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HOME医師と語る 現代の発達障害Kaienはスパルタが足りないのでは?

Kaienはスパルタが足りないのでは?

vol.5-3 1st STEP こころのクリニック 鈴木雅弘院長

シリーズ『医師と語る 現代の発達障害』

3回シリーズの第3回。第1回はこちら。第2回はこちら

雅弘 → 1st STEP こころのクリニック 鈴木雅弘医師
慶太 → 株式会社Kaien 代表取締役 鈴木慶太

ジェルみたいな人をどう作るか

慶太) どんどん世の中が変わってきた時に、自分ってこういうタイプと思いこみ過ぎるのはむしろ危険な気がして、ある意味自分というのはどういうふうに揺れるかわからない。なんとなくタイプはあるけれども、そのタイプも自分が新しい環境に行った時に違う一面も出て、それもちゃんと内包しながら、自分というものを揺らぎの中で受け止める。型はあるけれどもジェルのように動くのが今後は強いし、今までも強いとは思うのですが、より必要になると思うと、そうすると、発達障害圏の人って、あなたこういうタイプよね、とセルフアドボカシーとか自分の特徴分析とかさせると、その1年2年とかはうまくいくけれども。

雅弘) 信じ込み過ぎちゃんですよね。

慶太) そこからどういうふうに可塑性を担保するかというのが…。

雅弘) 難しいことを。さすが…。社長すごいな。そんなことを言われても、そこまでできていないです。すいません。

慶太) 先生との間では関係性をつくっているからまた戻ってくるのかなぁというイメージが…。 

雅弘) そうなんですよ。あまり良くないのですが、親御さんが全然だめな時は普通にLINEでつながっていますよ。時折来たりしますよ。位置的にはパパみたいになっていることが多いですよね。本当はだめと言われるんですけれども、誰もいないんですよ、みたいになっちゃうので。発達の親は発達で興味が無いことも多いじゃないですか。

慶太) あるいは近すぎてなんだかわからなくなっちゃっていたり。

雅弘) そうそうバウンダリーがないやつですよね。密着しすぎているかどっちかですよね。密着も相手のことを考えていないもん。

慶太) そうですね。自分の世界ですね。

雅弘) そう。子離れできていないだけなんですよね。離れて、と毎日やっているんですけれども。そうすると(患者さんと)繋がっていることが多くて、そういう時々でやっていくしか無いと思うんですよ。そこで挫折したらなんで?と思って方向を探す。わからないです。難しいですね。

ヒステリーとフロイトと発達障害

慶太) 最近の先生のテーマは?

雅弘) ヒステリー。

慶太) ヒステリーですか?

雅弘) はい。ヒステリーと言うと今で言う解離性障害とか、身体表現性障害とか、転換性障害とかいうものですね。昔はあれざっくりヒステリーと言われていたんです。要は自分の心の中の苦しみを気づかずに抑え込むと出る、とフロイトさんが言っていたものです。最近、その状態は発達障害圏の人のことを言っていたのではないかと思っています。 自己理解がないと社長さんがおっしゃったまんまですよね。

フロイトでは内省がなくて、簡単に言えば自我機能が働いていないんですね。そこがないから、自分の本能的なものが求めているものを、大脳皮質側で抑え込んでいるような気がするんですよ。それがフロイトのメインの理論です。そうするとヒステリー症状が出ちゃう。 今思えば、発達障害の人はみんな自分の感情を振り返る能力がない感じがするので、無茶なんですよね。仕事がなくなると死ぬしか無い、とか極端なことを言いますよね。あれ?でも貯金に3億円ぐらいあると聞きましたけれども?と。ああいうのは都合が悪くなると失神(解離性失神)してしまう、ヒステリーと同様なものだと思うんですよ。

ヒステリー症状は必ず操作性を伴うので、その症状を聞いてあげるとその人が自滅していくんです。一番わかり易いのは小さい子が学校に行きたくない時にお腹が痛い、と言うとかですよね。あれは学校で上手く行っていないことに気がついていない。でも心が抵抗しているヒステリー症状だと思っています。

ある小学生の子が、学校に足が痛いから行きたい。神経内科やあちらこちら回ってきてなにもないから車椅子でうちに来たんですよ。こんな鉛筆みたいな足になっちゃって。典型的なヒステリー症状ですよね。なんとなく顔を見てその評定にイラッと来ました。ヒステリーの診断基準はこっちがいらつくことなんです。操作されて嬉しい人いませんよね。てめえ、大人舐めんなと思ったので(笑)、病棟に入れ、親御さんたちにしばらく面会に来ないでくださいね。電話もなしですよ。ということでサヨナラし。その子に歩けないのに、ご飯は食堂まで歩いていって食べてくださいね、といってさようならといって会いにもいかないわけです。2日目ぐらいには這っていって食事を摂り、一ヶ月後には学校に行ってました。

これなんです。だから僕はプッシュするんです。男の子とはハンガーストライキができないんです。女の子は強いのでそうはいかないんですけど、男子はお腹空いたのに勝てないので、大丈夫だと思ったんです。 身体的な原因はなくても症状はあって、本人は本当に痛くて、問題は自分が学校に行きたくないことに気づいていない事なんです。友達と上手く行っていないことに気づいていないんですよ。でもその本人が訴える症状にこちらが騙されると(ヒステリーに振り回されると)本人がだめになっちゃうんですよね。

いま精神科も行政も全部そっちをむいていませんか?鬱になったら休ませましょう。違うんですよ。上司や先生が嫌いなんですよ。そう思いません?そこで最近、すごく発達障害とヒステリーに興味を持っていて、どんどんどんどん強く出るのはヒステリーっていう概念をもう一回持ってきたからなんです。今の精神医学はここを忘れていますよね。病気モデルに偏りがちだと思うんです。

慶太) ああだから私も、ヒステリーと聞いた時に、それって人格障害とか、うつとか、どれにあてはまりますかと言いそうになりました。

Kaienさん まだ足りませんよ

慶太) Kaienがどうあるべきなのか?いまのままでよいのか?

雅弘) いいんじゃないですか。確かに組織を大きくすると良さがなくなっちゃいますよね。

慶太) はい。なくなります。一方で小さいままだと、かき消されちゃう感じはありますね。

雅弘) でっかい企業に。

慶太) はい。

雅弘) やっぱりリタリコさんとか大きいけれども、Kaienさんほどしっかりしていないですよね。

慶太) あの規模ではよく頑張っているなと言う気がしますけれどもね。

雅弘) (リタリコは)根本が精神障害への理論から来ているから甘いんですよ。Kaienさんはあんまり甘くないじゃないですか。

慶太) そうですね。そこがむしろ変えたいところではありますけれども。

雅弘) いや僕はぜひKaienさんにはもっとスパルタであってくれと思っているんです。

慶太) (苦笑)

雅弘) 今ワンステップスクール(寄宿舎性民間自立支援施設)の方にも行っているんですが、甘いって、言っているんです。朝なんか爆音で起こしてしまっていいんです、と言っているんです。社長さんの言っている可塑性は後ですよね。

慶太) まずはつくらないといけない。

雅弘) そうなの。本人自体が得られないし、親も教えない家が多いじゃないですから。頭が洗えない子もいるし。最低限のところを作るべきだと思うんですよ。最低限の社会性。そこから向き不向きで動いていくべきだと思うんです。

慶太) 先生、親がどうやって意思決定を作ってあげるかが、できていないんだろうなと。

雅弘) 僕は親御さんには自分流の価値観を伝えてみてと言うんです。本当に嫌だったら反抗してくるから。

慶太) でも親も大変ですよね。昔だったら宗教や社会規範が強くて、お坊さんに言われたことをそのままとか、司祭様はこういうふうに言っていますねとか。そういうのが無いですからね。

雅弘) 特に日本は明治以降、価値観が何回もひっくり返っちゃっていますからね。根無し草なのかもしれないですね。

第1回 愛ある構造化を目指して
第2回 すべての症状は発達障害に通ず!?
第3回 Kaienはスパルタが足りないのでは?

鈴木 雅弘 医師

精神保健指定医
1st STEP こころのクリニック 院長

1st STEP こころのクリニック

心療内科・児童精神科・思春期精神科・精神科
JR山手線 代々木駅西口より徒歩7分/副都心線 北表参道駅より徒歩7分
http://1st-step.org/clinic.htmlリンク

 

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