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発達障害者向け 就活のイロハ 障害者雇用編増えつつある発達障害の方の障害者雇用 就職活動で気をつけたいポイントを解説します就活障害者雇用

 発達障害の診断だけだと障害者手帳が出ないというのは今や昔の話です。診断後速やかに障害者手帳を申請する人が増えています。しかし障害者雇用での就職活動は謎が多いもの。給与や昇給、職種の幅、就活での注意点など、賢く就職活動を進めるために知っておいて欲しいポイントをまとめました。

目次

  1. 他の障害特性と比べて、発達障害というのは障害者雇用で有利ですか?不利ですか?
  2. 障害者雇用で働く発達障害者の現状を教えてください。
  3. 障害者雇用の中でキャリアチェンジはできますか?
  4. 障害者雇用で昇給はありますか?また正社員は多いですか?
  5. 障害者雇用の就活は何か特別な準備が必要ですか?
  6. 障害者手帳をとった人の経験談を聞きたいです。

Q1. 他の障害特性と比べて、発達障害というのは障害者雇用で有利ですか?不利ですか?

 障害者雇用では圧倒的に身体障害者が有利です。具体的な数字があるわけではありませんが、当社の現場感覚では9割を超える企業が身体に障害のある人の採用を第一に考えています。精神障害や発達障害、知的障害の人は身体障害の人が雇用できない時の次善の策と考えているところがほとんどと言えます。

 発達障害のメリットは、勤怠が強い(つまり仕事を欠勤することが少ない)人たちが多い点です。他の障害種別に比べて1~2割ほど定着率が高いことからも安定した勤怠が強みであることが伺えます。またご本人の特性の凸凹と業務内容やオフィス環境がフィットすると高い成果を上げられるところもプラス面です。このようなところが広まれば、今後企業から魅力を理解してもらえる可能性もあります。

【参考】障害者の就業状況等に関する調査研究

 ただし、気持ちのサポートを求める精神障害とはちがって、先天的な脳の違いで情報処理の仕方が違う発達障害の場合は、”多数派”(発達障害ではない企業人事)からは理解しづらく、敬遠されてしまうこともあります。特性や配慮がわかりにくい、それだったらやはり身体障害者や知的障害者、精神障害者を雇う方がやりやすい、と思われかねないということです。

 このため、行政などを中心に企業に発達障害の人をわかってもらうための啓発が行われています。「発達障害でも採用しよう」ではなく、「発達障害だから採用しよう」という枠が増えてきています。一度わかればこれほど素直な人はいない(あまりにも嘘をつかなすぎるのですが…)というのが実感ですので、徐々に理解の輪が広がっていくでしょう。

Q2. 障害者雇用で働く発達障害者の現状を教えてください。

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 発達障害の人向けの障害者雇用は確かに大きく広がっている印象があります。一部ではありますが発達障害の人の力に気付き始めた企業が出てきていることと、雇われている当事者たちが力を発揮して、発達障害の人のプラスのイメージをしっかりと企業内に浸透させ、次も発達障害の人を雇おうという好循環が生まれています。

 実際当社の訓練生の就職までの期間は7か月ぐらい。給与も一般枠とあまり変わらない月額15万円~が多く、20万円を超える方もいらっしゃいます。就職していく人の多くは経歴もそれほどありませんし、資格もほとんどありません。誰でもチャンスがあるのが障害者雇用と言えます。

 障害者雇用で働く発達障害の人の2016年度のデータをまとめ、当社のブログで記事を書いています。そちらも合わせてご確認ください。

Q3. 障害者雇用の中でキャリアチェンジはできますか?

 はい。これまでは障害者雇用というと一つの企業で勤め上げるということが多かったようですが、最近ではキャリアアップのために転職されることが多いようです。その際、違う業種や違う職種に転じることも一般枠に比べると割合に容易ということがあげられます。

 つまり、一般枠では30歳前後になると、同じ業種で、同じ職種でないと、転職がしづらいですが、障害者雇用の場合は、事務の経験がなくても、年齢が高くても、事務職に初めて就くというようなことが比較的に可能性が高いのが実際です。

 一つ注意したいのは、障害者雇用では選考に実習が多いことです。在職のまま転職活動をする際は面接だけで内定を出してくれるところを探す必要があるでしょう。あるいは最近増え始めた発達障害の転職エージェントを活用するのも一案です。

【参考】発達障害の方向け転職・就職サイト

Q4. 障害者雇用で昇給はありますか?また正社員は多いですか?

 障害者雇用の難しさは、昇給がなかなかないところです。もちろん少しずつ(月給が数百円上がるなど)はあるようですが、大きく上がることは珍しいケースです。というのも、障害者雇用は同じような業務を数年後も10数年後も行うということを前提にしている企業が多く、一般枠のように権限や責任が大きくなり昇給していくということが考えにくいためです。

 一方で障害者雇用の職域拡大の動きは活発です。SEやウェブデザイナーなど専門職の採用が増えたり、そもそも職種を固定せずにその方が力を発揮できる職種に合わせますという求人も出てきています。あるいは障害者雇用のグループリーダーといった管理職に近い業務も見られるようになりました。

 残念ながらはじめから正社員になれる求人は少なめです。これは障害者雇用自体が離職率が高く、25%程度の人が1年以内に辞めていってしまうため、企業の側としても当初から正規社員にするのがリスクが高い背景があります。とはいえ、はじめは契約社員であっても、3年から5年後に正社員登用の制度を持っている企業は多く、最終的には安定した雇用形態で働けている人が多くなっていくのも、障害者雇用の特徴と言えます。

Q5. 障害者雇用の就活は何か特別な準備が必要ですか?

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 障害者雇用の就活で特別なことは、自分の障害特性をきちんと理解しているか、またそれについての自分の対策と周囲に求める配慮を適切に伝えられるかの2点です。障害者雇用は「マイナス面がマイナス面でないか」ということを伝える場になります。一方で志望動機や業界研究などは不要とは言いませんが、一般枠の採用試験ほど重視されません。残念ながらまだまだプラス面を見てくれる会社は少なめです。

 企業での実習が主要なプロセスとなっている点が障害者雇用の就活の特徴です。つまり面接や筆記試験だけで評価されるわけではありません。1週間ほど企業の中で体験実習をすることで、どの業務が得意か、どのような配慮が必要かをお互いにすり合わせていくことができます。この企業実習は無償で行われることが一般的です。

 発達障害の方は面接が苦手な方が多いですので、障害者雇用で実習が重視されているというのはプラスに働くことが多いようです。ただし実習はすべての企業で必須とされているわけではありません。面接だけで選考プロセスが終了(つまり内定)ということもありますので、それぞれの企業の選考情報を事前によく確認しましょう。

Q6. 障害者手帳をとった人の経験談を聞きたいです。

 当社では「ようこそ先輩」という、修了生の話を聞く場を設けています。ほぼ週に1人のペースで登壇してもらっています。そこでは30分~1時間ほどかけて体験談を伺っています。なかなか同じような境遇の人の就活・就業・転職状況を聞くことはないので好評です。

【参考】大人の発達障害 就職活動 体験記

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執筆: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。これまで1,000人以上の発達障害の方の就労支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