自立訓練(生活訓練)とは?就労移行支援との違いや併用できるかも解説

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障害のある方が利用できる福祉サービスには、自立訓練(生活訓練)や就労移行支援などの種類があり、それぞれ異なる支援を行っています。両者の違いを知り、自分に合ったサービスを見極めることで、就職や自立への新たな一歩を踏み出しやすくなるでしょう。

この記事では、自立訓練(生活訓練)の事業所の種類やプログラムの内容、利用料金などを詳しく紹介します。就労移行支援との違いや併用の有無、その他のサービスとの違いなどについても解説しているため、福祉サービスの利用を検討している方はぜひ参考にしてください。

【動画あり】自立訓練(生活訓練)とは

自立訓練(生活訓練)は、障害のある方が自立した生活を送れるよう、知識やスキルの習得をサポートする福祉サービスです。

食事や生活リズム、障害の特性理解、コミュニケーションなど、自立した日常生活を営むために必要なスキルを習得できます。また、生活していくうえでの悩みを専門スタッフに相談することも可能です。

以下の動画では、自立訓練(生活訓練)のサービス内容を詳しく解説しています。実際に利用している方のインタビューもあるので、利用を検討している方は参考にしてみてください。

基礎から解説!【自立訓練 (生活訓練) 】徹底ガイド ~利用者インタビュー付~

生活訓練と機能訓練との違い

自立訓練には「生活訓練」と「機能訓練」の2種類があります。生活訓練は、前述の通り自立した日常生活に必要なスキルの習得を目的とするものです。

一方、機能訓練は身体機能の維持・向上を目的とした訓練です。理学療法士や作業療法士といった専門家による支援のもと、歩行や寝返りといった基本的な動作の訓練をはじめ、家事に必要な体の動作や箸の使い方、文字を書く練習など、機能の回復や補助を目指したサポートが行われます。

このように、生活訓練が「日常生活に必要な力を育てる」ことを重視するのに対し、機能訓練は「身体機能を整える」ことを目的としている点が大きな違いです。

自立訓練(生活訓練)の事業所の種類

自立訓練(生活訓練)を行っている事業所には、通所型・訪問型・宿泊型の主に3つの形態があります。それぞれ訓練の受け方や支援内容が異なるため、自分の体調やライフスタイルに合った事業所を選ぶことが大切です。

以下で、それぞれの事業所の特徴について見ていきましょう。

通所型

通所型は、利用者が事業所に通って訓練を受ける形式です。スケジュールがあらかじめ決められているため、生活リズムの改善や体力づくりに役立ちます。また、他の利用者やスタッフとの交流もあるため、対人関係やコミュニケーションの練習にもなります。

訪問型

訪問型は、スタッフが自宅に訪問して訓練を行う形式です。外出が難しい方や、対人関係に不安を感じる方に向いています。自宅という安心できる環境で訓練が受けられるため、無理なく自立への一歩を踏み出しやすいのが特徴です。

宿泊型

宿泊型は、事業所に宿泊しながら訓練を受ける形式です。入浴や着替えなどの日常生活に関する訓練や、日々の困りごとについての相談が可能です。仕事や学校に通っており、日中に事業所に通所するのが難しい方に適しています。

自立訓練(生活訓練)のプログラム内容

自立訓練(生活訓練)では、さまざまなプログラムが用意されております。今回は一例として、Kaienの自立訓練(生活訓練)のプログラムについて紹介します。

Kaienの自立訓練(生活訓練)では、以下のような多彩なプログラムを提供しています。

  • 感情コントロール
  • 睡眠コントロール
  • 人間関係・コミュニケーション
  • スケジュール・片付け・お金の管理
  • 自分にあった進路探し
  • ペアトレ

心身の安定から日常生活の改善、将来の進路選びまで、利用者一人ひとりの課題や目標に寄り添った内容になっているのが特徴です。

それぞれのプログラムで取り組む内容を、以下で紹介します。

感情コントロール

ストレスや不安、抑うつ的な感情への対処法として、記録の取り方や瞑想・マインドフルネスの手法を学びます。そのなかで自分にあった方法を毎日実践し、スタッフと一緒に少しずつルーティン化していきます。また、処方薬の意味や効果、副作用についても学び、薬への理解を深めることを目指します。

睡眠コントロール

ガジェットを活用しながら生活リズムのチェックを行い、まずは食事や外出の時間を一定にすることを目指します。生活の土台となるリズムを安定させられるため、睡眠環境の改善に効果的です。そのうえで「リベンジ夜ふかし」や布団から出られない原因に対する具体的な対策に取り組んでいきます。

人間関係・コミュニケーション

アサーション(自他の考えを尊重しながら自分の気持ちを伝える方法)、アクティブリスニング(相手の話にしっかり耳を傾ける姿勢)、アイメッセージ(「私」を主語にした伝え方)といった具体的なコミュニケーションスキルを身につけていきます。さらに、物理的・心理的な距離の取り方についても学び、対人関係に役立つバランス感覚を養います。

スケジュール・片付け・お金の管理

時間管理のツールを活用した自分に合ったスケジュールの立て方や、ADHDの人でも実践しやすい片付け方法などを学びます。その後、これらの課題をプロジェクト化し、スタッフと二人三脚で解決を目指します。金銭管理の訓練としては、お金の使いやすいタイミングの見極めや支出の見える化を通して、自分で管理する部分と周囲に任せる部分のバランスを考えます。

自分にあった進路探し

他の利用者や修了生の進路を参考にしながら、自分に合った働き方や進路の選択肢をイメージします。また、地域にある職場や福祉施設の見学を行い、場合によっては短期間の体験も実施します。こうした体験や情報収集を重ねることで、自分にとって最適な進路を具体的に描き、次のステップに向けた準備を進めていきます。

ペアトレ

毎月無料で実施している、家族向けの支援プログラムです。障害の特性に対する知識や理解を深めるだけでなく、家庭内での具体的な対応スキルや接し方も学べる内容となっています。ペアトレを通じて、ご家族がより安心して効果的なサポートを行えるよう後押しします。

自立訓練の主な利用ケース

自立訓練の主な利用ケースとして、まず挙げられるのが特別支援学校を卒業したばかりの方です。卒業後すぐに就職することが難しい場合や、障害者雇用による就職がすぐには見込めない場合に、自立訓練を利用して生活リズムの安定や生活スキルの習得などを目指すケースが多く見られます。

次に挙げられるのが、18〜22歳程度の発達障害のある方が、就労移行支援を利用したものの2年間の利用期間内に希望する就職先が見つからなかったというケースです。このような場合、自立訓練に切り替えて基礎的な生活スキルや対人関係のスキルを磨き直し、再び就職にチャレンジする道を選ぶことがあります。

また、精神疾患によって職場を休職している方が、復職を目指して自立訓練を活用するケースもあります。自立訓練でストレス耐性や生活リズムの安定を目的としたプログラムに取り組み、無理のない職場復帰を目指します。

自立訓練(生活訓練)の利用料金

自立訓練(生活訓練)は障害福祉サービスの一つで、利用するには利用料がかかります。世帯の収入状況によって負担上限額が定められていて、生活保護世帯や住民税非課税世帯であれば自己負担額0円で利用できます。

世帯収入に応じた負担上限月額は、以下の表の通りです。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯(注1)0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く(注3)9,300円
一般2上記以外37,200円

注1:3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下

注2:収入が概ね670万円以下

注3:所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者で市町村民税課税世帯の場合は「

一般2」に該当

出典:厚生労働省|障害者の利用者負担

自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の違い

自立訓練(生活訓練)と就労移行支援はどちらも福祉サービスですが、目的や対象者、支援内容などの点でさまざまな違いがあります。両者の違いを理解し、自分に合ったサービスを選択しましょう。

ここからは、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の違いについて4つの観点から解説します。

目的

就労移行支援は同じ障害福祉サービスですが「就職」を目指して利用するもので、自立訓練(生活訓練)は「自立」を目指す所が違います。つまり親や周囲の人の手助けを得ずに健やかに毎日が送れることを自立訓練(生活訓練)では目的としています。自立訓練(生活訓練)の利用後は、就活、福祉就労、進学・復学、療養などさまざまです。

対象者

自立訓練(生活訓練)の対象者は、障害がある方のうち、生活能力を維持・向上するために訓練が必要な方です。例えば、病院を退院して生活能力を訓練する必要がある方や、うつ病などの精神疾患で日常生活に支障をきたしている方などが挙げられます。

一方、就労移行支援の対象者は、一般企業での就労を希望する障害のある方です。その他、18歳から65歳である、失業状態であるといった条件を満たす必要があります。

支援内容

自立訓練(生活訓練)では、各種プログラムを通じて生活能力やコミュニケーション能力の向上、メンタルのコントロール方法の習得などを目指します。進路選択やビジネスマナーの習得など、将来を見据えて行われる支援も手厚いのが特徴です。

就労移行支援の支援内容は、大きく「職業訓練」「就活支援」「定着支援」の3つに分けられます。職業訓練では、プログラムを通して就労に必要なスキルやマナーの習得を目指します。就活支援の内容は、面接練習や面接同行、求人紹介などです。また、利用者が就職してから長く働けるようにサポートをする定着支援も、就労移行支援の重要な役割です。

利用期間

自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の利用期間は、原則として両者とも最長2年間です。

ただし、両者とも条件を満たす場合に、1年まで延長が可能となる場合があります。延長できるかどうかの判断は自治体によって異なるので注意が必要です。なお、就労移行支援の延長については、2027年4月以降は就労選択支援事業のアセスメントが必要になります。

自立訓練(生活訓練)と就労移行支援は併用できる?

「自立を目指しながら、就職活動もしたい」と考えている人もいるかもしれません。この場合、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を併用できるかどうかが気になるポイントですよね。

結論から言うと、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の併用は基本的に認められません。自立訓練(生活訓練)は大きく「通所型」「宿泊型」「訪問型」の3種類に分けられますが、このうち宿泊型を利用している場合は併用が認められることがあります。ただ、もし認められたとしても併用するメリットは本人にも支援側にもほとんどありません。

目的や段階に合わせて、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援のどちらかを選ぶのがおすすめです。

自立訓練(生活訓練)と就労移行支援はどちらを選べばいい?

Kaienでは自立訓練(生活訓練)が良いのか、就労移行支援が良いのか、セルフチェックするためのリストを作成しました。これをもとによりフィットしたサービスをお選びいただければと思います。チェックリストで当てはまる項目が多いほど“生活訓練”が、少ないほど“就労移行”がおすすめです。

  1. これまで学業で精一杯で、将来を考える余裕がなかった。
  2. 睡眠を中心とした生活リズムがまだ整っていない。
  3. 食事・洗濯・片付けなど、日々の生活が親任せである。
  4. 自分一人でお金の管理ができない、あるいは上手にお金を使えない。
  5. 服薬管理を含め病院・クリニックとのやり取りが一人では難しい。
  6. 健康保険・年金・障害福祉など行政制度を知らない(使えない)。
  7. 怒りや悲しみ・不安などの感情コントロールの方法を知らない。
  8. 対人コミュニケーションが苦手で、喋りすぎ(喋らなすぎ)である。
  9. まだ働いたことがない。働くことのイメージがついていない。
  10. (就労移行の利用限度である)2年間だけでは就職できない気がする。

自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を両方使うことを検討している方は、まず自立訓練(生活訓練)を利用するのがおすすめです。というのも、自立訓練(生活訓練)で生活の基礎を学び、心身の状態を整えてから就労移行支援で仕事を探すという流れが自然だからです。

ただし、先に就労移行支援を2年間利用してしまった方で、まだ十分な将来設計ができていないケースもあるでしょう。その場合は、後から自立訓練(生活訓練)を利用して将来の再設計を目指しても問題ありません。

自立訓練(生活訓練)とその他サービスの違い

自立訓練(生活訓練)に似た障害福祉サービスはいくつかありますが、それぞれ支援の内容や対象者、目的が異なります。ここでは、代表的なサービスとの違いを簡単に紹介します。

就労継続支援

就労継続支援は、一般企業への就職が難しい方に対して働く場を提供するとともに、就労に必要なスキルを身につけるための訓練を行うサービスです。事業所内での軽作業や製造、清掃などを通じて、実際の仕事を経験しながら能力の向上を目指します。

一方、自立訓練(生活訓練)は就労前の段階で、生活リズムの改善やコミュニケーション能力の向上など、日常生活の自立を目指す支援が中心です。就労継続支援とは目的の段階や支援内容が異なります。

就労継続支援とは?A型とB型の対象者、仕事内容や給与の違いを解説

自立生活援助

自立生活援助は、一人暮らしをしている障害のある方が地域で安心して生活できるように支援するサービスです。利用者の自宅へ定期的に訪問したり、緊急時には連絡を受けて対応したりしながら、生活上の課題に対して助言や情報提供、関係機関との連携などを行います。

自立訓練(生活訓練)が基本的に通所によって生活スキルを習得する場であるのに対し、自立生活援助は一人暮らしを始めた後の生活を継続的に支える支援サービスです。

共同生活援助

共同生活援助(グループホーム)は、障害のある方が支援を受けながら共同生活を送ることができるサービスです。支援員やスタッフが配置されており、食事の準備や入浴、服薬の管理、日常生活に関する相談などのサポートを提供します。

一方、自立訓練(生活訓練)はあくまで訓練を目的としており、将来的に自分の力で生活できるようになることを目指す場です。グループホームは継続的な生活支援の場、自立訓練はその準備をするためのサポートという違いがあります。

精神科デイケア

精神科デイケアは、精神疾患のある方を対象に、再発防止や社会復帰を目指す医療機関の通所リハビリサービスです。作業療法やグループ活動、レクリエーションなどを通して、生活リズムの改善や人との関わり方などを学びます。

