平均の通勤時間はどれくらい?勤務地から見る発達障害者の就労の実態

Kaienマンスリーレポート(2016年11月)
HOMEスタッフブログ平均の通勤時間はどれくらい?勤務地から見る発達障害者の就労の実態

就労移行支援事業所Kaien横浜の大野です。

毎月、発達障害*に特化した就労移行支援事業を行っているKaienご利用者の就職実績を定期発信している、「Kaienマンスリーレポート」。今回も最新の就職実績をお伝えします。

11月の就職者数は13名、神奈川エリアの利用者が特に奮闘

11月のKaien就労移行支援6事業所全体での就職実績は13名でした。就職された13名の皆さまおめでとうございます!地域の内訳としては、都内4事業所(秋葉原、秋葉原サテライト、新宿、池袋)の利用者の就職は計7名、神奈川2事業所(横浜、川崎)の利用者の就職は計6名でした。

ここ数か月、横浜事業所・川崎事業所の就職数の伸びが顕著です。僕が所属している横浜事業所の実績を例に挙げると10月は3名、11月は4名、12月も既に5名の方の就職が決まっており、右肩上がりで就職者数が伸びています。

Kaienが就労移行支援事業をスタートして以来、現在も続いている風習の一つに「修了プレート」というものがあります。就職した皆さんに事業所の壁面にネームプレートを張り自分の名前を刻んでいただく、というささやかなセレモニーなのですが、横浜事業所の『セレモニー・ウォール』も開所2年半、だいぶにぎやかになってきた印象です。支援スタッフとして業務を行う中で、悲喜交々色んなことは起こりますが、執務席の傍に貼り付けられた修了プレートに、本当に日々日々背中を押されながらの毎日です。

一拠点当たり年間数十人の就職者が出るKaien。一人一人の修了時にプレートが壁に貼られていく。

尚、現在神奈川エリアは就職が順調であること、都内事業所と比較すればさほど希望者が多くないということもあり、利用までの待機期間は都内と比較して約半分の待機期間でご利用開始いただくことができる状況です。

とはいえ勤務地はまだまだ東京都内を頼りにしている現状

我が横浜事業所の就職数が順調であることは大変喜ばしい一方で、いざその実態を丁寧に見ると、正直そんなに諸手を挙げて喜んではいられないなぁ、、、とも思っています。というもの、実は11月に就職した4名全員の勤務地が東京都内の事業所なのです。。。

なぜ多少通勤面で負担があっても、都内への就職を選らばざるを得ないのか、という事情ついての詳しくは、当社ウェブサイト記事「東京都心か郊外か? 発達障害がある方の就職事情」にてご参照をいただければと思いますが、ポイントを抜粋すると・・・

  • そもそも労働人口比において、やはり求人ポスト数は圧倒的に都内が多いし、
  • 障害枠の場合はことさら本社機能に紐づいていることが一般的になっている
  • (当然のごとく、多くの利用者が就職を希望している)大手企業は、やはり都内勤務で募集していることが多い

ということが背景にあります。

日々のキャリアカウンセリングの場でも、自分の特性との相性やご本人の希望・条件に合致する企業を選定するうえでは、大体40分から1時間くらいの通勤時間は許容していただく必要があるでしょうね、とお伝えしているのが実情となっています。

発達障害者を積極的に採用する地元企業を開拓中!

でもやはり、利用説明会や個別相談、日々の現場支援の場で、通勤距離について不安を感じていることをご相談頂く機会は多く、「家から近いところで働きたい」という強いニーズは感じています。発達障害の方が、感覚過敏から来る人ごみの苦手さなどの障害特性故に、とりわけ通勤に人一倍ストレスを感じてしまうことは重々承知しており、ご利用者の皆さんに通勤面での負担を強いていることへの忸怩たる思いがあります。

そんな中、神奈川エリアのスタッフ間の会話の中で「やっぱり、通勤面で負担の少ない求人が必要だよね」という合意形成のもと、数か月前から神奈川エリアの求人開拓に力を入れ始めました。取り組みに注力して3か月ほど経ちましたが、徐々にですが「発達障害ぜひ雇いたいですね」、という地元企業さんとつながりを持てるようになってきました。そろそろ神奈川県内に住んでいるご利用者の皆さんに、「あれ?なんか最近、家から近い求人が増えてきた気がするぞ?」程度に実感していただくことが出来たんじゃないかな、と思っています。

まだ事業所こそ置いてはいませんが埼玉や千葉など、神奈川に限らずKaienに通所されている東京都隣県のご利用者はたくさんいらっしゃいますので、地域の企業との結びつきを積極的に行っていきたい、と会社が動き始めています。

「発達障害×就労」というテーマ。東京都内の感度の高い企業様とは一定のボリュームでパートナーシップを構築できたという手ごたえを感じている一方で、地方も含めた国内全体では”箸にも棒にも”どころか、やっと爪先が引っかかったかな、程度の認識でいます。

Kaienは「企業と発達凸凹をつなぐパイオニア」、という自負は少なからず持っているので、今後もフロンティア精神を忘れず、まだお付き合いの無い企業さんともこちらから積極的につながっていき、当社を利用する皆さんが活躍する場を広げていきたいなあ、と思っています。

Kaienの就労移行支援の具体的な内容は、Kaienご利用説明会にて詳しくお伝えしています。ご興味ある方は是非一度ご利用説明会にご参加ください。

関連リンク

発達障害に特化した就労移行支援の利用説明会お申込みは こちら
発達障害に特化したKaien独自開拓求人の内容は こちら

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます