発達障害がある方の”就職だけがゴールではない” 就職後に活きる職業訓練

“新人スタッフ”が見た、Kaienの就労移行支援利用の驚きの3つのポイント
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Kaien秋葉原のスタッフの江川です。この10月にスタッフとして入社し、2か月目に突入した新人です。とはいえ、社会人経験は制作、物流等の業務を通算して10数年(正直、年齢からみたらとても新人とは言えませんが・・・)。

私が実際にKaienで働いてみて改めて驚いた、Kaienの就労移行支援を利用しようと考えている方には、特に注目してほしいポイントを3つ取り上げようと思います。

ポイント1 限りなく職場に近い環境を再現、「働く」リズムを作れる

私がKaienのスタッフとして入社しまず驚いたことが、就労移行支援事業所の雰囲気が、限りなく職場の雰囲気に近い、ということでした。複数のメンバーが島になって向かい合って座り、お誕生日席には上司が座る。これってよくある日本の職場の風景ですよね。

それもそのはず、Kaienの就労移行支援の訓練の仕組みが、企業組織の最小単位である課や係を模しているため、この「職場のような」雰囲気を生み出しているのです。利用者の方は同僚だし、業務となる訓練のプログラムをリードする講師は上司で、我々スタッフはさしずめ先輩(メンター)といったところです。

そして、「職場」に週5日、朝9:30から15:30まで同じ場所に通って「勤務」すること、そのこと自体が働くリズムを作る第一歩になります。利用者の方は、千葉、埼玉、茨城や神奈川などお住まいは様々ですが、「公共交通機関を使って通勤」することも模擬就労の重要な要素の一つです。

もちろん、就労時に必要な勤怠に関するマナー、「遅刻してしまいそうなとき」「お休みをいただくとき」「早退をするとき」などに具体的にどのような報告・連絡・相談を行えばよいのかも、実際に体験しながら学んでいきます。

朝礼から始まる訓練を通じ、就労経験のない方でも、ここへ通うこと一日一日が、勤めるとはどういう事なのかを経験できる貴重な場になっていると感じます。

実際に、始めは拙かった利用者の方の報告も、職場の先輩役であるスタッフや、上司役の講師のアドバイスを基に地道に、しかし着実にマナーを身に着けていき、少しづつ成長していく姿は、頼もしいの一言です。

ポイント2 ミスしてもいい!自分の可能性を試せる「場所」

そんな職場みたいな場所で、ミスしても大丈夫なんだろうか?という点は気になるポイントだと思います。大丈夫です!Kaienでは、なんとミスが奨励されています!企業に就労していながら、ミスが奨励される、という例はあまり聞かないと思います。Kaienでミスが奨励されるのは、違う理由からです。

利用者の方は発達障害*の特性上、メモを取るように言われても、そもそも聞きながらメモを取ることが難しかったり、電話の臨機応変な対応が苦手だったりする場合があります。
そんな会社で求められる「型」からはみ出てしまうときに、自分で自分のことを客観的に分析し、適切な修正や対応を図ることは至難の業です。

Kaienがそのような「型」を求める職場と異なるのは、先輩役であるスタッフや上司役である講師が、ミスを通じて見えてくる利用者それぞれの凸凹(強みと弱み)に着目しているということ。

Kaienのバリエーション豊富な職業訓練では、状況や立場が様々に変わります。その時に発生したミスを通じて「ここが強み」で「ここはちょっと苦手」というように、自分の凸凹を体験を通じて意識、あるいは対処・対策が打てるようになります。これが、ミスが奨励されている理由です。

ポイント3 Kaienは就職までの「橋渡し」だけではない

私はスタッフとして入社するまでは、「就労移行支援事業所」の役割は、文字通り利用者の方が「就労」したらゴールだろうとばかり考えていたのですが、その認識は誤りでした。

確かに、Kaienでは、就職を一つのゴールとして支援の軸に置いています。しかし、最も重要なポイントはその後「入社した職場で働き続けられること」。

就活として、面接の練習、履歴書の書き方といった就活は、スタッフとマンツーマンで進めて行きますが、より重要な職場での作法についてもアドバイスをしていきます。

その時々の所作(上司への報告の仕方や、声のかけ方、受け答えの仕方など)についても、まるで「一時停止と巻き戻しと再生」をするように練習できるのは、Kaienの利用ならではの強みだと思います。

実際の職場を想定したときに、すぐに改善が難しいと考えられる場合は、発達障害の特性や所作については、利用者それぞれの個性に応じて、具体的に対応をキャリアカウンセリングを通じて一緒に考えていきます。

その後のつまづきが起こらないよう、「定着支援」として、スタッフが利用者の就職先の職場を訪問し、状況を共有するフォローを行なっていること。Kaienを卒業した利用者の方も参加可能な独自のSNS「かいえんぴあ」や、懇親会の場などを提供していること。これらを通じてできる利用者同士の横の繋がりこそ、Kaienを利用する最大のポイントではないでしょうか。

以上、新人スタッフが見たKaienの利用する上で重要な3つのポイントを取り上げてみました。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます