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HOME 大人の発達障害Q&A 発達障害の原因

発達障害の原因今わかっていること 基本の「き」をまとめました。

遺伝要因か、環境要因か

まず最初に、発達障害の「子育て」原因説や「ワクチン」原因説は、既に科学的に否定されていることをお伝えしておきます。

発達障害の本当の原因はまだはっきり解明されていませんが、遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合って脳神経回路のつながり方や脳神経情報伝達物質の生成・分泌に影響を及ぼし、定型脳と異なる働きをするため、と考えられています。

遺伝的要因が重要であることは、兄弟が自閉症である場合、もう片方も自閉症である割合(一致率)をみれば明らかで、一卵性双生児で77%、二卵性双生児で31%、兄弟で20%となっています(米シモンズ財団研究より)。この一致率の高さは、遺伝病と言われる心臓病や癌、糖尿病を凌いでいます。

一方でこの結果は、遺伝子が完全に同一な一卵性双生児においても一致率が100%にならないことで、遺伝子以外の環境要因の存在をも証明しています。

環境要因としては、父親の高年齢、母親の妊娠期における食事、特定薬物(例えばてんかん薬のバルプロ酸)の摂取や感染症、出産時の合併症、子供の脳発達の初期段階での公害・汚染からの影響、ストレスなどが挙げられています。最近の研究ではこうした要因が遺伝情報の発現に及ぼす影響の解明に焦点が絞られる傾向があります。

遺伝子・染色体と発達障害

遺伝子・染色体解読技術を応用した自閉症と遺伝にかかわる研究によれば、発達障害にかかわる単一の遺伝子が特定される場合もあれば、数百の遺伝子が複雑に影響し合っていると想定されるものも認められています。また、遺伝とはいっても親から受け継いだものではない、数多くの新たな突然変異の遺伝子が発達障害の発生と関係があることも突き止められています。

突然変異遺伝子や染色体重複がどのように認知にかかわる脳神経回路の不定形な形成を促し、発達障害発生に至るのか、そのメカニズムの解明を目指す同様の研究が現在世界各地で繰り広げられています。

日本でも理化学研究所がシナプス関連遺伝子NLGN1の変異が発達障害の原因となる可能性を発表し、大阪大学大学院医学系研究科解剖学講座の研究グループは、16番染色体の 16p13.11微小重複によっておこる神経発達障害群の原因分子を2016年に世界で初めて発見しています。

こうした研究によって発達障害発生機序が解明されることで、将来的に診断前の不定形脳の形成期以前に発達障害発生のリスクを把握し、遺伝子への薬物による適切な働きかけや理学的療法により、不定形回路形成を改変させる方法の発見と確立が期待されています。ただし、研究数は加速度的に増えているものの、現時点で明かになっていることは多くない、というのが本当のところです。

【もっと詳しく】発達障害の遺伝要因を複数の最新研究から考えます

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執筆: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。これまで1,000人以上の発達障害の方の就労支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