大人の発達障害特徴・診断基準・チェックリスト・仕事・就活・対策・人物像

 発達障害は医学的には脳機能の障害です。発達障害の人は、円滑に「コミュニケーション」をとったり、「空気・気持ち」を読んだり、「ミス・抜け漏れ」なく作業をしたりすることに、他の人よりも難しさを感じています。発達障害の人は自助努力が足りないわけではありません。むしろ「真面目で」「表裏がない」性格です。しかし結果が伴わないため「努力が足りない」「怠け癖がある」など勘違いされやすいのです。

 この記事では複数の角度から発達障害の人が抱える「生きづらさ」とその「対策」を分析していきます。

大人の発達障害のポイント

💡 ASDとADHDで診断の約90%を占める
💡 複数の発達障害が重複しやすい
💡 アンバランスさのため、同じ発達障害でもタイプが違う
💡 周囲の無理解による後天的な生きづらさで二次障害になる
💡 発達障害の割合は人口の数% 原因は先天性
💡 心の病では本来ない 実際は「情報の混乱」
💡 対策は医療・福祉・カウンセリングなどを組み合わせる
💡 周囲は気を使いすぎない ナビ的に情報を整理する

『ASD』と『ADHD』

 大人の発達障害は、ASD(自閉症スペクトラム、過去の診断名としてアスペルガー症候群・広汎性発達障害)とADHD(注意欠如多動性障害)のいずれかの診断をされている人が9割(※当社利用者アンケートより)を超えます。特徴はASDは「コミュニケーション」「社会性」「想像力」、ADHDは「注意関心」「衝動」「多動」の要素が他の人よりも苦手です。下図は赤色がASD、黄色がADHDです。

まずはASDかADHDかを理解しましょう。どちらの特性もあわせ持つ場合が大半です。

発達障害チェックリスト(ASDとADHD)

 ASDは対人関係が、ADHDは実行機能と呼ばれる部分が苦手になります。診断は精神科や心療内科でWAIS4(ウィエスフォー)などの知能検査や問診、生育歴の聞き取りなどで医師によって行われますが、ここでは代表的な特徴を見てみます。

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー) ADHD(注意欠如多動性障害)

社会性

  • 清潔感がない
  • 嘘や悪意がわからない
  • うわさ話や陰口が許せない

コミュニケーション

  • 言葉でまとめるのが苦手
  • 話が堅苦しく辞書のような話し方
  • 相手の目を見て話すことができない
  • ジェスチャーが多すぎたり少なすぎる

想像性・こだわり

  • 興味の範囲が限られる
  • 同じやり方を何度も繰り返す
  • 悪気はないのに事実を言ってしまう
  • 予定変更があるとパニックになる

感覚過敏・鈍麻

  • 騒がしいと相手の声が聞き取れない
  • 偏食がひどい
  • 季節や気温にあった衣服調節ができない

衝動性

  • 後先考えずに、行動・決断する
  • 人がしゃべっている時に割り込む
  • 喋りが長くなりやすい

多動性

  • 短い単位で複数の作業をする方が楽
  • 貧乏ゆすりなど体の一部分が揺れがち
  • 長時間座っていられない

不注意・抜け漏れ

  • 大事な授業や会議でも集中できない
  • ケアレスミスが多い
  • よく物にぶつかる
  • 二つ以上の仕事や作業をこなせない
  • メモをしていても忘れる
  • いつも詰めが甘い

その他 ADHD的な特性

  • 締め切り間際にならないと行動できない
  • 遅刻が多い

発達障害の難しさ 重なりとアンバランスさ

 発達障害が分かりづらいのは、同じ『ASD』や『ADHD』と診断された人の中でも正反対に見える特徴があるなど多様性があることと、『ASD』と『ADHD』が重なっている場合が多く、混ざって見える事が多いためだと考えられます。

TEENS(発達凸凹のお子様向け 放課後等デイサービス)のウェブサイトより『発達障害の”多様性”を理解しよう』

 同じアスペルガー症候群(ASD 今の自閉症スペクトラム)の診断ですら、上の図のようにまったく反対に見える特徴がある人たちがいます。この真逆の状態を考える時に重要なのが、『頃合いがわからない』あるいは『頃合いにできない』という概念です。例えば、喋りすぎ(多弁)と喋らなすぎ(緘黙)は、いずれも『ちょうどよく喋る』『頃合いのやりとり』がわからない、あるいはできないため、喋りすぎたり、喋らなすぎたりになってしまっています。

