もはやKaienは待たなくてはいけない就労移行支援ではない

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Googleに嫌われて?気づいた事

これまでKaienはインターネットで発達障害関係のワードを検索すると軒並み一位に来ていました。始めはなにか特別なことをするわけではなかったです。あまりにも発達障害と仕事に関する記事が少なく、しかもネガティブなものばかりで、どうしたらポジティブに戦力化してもらえるかを考えて書き始めました。色々と楽しく記事を書いていたら検索で上位にきはじめ、世の中でまだ取り上げられていない内容を出来る限りオープンにしようと思って、支援の現場から見える状況をウェブに綴ってきました。

ただそれも2018年7月までの話。8月以降、Googleの検索アルゴリズムが大きく変更されたらしいです。これまでの変更は乗り切ってきた当社ですが、今回はなぜか大きく順位を下げました。ウェブで当社の記事が読んでもらえない状態。Googleさんに嫌われて気づいたことを書いていきます。

世の中には良い記事がたくさん出てきている。

薄々気づいていたことではありますが、当社の記事が様々に読まれて色々なところで似たような表現・記事が増えていました。パクられていたというか…。でもそれは良いことでもあります。大体3つのことが書いてあるからです。

  1. 【自己受容】発達障害は苦手なところがある。その状態(一生お付き合いする特徴)を自分が受け止めるのが最初のステップ。
  2. 【苦手対策】苦手なものには、克服法や回避法が用意されている。それらを試すのが次のステップ。
  3. 【長所発揮】自分の特徴を生かしてくれる職場や仕事を探す。長所を認めてくれる人はかならずいる。

今、日本語で検索すると、発達障害そのものや発達障害と就活・仕事の解説は、上の3つのことが散々違う方法で書いてあるだけともいえます。でも見方を変えると、発達障害と検索すると、一時期は掃き溜めのような馬鹿にする記事しか出てこなかった時期が長かったですので、感慨深いものがたしかにあります。少しはこの流れを作り出せたのではないかという自負が有るということですね。

「スグ使えるKaien」キャンペーン

でも困ったことが起きているのです。それがKaienが目立たなくなったということ…。

もちろんこれまではGoogleの下駄を履かせてもらっていたので、なにもしなくてもKaienを利用したい人が日々訪れていました。それが数分の一になってしまったのです。そこで声を大にして言いたいのが…

「Kaienはもはや待機が必要な就労移行支援事業所ではありません」

ということです。

これまではほぼ全拠点で半年程度、利用まで待機をしてもらっていました。でも今後はおそらくお待たせすることはありません。すぐ利用できるようになるでしょう。それだけで良ければまだ良いのですが、場合によっては就労移行支援事業所のサイズも変更しないといけないかもしれません。

「スグ使える」はこうしてブログで次々にお伝えしようと思いますし、講演(呼んで頂ければタイミングが合えば参ります)でアピールを続けたいと思いますし、医療機関や若者支援機関には訪問させていただき、変わったKaienを伝えていきたいと思います。そしてGoogleに履かせてもらっていた下駄の高さを懐かしむ反面、これからは利用者のニーズにより答えられる事業所を目指さなくてはいけないと思っています。

過去6年間も続いた「すごく待つKaien」というイメージを解くのは時間がかかるかもしれませんが、ぜひイメチェンにお力添えください。ウェブで当社を探せなくても、やっぱりKaienで就職を目指したほうが良い人はたくさんいると信じていますので。

入院で治療期間が長い医者と、その場で治す医者 どちらが儲かるか?

ちなみに、行っている支援の質は変わりません。ご安心ください。でも逆に言うとそこが困ったところなのです…。

たとえ話です。入院を促す医者と、その場で治す医者、みなさんはどちらが良いですか?もちろん後者ですよね。でもどちらが儲かるか?というと、実は前者のほうが安定した経営が出来るのです。後者の方は腕がいいだけにそれだけ沢山の人を処置しないといけない。毎日毎日新しい患者を探すというのがとても大変です。なので前者のほうが安定します。

当社は7ヶ月が平均の利用期間。半年ぐらいで内定をもらえるということです。年間の就職者は事業所あたり30人超。一般的な就労移行支援期間の5~10倍ぐらいの就職者です。医者で言えばその場で治療して帰せるようなスピード感です。

でも(就職させることによる加算は微々たるものですので)いくら就職させても同業他社と売上はさして変わりません。通っている人数によって売上が決まるからです。良い質を保ちつつ、運営していくには、当社は集客を5~10倍しないと経営が成り立たないということになります。うーん、アンフェアですよね…。

ちなみに、定着率は1年後でも95%ほどですし、平均給与も全国よりも高めです。障害者雇用で20万円の月給を超す例も多数あります。なのでただただ速く就職させているわけではないです。速すぎる回転率のために自らの首を締めつつあるというのはわかってはいましたが、Googleによって(改めて)気付かされた就労移行支援制度の不思議/矛盾です。

次の社長ブログでは…

Googleのアルゴリズムの変更で気づいたことを書いてきました。一つは似ていることは似ているけれどもポジティブな発達障害についての記事がネット上に増えてきたこと。そしてもう一つは、就労移行支援のパラドクスは怖いなということでした。

他にも気づいたことがあります。それらの方が重要なものかもしれません。

一つは発達障害の支援のコモディティ化(市場参入時に、高付加価値を持っていた商品の市場価値が低下し、一般的な商品になること)と逆説的ですが個々の難しさ。そして2つ目に福祉の中での革新ってなんだろう、それにKaienがどう向かうのかということ。3つ目はGoogleが考える良い記事とは?福祉での良い記事とは?ということ。4つ目は景気の良さと一般雇用での就職状況・障害者雇用への追い風です。1つ目と3つ目は重なりそうですね。

次回はそれらを書いていきたいと思います(→発達障害支援 なぜ簡単なのに、同時に難しいのか?)が、最後に…制度に合わせて就職を遅らすという甘い蜜は吸わず、今後も早く安定して働きたいという発達障害の当事者の声にしっかりと応え、真摯に経営をしっかりし続けます…ということをお約束して記事を締めたいと思います。

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴社長ブログ一覧