発達障害のある兄弟姉妹がいると結婚に響くのか?

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今日は秋葉原–>新宿–>秋葉原とスケジュールミスもありながら無事予定の業務をこなしました。最後は当社利用希望の方の面談でした。ふいに創業当時の思いがこみ上げてきて、この記事を書いています。

親御さんによると、ご兄弟(姉妹)の将来、多分に結婚のことがあり、ご本人の障害・診断を(気づきつつも)避けてきた。ただ、そのご兄弟(姉妹)が、「今はそういう時代ではない。障害者手帳をもらうならもらって就職をしてほしい」という訴えに押されるように、親御さんとご本人が当社にいらしたということでした。久しぶりに心の琴線に触れたというか、次の言葉がすぐに継げないぐらい、その兄弟(姉妹)の思いに触れられた気がしました。

まっすぐに言うと、発達障害*は遺伝がある程度は関係しています。これは事実です。ただし、遺伝だけで説明できる部分は実は少なく、環境要因(妊娠中、また生後7ヶ月~3歳まで)も含め、かなり複雑な発言を見せているというのが最新の研究です。以前僕が書いたブログに載せていますが、いくつかポイントを再掲しておきます。

自閉スペクトラム症研究 最新情報がTED動画に
http://ceo.kaien-lab.com/2014/06/ted.html

  • 自閉症の兄弟がいる場合もう一人も自閉症なのが一卵性双生児の時は70%台、二卵性は30%台、通常の兄弟は20%以下であること、
  • ただし一卵性双生児の場合でも100%ではないということは遺伝子だけとは言えないこと、
  • たしかにがんや心臓病、糖尿病なども遺伝する傾向があるが、自閉症はさらに遺伝子による要因が大きいと思われること、
  • 現在、遺伝子の特定ができているのは全体の25%に過ぎないこと、
  • 一つの非常に強い遺伝子の変異(たった一つの文字の変異)で自閉症になることもあるが、関連する遺伝子は200とも400ともいわれはっきりとわからないこと、
  • 遺伝子変異は家系の場合もあるが、突然ある人から始まることもあること、、、

発達障害は6%とも10%ともいわれる中で、そういった親戚がいない家系を探すほうが難しいです。またその他、障害や先天異常といわれるものを避けていくと、結婚や出産などは怖くてできなくなると思われます。

また、障害があると、不幸な人生かというとそうとも言い切れないというか、よほどうちの子を見ていても楽しげに暮らしています。僕よりもおそらく楽しんでいると思われます。もちろん僕がこれまで人生で得られたようなわかりやすい学歴・職歴・名誉・肩書きは得られないでしょうが、人間の満足度は得たものの他者評価ではなく、得たものの自己評価ですので、自分が得たもので満足し楽しければそれでよい、自分のカードで満足できる力があるかどうかが重要で、そこにはあまり障害というのは関係が(本来は)無いように思います。

障害の有る兄弟姉妹がいると、結婚が難しくなるかという統計は見たことはまだありません。が、もしそういう結婚差別をする人だったら、そもそも結婚しなくてもよいと思います。上記のように論理的ではないし、何に価値基準を置いているのか、という感じです。

思い起こすと、2008年秋。米国のMBAの授業で、Kaienが小さなプロジェクトとして産声を上げたころ、参加してくれていた主要メンバーの一人、Marc Nolandは、発達障害の弟を持ち、それをカミングアウトしている人でした。一緒になって動こうと言ってくれた背景には、彼も兄弟として、面白くない思いをしてきたという過去があったからこそだと思います。プロジェクトのキーワードは、Change the perception of autism 自閉症の認知を変えるというものでした。今日、インテークをしていて兄弟(姉妹)からの訴えを間接的にも聞いて心に響いたのは、そういった創業前夜の思いが重なったからだと思います。

米国のビジネスプランコンペティションで優勝した時の1枚 2009年4月なので6年前になります 向かって右がMarc

そういえば、今日採用面接に来た人は(僕の一次面接はすでに通って最終面接だったわけですが)、発達障害の兄弟姉妹がいる方と結婚をして、という話でありました。当社はやはり発達障害の関係者がスタッフとして集まりやすいです。6年たってどう社会を変えられているのか、それだけはわかりませんが、少なくとも当社事業を通じて後退させていることはないと思いますので、Change the perception of autismの精神を忘れずに行きたいと思います。

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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます