発達障害生活調査 結婚や離婚について500人に聞きました

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毎年行っているKaien就業実態調査。前年は下記の通りまとめています。

就業実態調査 発達障害者の働く「今」を知る

今年は今週一次締切。まだアンケートは受け付けていますが集計を始めたところです。

今回は初めて生活面についてもアンケートに含めました。今日は結婚について見ていきます。

約10%が結婚経験あり うち四人に一人が離婚

アンケートを回答したのは500人超。就労移行支援に通っている最中の人もいるので20代の回答者が多いため、一生を通じた調査ではないことはご理解ください。

もちろん年齢別にデータもでるはずですが、まだ細かな分析が出来ていないため、ざっくりとしたグラフのみ。

まずは9割の方が結婚をしたことがないことがわかります。繰り返しですが20代や30代前半が多いので、どうしても未婚が多くなるとは思います。

一方で気になるのが離婚率です。四人に一人以上が離婚しています。

ただし発達障害*だから数値が高いという読み方をすべきか、わかりません。

経済的に苦しくなって関係が悪化するなど、社会的な背景が様々に絡んでいる可能性が高いことは強調しておきたいと思います。

なお、子どもがいる人は全体の5%ほど。アンケートを見ると、ほとんどが婚姻関係のもとのお子さんでしたので、結婚をした場合、半分ぐらいの方が子どもをもうけている事がわかります。

パートナーや結婚相手に満足しているかどうか?就労移行利用者とそうでない人の違い

この状況を当事者たちがどう捉えているか。就労移行やガクプロなど当社サービスに通っている層と、そうでない層に大きな違いが出ています。最後にその差をご紹介しましょう。

異性関係に満足しているか(LGBTQの方もいらっしゃいますのでアンケートはパートナーや結婚相手に満足しているか)の質問です。

1が不満、7が満足のスケールで聞いています。上が就労移行など当社サービスに通っている(通っていた)人たち。下が通っていなかった人たちです。

Kaien・ガクプロに通っている(通っていた)人 1不満~7満足のスケール
Kaien・ガクプロに通ったことのない人 1不満~7満足のスケール

婚姻関係のデータを合わせて考えると、異性関係について現実の受け止めが異なる可能性があることがおわかりいただけると思います。つまり就労移行支援に通っている人のほうが、どんな状況であってもまあ仕方ないか、と考えられている可能性が高いことが「4」の数値が高かったり、「1」の数値が低かったりすることで、推定されます。

結婚する・しない、パートナーがいる・いないは相手あってのものです。しかし就職支援会社としては経済的な理由で結婚などを諦めるということ減らす支援をしたい(つまり安定して、少しでも経済的にも満足する就職を!)と思いますし、どのような人生であっても上手に受け止めて前向きに日々を送るための心の作り方支援、また寂しく感じないためにコミュニティづくりを地道に丁寧に行っていきたいと思います。

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。星槎大学共生科学部 特任教授 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます