「できる」が増えると「やる気」も増える ~発達障害のある人向け働くイメージのつくりかた①~

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就労移行支援事業所Kaien新宿の鈴木です。今回から2回に分けて、発達障害*のある人に働くイメージを持っていただくための手立てについてお話していきます。

模擬職場での疑似就労体験の中で多くの学びがある

Kaienの職業訓練では、企業で実際に行われているものとそっくりな業務を、実際のオフィスに近い環境の中で体験することができます。数十種類ある業務を1つずつ行いながら、「自分もこんなふうに会社で働くことができるかも」と自信を持ってもらったり、「自分は仕事でこういうところにつまづきやすいんだな」と気づきを得られるプログラムになっています。当社就労移行支援利用者の半数以上はこれまで就職したことがない方ですし、初めのうちは自分が本当に働けるんだろうか、どんな仕事ならできるんだろうと不安を持っている方も多いです。しかし85%以上の人が数か月~1年程度の訓練を経て就職していきます。いきなり実務でなく模擬職場での練習というクッションが入ることで働くイメージができ、新しい環境への一歩が踏み出しやすくなるのではと思います。

作業に乗り気でない人はそもそも指示を理解できていない可能性がある

一方で、訓練に参加していてもなかなかうまく学びが得られていないのではという訓練生も少なからずいます。作業をするのにあまり乗り気でなかったり、こうしてくださいと指示をしても取り入れようとしないように周囲から見えたりします。このような時に多いのは、指示がそもそも理解できていない場合です。言われたことが一部聞き取れなかったり、作業全体の流れが理解しづらいという発達障害の人は多いです。わからなかったときにあとから質問したり、周りの訓練生に聞いて解決できればいいのですが、自分から行動を起こすことが苦手でフリーズしてしまったり、作業しているような雰囲気だけ出しながらなにもしていない、というような方も中にはいます。

作業進捗を上司と共有して理解の突破口を見つけ、「できる」を増やす

実際に職場で上司がいつも部下の仕事の進捗を確認してくれることは通常ありません。わからないからといってそのままにしておくと、いつまでたっても業務は進みません。質問もないからとそのまま任せたままで、期限になって蓋を開けてみたらまったく作業が進んでいなかった、というのが一番上司が困るパターンです。このようなことを防ぐために、当社の職業訓練では報告・連絡・相談・質問を本人から上司に行う練習をしていています。毎日メールで作業計画や定時報告を書いて送っていただくのと、口頭で自分から上司に声をかけて伝えることも練習しています。特に、面と向かって話をするのは、最初は何をどう伝えればいいかわからず緊張してしまうかもしれません。ですが、管理業務経験豊富な上司役が上手に話を受け止めたり引き出したりしてくれるので、段々と落ち着いて話しかけることができるようになるはずです。自分から作業がどこまで進んでいるか伝えることで、作業の理解度や進め方の問題点を上司に確認してもらい、指摘・指導してもらうことで突破口が見つかるという経験も積んでもらえます。わかって、できると、人はやる気になるし、周囲にもその意欲が伝わって好循環が起こることを実感しています。

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あなたの就労への道のりを一緒に考えましょう。当社の発達障害のある人向け就労支援について詳しく知りたい方はぜひ利用説明会にお越しください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます