台風15号からの学び 発達障害の人が混乱時に出勤すること

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月曜日に首都圏を襲った台風15号。首都圏の拠点について、当社は通常の午前からの開所を諦め、13時からの午後のみの開所に変更しました。

金曜の段階(つまり利用者と最後に接点を持てた段階)では、まだ台風がこれほど発達した状態を維持したまま首都圏に近づく予想ではなかったことや、JRの計画運休も未知の話でした。このため運営に変更が生じた時は、Twitter・Facebookなどでの告知をするということで終えていました。

結局、当社はJRの計画運休のはなしが伝わった直後の日曜日の19時頃に、メールやTwitter/Facebook、当社ウェブサイトで「午後のみ開所」を連絡。その後の、首都圏のパニック・混乱はご案内のとおりです。

結果論としては「終日閉所」すべきだったと思います。なお、大雨、台風や大雪などの場合における、当社の方針は2つあり、①「就労移行支援」では働くことを学ぶ機会でも有るため、多くの会社が出勤を促す場合は極力「開所」にし、あとは自分で連絡をとったり、安全などを判断したりしながら緊急時の動きを学んでほしいと思っていること、②一方で特に今回は金曜日時点で判断ができなかったこともあり、いくらメールやSNSで告知しても連絡が届かず通常通り、事業所に来てしまった人への安全管理のために若干数のスタッフはオフィスにいたほうが良い、です。

とはいえ、色々と反省があった今回。昨日までに、当社スタッフ・利用者にアンケートを実施。どのような状況で発達障害*の有る方の出勤を考えるかを学ぶ機会にしようと思います。一部アンケートをこちらでも共有しますので、ぜひご活用ください。

連絡後6時間に半分の人が気づき、朝までには75%の人に届きました。
一方、連絡に気づかなかった人も10%弱いた模様です。

事前に告知するかもという媒体だったTwitterが多く、災害時の便利さを知りました。
私から送ったメールも多くの方が確認していただいています。
誰もがアクセスできる当社サイトも有効だったことがわかります。

午後からの開所だったのですが、いつもどおりに着いた人も数人いました。
7割ぐらいは12時から13時のあいだについていますが、
1時間以上遅れた(つまり14時15時の到着になってしまった)り、
途中で引き返す判断をした人も相当数いました。
当日の出席率は75%程度でした。

4人の1人は、いつもと同じぐらいの通勤(通所)時間だったそうですが
30~1時間余計にかかったのは40%ぐらい、
中には2時間以上も通常よりもかかった方もいました。

ちなみに、「企業実習」(つまり当社に通わず、就職希望の企業に行って実習を行う)や、「採用面接」なども、入る可能性があり、実際月曜日でしたので、今回も企業での説明会のため、現地集合という方もいらっしゃいました。こういうレアケースも含め、より安全に、前もって運営しながらも、働くという学びが得られるバランスを今後も探っていきたいと思っています。

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴社長ブログ一覧

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます