3人以上になると困る発達障害 議論の仕方を考える

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「発達障害*は一人や二人で困るよりも、3人になると困る。」

早稲田メンタルクリニックの益田先生の言葉。確かにと思います。

3人から急に複雑化する「社会性」

具体的には、ASD的には周囲の状況を読み取る力、ADHD的には集団に従う力、みたいなところで苦手さが出やすいからです。

もちろん2人でも「社会学」は成り立ちますが、1対1は相手からの配慮がしやすいですよね。また、2者だと自分とその人の関係だけの1本線の関係なので調整しやすいですが、3者になると自分以外の他者同士の関係も出てきますので、複雑性が一気に増します。

Kaien(就労移行生活訓練)やガクプロ(大学生向け支援)では、グループワークが多いのです。それはこの3者以上の関係を出来るのは、医療の診察室などでは学びづらく、当社のような福祉事業所じゃないとできないからなのだと思います。そこまで意識していなかったのですが、理にかなっているのでしょうね。

3者以上で行う議論の仕方

先日のガクプロのオンラインセッションでは20人ぐらいが参加して議論の実践をしました。テーマは「大学・専門学校の学費は高い?」。

関心のあるテーマなのか1人1人の発言は活発で、かつ私(司会)から質問をすると各人答えられるのですが、3者でのクロストークがほとんどない。

これだと学業でのグループワークはもちろん、就活でのグループ面接や、なによりも職場でのミーティングや現場でのやり取りで、取り残されてしまうでしょう。

このままでは「議論」にならず「発表と質疑応答」になってしまう…。なにか支援者として伝えられないかなぁと思ったときに「自分以外の意見を言ってもよい」というルールを加えました。つまり、自分はAと思う。でもBという考え方をする人もいるかも。それについてはどう思う?というような発言を促しました。すると議論っぽいことが増え、会話が盛り上がる感じとなりました。

自分も議論の仕方について学校や職場で明示的に習ったことはないですが、なんとなく習得してきた技術であり感覚。それを明示しながら細かく伝えていくことの難しさと価値を感じたセッションでした。なかなか奥深いです。

 

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。星槎大学共生科学部 特任教授 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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