発達障害と薬の付き合い方

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こんにちは。就労移行支援事業所Kaien池袋の湊です。
親子面談をしたり、個別相談をしていると「発達障害*って薬で治りますか?」「お医者さんから薬を勧められたのですが、副作用が怖くて。。。」と言われることがあります。今回はそんな薬の悩みについて、以前精神保健福祉士として精神科の病院に十数年勤務しており、現在はKaien川崎のスタッフである安間にお話を聞きました。

「発達障害にはどんな薬が処方されるの」

湊 :発達障害と診断を受ける方がよく処方される薬はどんなものがあるのでしょうか?

安間 :診断名や症状によりますね。自閉症やアスペルガー症候群に対しては、コレという薬はないです。一方でADHD(注意欠如性多動性障害)の症状に対しては、ストラテラとコンサータという二種類がメインですね。ただし必ずしも誰にでも効果があるかというとそういうわけでもないので、一概にお話しするのは難しい気がします。

湊 :そうなんですね。何か処方されるときの注意などはありますか。

安間 :まずはきちんと自分の状態・困難さを医師に伝えることが大切ですね。その手段として検査やテストを受けてもらうこともあります。誤った診断を受けてしまって誤った薬を処方されてしまっては良くないですよね。また、薬を処方されたら勝手に自分で飲み方を変えてしまったり、量を増やしたり減らしたり、飲むのをやめたりしないようにしてほしいです。医師の意見をきちんと聞いて正しく飲むことが重要です。

湊 :なるほど。専門家である医師とコミュニケーションを図りながら、薬を飲まないといけないのですね。

「漢方やサプリは副作用なく、発達障害に効果があるもの?」

湊 :漢方やサプリを飲んでいますって人も良く聞きますが、効果はあるのでしょうか?

安間 :そもそも漢方と西洋医療の薬は考え方が全然異なっているので、そのあたりを理解していただくと良いと思います。漢方で直接発達障害に効くというよりは、気分を落ち着ける効果や代謝などを整える効果などを期待して処方されることが多いです。例えば、自律神経系。うつ状態、不眠(緊張状態が続いている人に対して)に対して処方されることがあります。そのため、発達障害というより二次的障害に対して飲むといった感じでしょうか。ただ、漢方も飲み続けると成分によっては肝臓など内臓に、負担が出てしまうことがあるので、頼り切って飲み続けるというよりも、生活リズムをしっかり整えながらうまく使っていけると良いと思います。

湊 :薬に頼りきりになるよりもバランスのとれた食事や十分な睡眠が大切ということですね。

安間 :はい。サプリもよく聞かれますが、基本的には食事の中で栄養分は十分に取れると思いますので、まずは食事や睡眠の見直しをされると良いと思います。

「薬の副作用が怖いので、精神の薬は飲みたくないです。」

湊 :副作用が怖くて処方の提案をもらっても飲まないという人がいますが、その点いかがでしょうか?

安間 :胃腸作用や眠気といったものをよく聞きますが、これも人によってだいぶ違います。また依存性のあると言われる薬もありますが、まずは処方された通りに、医師の指示に従うことが一番大切です。また、副作用が怖いから飲まないと決めつけるのではなく、きちんとどんな効果があって、副作用があるのかはしっかりと医師に確認して飲めば怖いものではないと思います。

湊 :ナイフとかと一緒ですね。正しく使えば、とても便利なものですが、一方で使い方を間違えると悪い結果につながってしまうのと一緒ですね。

安間 :はい。確かにネットなどに怖い情報はたくさん出てしまっていますが、薬も道具の一つとして専門家に意見を聞きながら上手く利用できると良いものだと思います。

湊 :なるほど。症状によっては薬も使うことも選択肢として持っておいてもよさそうですね。

安間 :はい。ただし、薬も漢方もサプリも対処療法でしかなく、同時に日常生活を工夫したり、生活リズムを整えるなど並行して対処していくことが一番大切です。

湊 :ありがとうございました。とても参考になりました。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます