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HOME 大人の発達障害Q&A 就労定着支援ってどんなサービス?

就労定着支援ってどんなサービス?▽制度の概要 ▽内容と利用期間 ▽ 手続きと費用・必要書類(障害者手帳は必要?) ▽利用途中で転職した場合

 2018年4月から就労定着支援サービスが開始されました。当社ウェブサイトでも何度か触れてきましたが、まだまだ一般的にその詳細が知られていないようです。今回の記事ではQ&A形式でできるだけわかりやすくご説明します。

就労定着支援って何ですか? 従来の就職後の定着支援とは違うのですか?

 就労定着支援とは、障害者が長期間定着して働けるようになることを目的として提供される福祉サービスです。2018年4月から制度が施行されています。

 週定着支援サービス導入の背景には、障害者の職場定着率の低さがあります。障害者の雇用者数はこの30年あまりで2倍以上に増加したものの、平均勤続年数は身体障害者10年0か月、知的障害者7年9か月、精神障害者4年3か月と、一般平均の12年以上と比較して、特に精神障害者と知的障害者で著しく短いままです。

【参考】厚生労働省 障害者雇用の現状など 

 そこで、障害者の就職1年後の職場定着率を80%にすることを目的とした福祉サービスが就労定着支援事業です。働き続けることを妨げていると考えられる生活上の問題や困りごとに対し、ご本人やご家族と雇用主側、さらに必要であれば医療機関や自治体と連絡を取って、解決に向けて調整や支援・助言などを行います。就労定着支援事業所で受けられる支援と、支援者が障害者の職場や家庭を訪ねてくれる支援があります。

 具体的には、例えば職場のストレスが多く眠れない、就労によって生活リズムが変化してしまい服薬を忘れがち、夜寝つけず午後に眠くなってしまい仕事にならない、職場での人間関係が上手くいかず出社が憂鬱、給料をギャンブルに使いこんでしまう、疲れて仕事上のミスが多い、といった悩みや困りごとを相談することができ、指導や助言を得られます。必要であれば職場の上司やかかりつけの医療機関への連絡や仲介もしてくれます。

 これまでも就労移行支援所は利用者の就職から6か月間は定着支援を行ってきました。就労定着支援サービスでは就業後半年後から3年間(就労移行支援による定着支援を含めると計3.5年)となりました。利用に際しては、1年ごとの期間更新が必要です。

 Kaienの場合はもともと一年後定着率が95%と高いこともあり、単なる長期定着支援ではなく、昇給や正社員登用などのキャリア形成に焦点を当てた支援を既に先行実施しています。2018年10月からは制度内で本格的に実施する予定です。個別の相談だけではなく、例えば「土曜日セッション」では正社員化や昇給に関して学ぶグループセッションも行っています。

【参考】発達障害に特化 Kaienの就労定着支援

就労定着支援ってどうすれば利用できるのですか? どんな人が利用できますか? お金はかかるのですか? 交通費は支給されますか?

 就労定着支援を利用できるのは、就労移行支援(あるいは生活介護、自立訓練、就労継続支援)を利用して就職し、現在も働いていて(就業から6か月~3年6か月)の方です。そうした方に長く働き続けるための妨げになるような日常生活で様々な困難や問題への支援が期待されています。

 利用を希望する場合、ご自分が就職の際に利用した支援所に「サービスを受けたい」と相談することをお勧めします。就労定着支援は、基本的には生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行っている事業所が提供し、またそうした支援を受けて就職をした方だけが受けられるサービスだからです。ただし、就職前に利用していた支援事業所と就労定着支援事業所は同じでなくても問題はありません

 サービスを受けるための手続きは就労移行支援を受ける際とほぼ同じです。ご本人がお住まいの自治体に「障害福祉サービス受給者証」を申請し、サービス提供事業者と利用契約を締結する必要があります。そのための時間(半休2回程度)の確保が必要となります。就労定着支援の際の受給者証の発給は、就労移行支援の際に使用した受給者証の再発行扱いとして、審査手続きは簡略化されると予想されています(新しい制度のため実際の運用はしばらく自治体ごとに異なる可能性があります)。