支援内容は自立訓練(生活訓練)と似てる部分もありますが、精神科デイケアは医療機関が提供する医療行為であり、障害福祉サービスとは制度上の位置づけが異なります。

精神科デイケアとは?メリットやプログラム内容、就労移行支援や自立訓練(生活訓練)との併用についても解説

自立訓練(生活訓練)の利用方法

自立訓練(生活訓練)を利用するには、自治体の窓口で手続きを行う必要があります。その際の一般的な手続きの流れは以下のとおりです。

  1. クリニックを受診する
  2. 利用する事業所を決める
  3. 障害福祉サービス受給者証を申請する
  4. 利用計画を作成する
  5. 障害福祉サービス受給者証を受け取る
  6. 利用契約を行う
  7. 利用開始

Kaienの自立訓練(生活訓練)

Kaienの自立訓練(生活訓練)では学びのためのギャップイヤーを提供しており、利用することでさまざまな経験を積むことができます。

100以上のプログラムを通して、感情コントロールや睡眠コントロール、コミュニケーションなど、自立に役立つ多様なスキルの習得が可能です。地域にある職場の見学などで進路のイメージを固めていけることも特徴の一つです。

自分自身を見つめ直し、将来を再設計したいと考えている方は、Kaienの見学・個別相談会への参加を検討してみてください。

Kaienの就労移行支援

Kaienの就労移行支援は、毎年15名以上の就職者を各事業所で輩出している実績豊富なサービスです。全利用者の86%が就職、就職後半年の定着率は95%と、いずれの数字も全国平均を大きく上回っています。

Kaienの就労移行支援の特徴は、Kaienが開拓した独自求人を多く取り扱っていることです。プログラミングやビジネススキル、伝統工芸など、就職で役立つスキルをカリキュラムで培えることも魅力の一つです。

適職アセスメントや専門的なカウンセリングで自分に合った仕事を見つけたい方は、Kaienの就労移行支援をぜひご利用ください。

自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の違いを知り自分に合ったサービスを選ぼう

自立訓練(生活訓練)は、障害のある方が自立した生活を送れるように支援する福祉サービスです。食生活や生活リズムを整えたり、コミュニケーションスキルの習得を目指したり、2年間の利用期間のなかでゆっくりと生活の基盤を作っていきます。

生活の自立と共に就職も目指したいという人も多いでしょう。しかし、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の併用は基本的に認められず、併用するメリットもありません。自立訓練(生活訓練)と就労移行支援のどちらを利用すべきかお悩みの方は、就労移行支援事務所に相談してみるとよいでしょう。

Kaienでは、精神医学や発達心理学に基づいた就労移行支援・自立支援(生活訓練)を提供しています。Kaienの自立支援(生活訓練)の修了者の半数は就労移行に進んでいるので、将来的に就職を目指したい方や、自立支援(生活訓練)と就労移行支援のどちらを利用すべきか迷っている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

ご利用説明会・見学会

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

監修者コメント

患者さんの中には長らく仕事から遠ざかって生活習慣が乱れている方がいらっしゃるかもしれません。きちんと治療を受けていただくのは大切であることはもちろんのこと、日本に住む私たちは日本国憲法第27条により「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」と規定されています。私たちには勤労のほかに、教育と納税の併せて3つが国民の義務とされています。つまり、治療を受けてからは仕事をして納税する必要があるのです。

長らく仕事から遠ざかっていた方にいきなり就労というのは厳しいため、まずはその中間段階として生活リズムを改善する方法があります。それが自立訓練です。コラム本文にありますように、自立訓練には「通所型」「宿泊型」「訪問型」の3種類がありますが、私の勤務する都市型のクリニックでは通所型の自立訓練を利用する方が圧倒的に多いです。一定期間、自立訓練を経てから就労移行支援に移る方が多くいらっしゃいます。

労働できるということは素晴らしいことです。同時に(蛇足ながら)、「労働者」であることのレトリックや危険性についても私たちは知る必要があります。すなわち、マルクス経済学の言葉を借りるならば、「労働者は労働者として働いている事で、自分が労働者であるという社会的な関係を再生産している*1」のであり、働いているだけでは資本家との主従関係は解消されないということです。この根本問題が過労死、生きがい搾取、引きこもり、バーンアウト、ブルシットジョブ*2を生み出しているのであり、現代社会が克服すべき課題なのです。メンタルクリニックにいらっしゃる患者さんは、この社会的問題に鋭敏に影響を受けた人々と考えることもできると思うのです。

*1:佐藤優、いま生きる「資本論」 (新潮文庫)、2017

*2:デイビッド・グレーバー、ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論(岩波書店)、2020

監修:中川 潤(医師)

東京医科歯科大学医学部卒。同大学院修了。博士(医学)。
東京・杉並区に「こころテラス・公園前クリニック」を開設し、中学生から成人まで診療している。
発達障害(ASD、ADHD)の診断・治療・支援に力を入れ、外国出身者の発達障害の診療にも英語で対応している。
社会システムにより精神障害の概念が変わることに興味を持ち、社会学・経済学・宗教史を研究し、診療に実践している。


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