 こうした両極端の特徴がいくつもあるのが、発達障害を理解しづらくしています。そしてそれが残念ながら、職場や生活面での無理解やイジメなどに繋がってしまっています。

 ただしアンバランスさは悪いことばかりではありません。好きなものへの高い集中力や細部へのこだわり、言語や画像・音への感度の高さ、論理性や発想力、即断即決、他人と異なる視点などの特徴はプラスに働くこともあり、長所として学問や職業の場で発揮されることが多くあります。発達障害の長所、尖り、凸凹などと表現されるのはそのためです。

『(S)LD』『DCD』など その他の発達障害

 『ASD』と『ADHD』は重なる(つまりどちらの診断も受ける)事が多いと既にお伝えしました。さらに難しくしているのは、発達障害は2種類ではなく、『(S)LD』や『DCD』など、他の発達障害もあり、それらも重なっていることがあるからです。既にご紹介したASD・ADHDの図に、その他の発達障害を青色で加えたのが下の図です。

先程のASD/ADHDの図に、他の発達障害(知的障害含む)を重ねました。この複雑さによって分かりづらさが増していきます。

他の発達障害の代表例と特徴

 (S)LDは『限局性学習症』と訳されます。いままで学習障害と呼ばれていたものです。主な特徴としては下記のものがあります。(SLDをより詳しく

  • 文字や単語、文章を読むときに正確でなかったり速度が遅かったりする。
  • 読んで意味を理解することが難しい。
  • 文章が正確に読めていても文章に登場するものの関係性や意味理解ができていない。
  • 文字や文章を書くことが難しい。
  • 数の概念、数値、計算を学ぶことが難しい。
  • 数字やその大小、関係性の理解が弱い。

 DCDは『発達性協調運動障害』のことです。不器用さや身のこなしの不自然さなどが見られます。

  • 身体を動かすことが苦手で、特に野球やサッカーなど球技は嫌いだ。
  • 身体の動きがカクカクしている、ロボットのようだと指摘されることがある。
  • 手先が不器用で細かな作業が苦手だ。
知的障害(IQ<70)を伴うことも

 そして最後に、発達障害は知的障害を伴うこともあります。知的障害は知能検査でIQが70を下回る時に診断されるものです。喋りが上手な人でも知的障害を伴うこともあり、一見理解していそうなのにできないのが発達障害によるものなのか、知的障害によるものなのか、専門家でもすぐにはわかりかねることもあります。

 なお知的障害のある発達障害は療育手帳という障害者手帳を、知的障害のない発達障害は精神保健福祉手帳という種類の障害者手帳をそれぞれ取得できます。

後天的な失敗経験と二次障害

 発達障害の当事者にとって、発達障害だけだったら生きづらさはそれほどではないかもしれません。発達障害の人の人生を困難にしているのは、後天的な失敗経験にもあるのです。これまでの図に、緑色で後天的な生きづらさを加えたのが下の図です。

さらに後天的な生きづらさを緑で重ねています。発達障害が分かりづらい理由はこうした多層的な要因によるのです。

 発達障害の特徴があると、失敗や周囲との常識・感覚のズレが多くなりがちです。家族、学校の先生・クラスメート、職場の上司・同僚などから理解を得られないと、努力不足や怠け癖を指摘され、孤立したりいじめられたりする状態に陥りやすくなります。その結果、不登校やひきこもり、いじめやパワハラなどに繋がりやすくなります。

 後天的な体験によって引き起こされるものを『二次障害』と呼びます。二次障害には、うつ双極性障害などに加えて、不安障害強迫性障害などが上げられます。二次障害によってひきこもりになったり、意欲が低下してしまったりすることが多く、特に思春期から青年期にかけての二次障害の予防は重要になります。

発達障害の割合・原因

 発達障害は最も有名な統計で6.5%文科省 2012年)です。子どもについての統計ですが、発達障害は生涯特徴が残るため、大人での割合も概ね変わらないと考えられるでしょう。最新のASD(自閉症スペクトラム)の人口比は1.7%参考資料 英語)、最新のADHDの統計は11%参考資料 英語)という数値も出ています。

 発達障害の原因は遺伝子環境要因など先天的な複合的な要因とされています。子育てが原因であることはすでに明確に否定されています。原因研究について世界の研究機関から詳しい調査結果が公表されています。

”心の病”ではなく”情報の混乱

 ここまで…ASDADHDが主な診断であること。知的障害や学習障害などの他の発達障害が重なる可能性が高いこと。そして発達障害は先天的であること。さらには後天的な生きづらさが加わること。それらを文章とともに図を重ねる形で発達障害の理解のしづらさを見てきました。

 理解のまとめとして…発達障害は”心の病”ではなく、先天的な脳の機能による”情報の混乱”です。しかし既に見たとおり、発達障害の苦手さを理解されないために起こる『二次障害』のために心の病まで抱えている例が非常に多く見られることが重要なポイントです。

どのように対策する?