 利用にあたっては、前年の年収によりご本人の自己負担が発生する可能性があります(年収204万円以上の場合、2500円~3000円/月)。実際は就労定着支援の利用開始は就業後6か月以降ですので、就労移行支援から継続して就労定着支援を受けた場合、最初の1年は自己負担ゼロ、翌年からは収入により自己負担が発生する場合が多いでしょう

 就労移行・定着支援利用者の交通費を助成する制度があるかどうかは自治体によって異なります。例えば横浜市は公共交通機関を利用する場合はその実費を支給しています。また、ほとんどの公共交通機関には障害者無料乗車券などの制度がありますので、活用を検討してみて下さい。

【参考】横浜市の障害者交通費助成
【参考】JRの障害者割引制度

障害者手帳を持っていないと利用できませんか? 受給者証を申請する際に他に必要なものは何ですか? 

 診断書などがあれば障害者手帳をお持ちでなくても申請可能です。在職を証明する書類も必要です。

 就労定着支援は、①お住まいの市区町村に本人から利用申請をし、②サービス利用計画を計画相談支援事業所などで作成したら、③市区町村で審査の上利用可否が決定されます。65歳未満の障害をお持ちの方で、生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を利用して一般の企業で就労している方が対象です。

 まずご本人からお住まいの市区町村の障害福祉課等の担当窓口に就労定着支援のサービスを利用希望することをお伝えください。その際に障害福祉サービスを受給する対象であることを確認するための書類を求められます。診断書の場合が多いですが、障害者手帳や自立医療支援(精神通院医療等の自己負担額を軽減する制度)の受給者証をお持ちであれば診断書は不要な場合もあります。つまり障害者手帳の所持は必須ではありません。もうひとつ必要なのが在職していることを証明する書類です(何で証明できるかの判断は、各自治体で異なる可能性があります)。

 次に、「就労を続けるためにこのようなサポートが必要」といったご本人のニーズを把握し、就労定着支援をどのような形で利用すれば課題の改善が見込めるかを事前に計画します。手続きとしては「計画相談支援」を利用して「サービス等利用計画」を作成し、市区町村に提出することになります。(いわゆる「セルフプラン」と言って計画相談支援を使わずに利用希望者本人が作成した計画も認めている市区町村もあります。)

 上記を受けて、市区町村がサービス支給の認定を行うかどうかを検討し支給可否が決定します。支給が決定したら市区町村から「障害福祉サービス受給者証」が発行されます。発行されたら就労定着支援事業所と利用契約を結び、利用開始の流れになります。なお受給者証発給可否審査過程は、就労移行支援の際の受給者証の再発行扱いとなり、より簡略化されるのではないか、と予想されています

就労定着支援は職場が変わっても利用できますか? 転職の際の失業期間も継続して利用できますか? アルバイトやパートでも働いていることになりますか?

 利用期間は基本的に3年間です。サービスを利用中に職を失うと、利用資格がなくなります。退職してすぐに次の職場に移った場合などの実際の運用については、2018年5月時点ではまだサービスが始まったばかりではっきりしていませんが、職場が変わっても、1か月以内に新しい職場で働き始めた場合は利用を続けられるのではないか、と予想されています

 就労定着支援では利用期間が基本的に3年間と決まっており、その期間内に就労が継続できるように支援をしていきます。正社員、契約社員はもちろん、パート、アルバイトも一般就業とみなされます

 ご本人と事業所で調整の上、サービス利用開始日を決定し、契約開始手続きを行います。数か月程度で利用を終える方もいらっしゃるでしょうし、3年間しっかり利用される方もいらっしゃるでしょう。上記の障害福祉サービス受給者証を申請される場合は、事業所と何月何日から利用がスタートできるかを事前に確認し、利用開始日とサービス支給開始日が一致するように市区町村に伝えていただくと、書類上サービスは使えるが実際のサービスが使えないといった期間を発生させることなく、サービスを最大限ご利用いただけます。