 対策の第一歩は専門家によるアセスメントです。生きづらさや苦手感を、ASD・ADHD・その他の発達障害・後天的な失敗経験などの要素に分解し、それぞれについて適切な対応を考えます。

【自己理解】【トレーニング】
ASDの方は、客観視が苦手で自分がどのように周囲に見られているのか一人ではわからないことが多いです。家族や周囲の人に加え、医療機関やカウンセリングなどで自分の得意と苦手を明確にしましょう。自己理解を踏まえた上で、コミュニケーションや段取りの型を覚えるトレーニングを受けましょう。就職活動時は就労移行支援事業所(参考 当社サイト)などが無料もしくは低料金で使えます。

【自己理解】【お薬】
ADHDの方には複数のお薬が用意されているのがASDとの違いです。ただしお薬は効果が出る場合と出ない場合があるうえ副作用もあります。必ず医師と定期的に相談し指示通りに服薬しましょう。自己理解はADHDの方にも有効です。自分の得意を活かせる職種を探し、頑張ってもミスや抜け漏れがでる作業は避けられる職場を探しましょう。就活では福祉やハローワークなどの支援機関を頼ると良いでしょう。

【苦手対策】【配慮】
(S)LDの特徴はアプリや治具(ハンディを補うための道具)を知り自分にあったものを探す苦手対策が第一です。その後就職活動や職場でそれらの利用を認めてもらったり、周囲に苦手な仕事をお願いするなどの配慮を伝える練習をしていきましょう。

【お薬】【カウンセリング】
二次障害・後天的な生き辛さの対策は色々あります。もっとも重要なのは医療につながることです。お薬で気持ちを整えたり、カウンセリングで過去の生きづらさを振り返ったりしていきましょう。また就職に向けては就労移行支援など福祉機関と医療機関の連携も有効になるでしょう。

 診察可能な発達障害の専門医をご案内します。大人の発達障害の診断は、発達障害外来のある病院や精神科・心療内科などで診断が可能です。医療機関に行くときは、幼少期・学生時代・成人期など困り感や他人との関係を具体的なエピソードとともに伝えましょう。

周囲はどう対応する?

 ご本人向けの特性対策は上述のとおりです。一方で周囲の人は発達障害の人たちにどう関わればよいのでしょうか?

本人が気づいていない時

 周囲が「この人発達障害だろうな」と思ったとしても、ご本人がその特性に気づいていないことはよくあります。特にASD傾向の人は客観視が難しいためです。ADHDの人も自分の努力不足と思っていることもあり、発達障害由来でミスが多いとは気づいていないかもしれません。

 ご本人に発達障害の可能性に気づかせたい場合は、診断名は言わず、「一生懸命しているのはわかるけれども、ミスが多いね。」などと、事実を交えながら特徴のみを挙げていくことにしましょう。なによりも本人の努力や真面目さを評価しつつ、何か他の要因があるのではないかと伝えることが良いでしょう。

 その後、ご本人が自らその苦しさの理由を探し始めたら診断名を一つの可能性として伝えて良いかもしれません。その頃にはご本人がテレビやネット、本・雑誌、新聞などで気づく可能性も高まるでしょう。

本人が気づいている(診断がある)時

 既にご本人が特性に気づいている、あるいは診断がある場合は、心のサポートはもちろん、ナビ的に情報を整理することが大事です。必要以上に情報を伝えず最低限にする(単純化)、口頭のやりとりだけではなくメモに残す(視覚化)、ダラダラと伝えるよりも箇条書きにする(構造化)、一度でわかるとは思わず何度も伝える(反復化)、出来る限り手順などをスモールステップで伝える(粒度の細分化)ことが重要です。 オブラートに包む言い方だと混乱する人もいます。単刀直入に、ストレートに伝えるほうが良いでしょう。

 発達障害の人は記憶が良いことが多く、矛盾したこと、一貫していないことは嫌がります。信頼を勝ち得て、やりとりをするには、わからないことはわからないとはっきり伝えたり、以前から方針が変わったときはその理由を伝えたりして、「前と言っていることが違う」という後出しジャンケンの状態にならないようにしましょう。